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おなかいっぱいだから、ほんのまくらで寝る前にちょっとだけ穂村弘作品の話をさせてくれ

「カップヌードルを食べるときもエレガントにみえるひとに憧れる」

これは、わたしが衝撃的な出会いをした敬愛する歌人・穂村弘さんのエッセイ集「整形前夜」のまくら。

「ほんのまくら」フェアとは、2012年に新宿の紀伊国屋書店で開催された、タイトルを伏せ、書き出しだけが書かれたカバーをかけられた書店員オススメの本が並べられているいわば「本のヤミナベ」

その「ほんのまくら」が完全にWeb化されたサイトがこちらの、「本の書き出し」。ひたすら、ひたすら本の書き出しが並んでるサイトで、クリックすると何の本かが出てきて、Amazonのレビューにも飛べるという本好きにはたまらないつくり。

このサイトで、わたしはほむら作品と出会った。

ちなみに2013年のWebフォントデザインアワード一般部門のグランプリらしい。

それで何を言いたいかというと、ほむらさんの話。

このサイトを偶然見つけて、好きな言葉をクリックしたときに出会ったのが、ほむらさんだった。

いくつか見てから2冊目にクリックした「まくら」もほむらさん。これはもう、運命じゃないか。のちに、「もしもし、運命の人ですか」という本も読むこともなるけど、衝撃の出会いだった。

ほむらさんの何が最高か、という話をすると、「情けなさ」である。情けないおじさんなのだ。なんとも情けないんだけど、みんなが思っていて口に出せないようなことや、そういえば確かに、ということを確実に言語化してくれる。歌人という職業柄なのかもしれないけれど、それがピンポイントで刺さってくる。前述の「もしもし、運命の人ですか」は恋愛に関するエッセイがメインなのだけど、情けなさのオンパレードでもはや愛しさが込み上げてくる。

「カップヌードルを食べるときもエレガントにみえるひとに憧れる」って、思ったことがあるのはほむらさんくらいなんじゃないか。でも、確かに、わかる。そんな感覚が詰まっている。多くの人がなんとなく通り過ぎて行くけど、「確かに、わかる」と思わせる天才なのではと思う。

表現者としての力量なんだろうか。

そして、「モテない」と言いつつしっかりと女性ファンが多いのがまたずるいところ。一番モテるタイプですよ、たぶん。

ほむらさんの作品があるから、わたしはあらためて言葉が好きだな、もっと上手に操りたいな、と思う。

「本の書き出し」、ありがとう。

本を読んでから寝ます。おやすみなさい。

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