やさしさには、「足し算」と「引き算」がある。
先日ある課題に向き合い、やさしさとは何だろう?と考える機会がありました。
考えに行き詰まり、気分転換に小説を読んでいたところ、ぐっとくるセリフに遭遇。
「・・・他人に対する優しさが、大人の優しさなんだよねえ。引き算の優しさ、というか」
ー小説:恩田陸『夜のピクニック』よりー
『夜のピクニック』は、わたしの人生の1冊です。
ある高校の全校生徒が、夜を徹して80キロ歩き通す伝統行事「歩行祭」。そのイベントを通じて、生徒たちが学校生活の思い出や夢、秘密を語らう、青春小説。
初めて読んだのは高校生3年の時だったでしょうか。
読み終わった後の、包まれるようなふわりとした感覚を今でも覚えています。
やさしさというと、誰かに「何かをしてあげる」とか、「助けてあげる」というような、「与える」ことを思い浮かべます。
これは、「足し算」のやさしさ。
一方で、その人の成長を思い、あえて「何もしない」ということもあります。
これは、「引き算」のやさしさ。
イメージとしては、たくさん手助けできることがあるけれど、そこからその人が出来ることは相手に任せる(委ねる)という感じ。
10個の手助けできることから1つ、2つと次第に手を引いていき、最後には0にする。
今まで出来なかったことを一人で出来るようになった時、人は喜びと成長を実感します。
子育てでも教育でも、危なっかしい時は何でも助けたくなります。
成長を見守る、というのは簡単そうで難しい。
大事なのは、「あえて」何もしないということ。
いざという時に、手を差し伸べる準備をしておくこと。
この引き算のやさしさが、子育てをはじめ、学校教育や社員教育など、
「育てる」時に大切なことなのだと思います。
大人の優しさ、上手に使えるようになりたいですね。
ではまた。
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