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テレワークスペースづくりのナイスな事例コンテスト!結果発表+審査講評

先日速報にて受賞者発表を致しました「テレワークスペースのナイスな事例コンテスト!」についてあらためて結果と審査講評を発表致します。

総評

「テレワークスペースのナイスな事例コンテスト!」
総評 髙田光雄 一般社団法人京都府建築士会 会長

 今回のテレワークスペースコンテストでは、短期間の募集であったにもかかわらず、多様な工夫が認められる14点もの力作の応募があり、限られた入賞作品を選定するのは困難を極めた。学生作品も優れた内容であった。受賞された方々にお祝いを申し上げるとともに、僅差で受賞に至らなかったそれ以外の方々にも心から敬意を表したい。
 選定の観点は、第一に、テレワークのニーズへの対応、第二にナイスな空間づくりである。第一の観点については、先ず、広さに限界がある住宅におけるテレワークスペースの捻出が課題となる。余剰空間の発見に加えて、空間の重複利用をデザインの力で実現した作品などが高い評価を得た。次に、遮音の問題。共働き世帯のWテレワークやオンライン講義を受ける学生がいる家庭では特に深刻である。会議への子どもの乱入対策も含めて、納戸や寝室の改修などで入れ子の空間を作る提案は合理的である。さらに、収納空間の確保。テレワークでは、web環境とともに大量の資料の収納空間が必要となる場合が少なくない。その空間をどのように設えるのか、工夫に満ちた多様な提案が見られた。
 第二のナイスな空間づくりについては、とりわけ、既存のオフィスとは異なる魅力的なワークプレースのデザイン提案が評価された。また、有孔ボードなどを活用したフレキシビリティの高さやD I Y施工性、賃貸住宅における現状回復容易性なども重視された。多くの作品で、コストコントロールが的確に行われていたことも注目される。
 最後に、テレワークスペースのデザインの検討を通じて、仕事と暮らしの分離・結合のあり方や生活様式再構築の方向などを考えることの重要性が浮かび上がってきた。このコンテストに関心を持っていただいた全ての方々に、今回の応募案の各提案を手がかりとして、postコロナ時代の生活空間の可能性の検討を深めていただき、様々なチャレンジを積み重ねていただければ幸いである。

最優秀賞1(応募順同得点

200903_テレスぺづくりコンテスト応募データ

№6「Dinig+α -賃貸住宅での壁面収納とテーブルのDIY- 」
応募者:山門久晃  (​H.Y ARCHITECTS)

講評 
「Dinig+α -賃貸住宅での壁面収納とテーブルのDIY- 」は、脇の収納よりモニターを持ち出すというシンプルなギミックにより、職と食という異なる用途が容易に変更可能な案である。少ない手数で職住が嫌味無く共存している様が美しい。急場しのぎの性格が強いテレワークスペースにおいて、この時間的な利用形態は、流動的な対応を余儀なくされるであろう今後の生活において、普遍的な手段の一つになり得ると考えさせられるナイスな提案である。(一社)京都府建築士会青年部会

最優秀賞2(応募順同得点)

最終シート

№10「自宅建築学生による書斎棚づくり」
応募者:山本和貴(名古屋大学大学院 環境学研究科 建築学コース1年)

講評
「自宅建築学生による書斎棚づくり」の応募者はコロナ禍において自宅学習を余儀なくされ、緊急的に自宅での作業スペースが必要となったのであろうと思われる。そういった状況の中、自身のもつ建築の知識を活用し、利便性、デザイン性に優れたアイディアを提案し、一つの結果にまとめ上げた点に注目した。構造形式こそよくあるようなものだが、おそらく賃貸であろう仮住まいに設置することができ、コロナが収束した後、そして卒業後の次の住まいにおいても、新たに部材を追加することで拡張や変更が可能な点も評価でき非常にナイスな作品である。(一社)京都府建築士会青年部会

優秀賞

応募作品事務所のDIY棚_高橋勝

№01 「自宅寝室を設計事務所にDIYでしつらえる 地元の杉角材25x25と針葉樹合板24mm厚で造るローコスト壁全面本棚」
応募者:高橋勝 高橋勝建築設計事務所 

講評 
この作品は、応募者の生業である建築設計事務所を自宅の7畳の寝室をローコストなDIYによって設えたものである。その際、大量の書類などを収納する壁全面の棚が最小の材料と手間で造れるように、非常にシンプルに設計されている。また無垢な棚柱や棚受け材、さらに収納物に合わせた厳格な寸法体系も感じさせ、その事で、整然としたある種建築構造躯体のような表情さえ垣間見える。シンプルな設計は材料費のローコスト化もつながっており合理的でナイスな事務所空間を作り上げた点を評価したい。
(一社)京都府建築士会青年部会

佳作1

太秦の改装計画

№9「太秦の改装計画」
応募者:宇治川 和樹・大園 未来(U+O architects)

講評 
「太秦の改装計画」は、狭い間口ながらも、バッタリ床几を連想させるデスクにより、スペースを上手く活用している。またシステム全体を仮固定とすることで可変性のあるものとしている点、合板に孔を開けるだけというシンプルな加工でありながらカラフルな支持材やレイアウトの楽しさなどDIYの魅力を感じる点など、いずれの点においても評価できる作品である。
(一社)京都府建築士会青年部会

佳作2

テレワークおこもり部屋_瀧口

№03 「納戸スペースをおこもり部屋に大改装!」
応募者:株式会社キャンバスホーム一級建築士事務所 瀧口 静

講評 
コロナになり、在宅ワークをする際に、テレワークスペースの確保という観点がまず問題となる。次に周辺の音の問題。家族の生活音や子供のはしゃぐ音に邪魔されない空間づくりが大切である。この作品はまさにその二つの問題をカバーした、ザ・テレワーク事例の一つである。
納戸という限られた空間を最大限に活用した本物件は、実際のどこの家庭でも工夫次第で取り組める事例である点も評価したい。また、入口建具の小扉をつける工夫も興味深く、オーナーの意向を汲み取られている。
(一社)京都府建築士会青年部会

佳作3

長谷部 テレスぺ案

№04 「もっぱら癒しの空間と考えていた自宅に作業スペースを作ることに。」
応募者:長谷部武士 株式会社 美建

講評 
新型コロナウイルスの影響で、テレワークが急速に浸透したが、賃貸住宅では、改修が困難という問題点が生じている。本応募作品は、その問題を、極力傷をつけない方法で解決した上で、多用途に使える作業スペースが確保されているように感じた。
また、必要となる材料費を除くと、工賃が瓶ビール4本となっており、、応募者や施工者の、この工事について非常に楽しんでいることや、人柄の良さも感じ取れ、ナイスな事例だと考えた。
(一社)京都府建築士会青年部会

以上

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