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『騎士団長殺し』 村上春樹

JUNE 11, 2018 Instagram掲載

トヨタの広報担当者は私とはまったく違う意見を持つかもしれない。

ストーリー、面白い。幸いなことに予備知識なしで読んだので、『騎士団長殺し』というタイトルがどのようにストーリーと繋がるのか、あんな要素とこんな要素も入ってくるんだ!は〜すっごいな、と新鮮に感服できた。ミステリアスだが人間味もある登場人物がいるんだけど、そういう人を表現するのって難しいんじゃないのかな、本当は。

主人公は絵を描く。ポートレートを描くと、モデルや自分の内側も、絵に表現される。少し前にピアニスト達が出てくる『蜜蜂と遠雷』を読んだ。彼らも演奏しながら、自らの解釈や人間性を音楽にのせていく。その結果、観客は曲を聞きながら演奏者が発する桑畑や宇宙を感じたりする。人は行為(ここでは絵描き、演奏)を通じて何かを伝えるし、伝わってしまう。受け取る側も表層的なものに留まらず、何かを受け取る。受け取りたいと思っているものを。

じゃあ、村上さんは『騎士団長殺し』という小説を書くことで何を伝えたいんだろう?ただの不思議なお話ってことはないだろう。
…正直、全然そこがわからなかった。ストーリーの裏にもっと深淵なテーマがありそうな気がするんだけど。考え抜かれた熱くて大きなものが、静かにどっしりと在りそうなんだけど。

おそらく最後であろう章に辿り着いて私が思ったのは「そう。それで?」そしてすぐに思う。最後に何かがクリアになっておしまい、とかこれはそういうタイプの話じゃない。

開かれた環が元通りに閉じたとしても、何も起こらなかったことにはならない。

【追記】世界の仕組み、量子力学とかと関係あったりするかな?

20. 『騎士団長殺し』 村上春樹

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