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ポジティヴヘルスという新しい健康概念

私が学んでいるアントロポゾフィー医学という統合医療を通じて
ポジティヴヘルスというものに出会いました。

現代の医療は、病気志向の考え方、病気を治すケア中心の医療であります。
一方、ポジティヴヘルスでは健康生成といって、健康志向の考え方をします。
どういうことかというと、病気を中心に据えるのではなく、人間全体に焦点を当てて、どのようにしたら健康でいられるかと考えていくのがポジティヴヘルスの考え方です。

これは、オランダ人の元アントロポゾフィー家庭医であったマフトルド・ヒューバーが新しい健康概念として、

「社会的・身体的・感情的問題に直面したときに適応し、自ら管理する能力としての健康」

と提唱したことが始まりです。

健康を静止した状態として捉えるのではなく、能力として動的に捉えます。
わかりやすく言うと、健康とは固定した完璧な状態ではなく、病気と健康は同一直線上にあり、そのどこかに位置すると考えます。そしてより健康へ向かおうとする力そのもの(つまり能力)こそが健康といえるのではないか、というのがヒューバーの主張です。

こんな感じで図に表すとよりイメージがつきやすいのではないでしょうか。

この図での「健康」はいわゆる「社会的、身体的、感情的にもすべて満たされた完璧な状態」という意味での健康です。そんな人は、そうそういませんね。でも現代社会ではそれを「健康」と思い込んでいるところがあり、誰しもがその状態を目指すことが「健康であること」のように錯覚しがちです。

そして図の右側に現代医学での病気と健康の捉え方を図式化しました。極端な言い方をすれば、現代医学では、病気か否かというような見方をし、実際には未病といわれるような病気と診断されるまでには至らないけど、、、というような状態の人がたくさんいて、病名がつかないと治療の対象にならない、という状況が生まれます。

対するポジティヴヘルスでは、健康生成論という考え方をします。先ほども書きましたが、病気と健康を同一直線上にあると捉え、私たちはこのどこかに存在すると考えます。そしてこのような捉え方をすると、どうしたらより健康の極の方に位置することができるのか、あるいはなぜ人々は健康の極へ移動することができるのかと考えられます。

この、より健康の極に位置する能力、つまり健康へ向かおうとする力そのものが健康であるというのがヒューバーの健康概念です。

そして健康へ向かう力、回復力や治癒力を引き出していくのがポジティヴヘルスの実践メソッドになります。

まとめ

ポジティヴヘルスは、病気中心のケアから、人間全体に焦点を当てた健康志向で回復力のあるケアへの移行を実現する革新的な健康概念です。

次回は、6つの次元で捉える健康についてお話ししたいと思います。


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