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新規取引先と契約を締結する際に注意するポイント

1.新規の契約

ビジネスを行っていく中で、新規の取引先(クライアント)との契約は嬉しいものです。

しかし、先方から提示された契約書を、たいして確認もしないですぐに署名捺印をしてしまうのは大変危険です。

締結した後になって「こんなハズではなかった」と痛い思いをしてしまうことも少なくありません。


2.新規の取引先とはとくに注意が必要

新規であれ既存の取引先であれ、契約を締結する際は、一言一句、細心の注意を払ってチェックすることが必要なのは勿論ですが、既存取引先と違って取引実績のない新規の取引先の場合は、特にどのようなリスクが潜んでいるかわかりません。
また、新規取引先がどの程度契約書を重視するのかといった「傾向」も分かりません。

たとえば、取引していく中で、実務上、契約書の記載内容と多少違っていたりしても、柔軟に対応するような企業であれば、そんなに気にすることもないかもしれません。

既存取引先であれば、こうした「傾向」はある程度把握できているでしょうが、新規取引先の場合はそうはいきません。

そのため、新規取引先との契約を締結する際には、後のトラブルをちゃんと回避できるように特に慎重に取り組む必要があります。

では、新規取引先と契約を締結する際に最低限どんな点に注意しなければならないのでしょうか ?


3.新規の契約で最低限注意すべきこと

ここでは新規の契約で最低限注意すべきことについて解説します。


(1) 商品・サービス・業務の範囲について

✅商品・サービスを提供する側なのか、利用する側なのか

✅業務を委託する側なのか、受託して実施する側なのか

立場は違えど、その「範囲」が明確になっているか?認識のズレがないか?を、しっかり確認する必要があります。

「ここまでサービスに含まれると思っていた」
「ここまで当社の業務だと思っていなかった」

など、お互いに認識のズレが生じてしまい、トラブルになってしまうようでは、何のための契約書なのか分かりません。

代金や委託料など金額を決定させる契約書である場合は、その額面は何に対する対価なのかも明確にしておく必要があります。


(2) 契約の期間について

契約の期間に関する事項も大変重要です。

契約の開始日と満了日を明らかになっているかどうか確認します。

また、契約期間満了後に更新する場合、その方法についても確認します。
契約の更新が予定されている場合には、

「期間満了の2ヶ月前までに、いずれか一方から解約の申し入れがなされない時は、本契約は更に1年間同一条件にて継続する。期間満了ごとこの例による」

といった自動更新の規定をよく目にしますが、果たして自社にとって、この規定がふさわしいのかどうかもしっかり検討する必要があります。


(3) 契約解除や損害賠償の規定について

契約の終了またはその後に発生する可能性があるリスクがあれば、その対応に関する規定もしっかり確認しておく必要があります。

契約解除損害賠償に関する規定がそれにあたります。 リスクへの対応に関する規定は、「契約を解除する側」「契約を解除される側」のように、双方の利害が対立する事項が多くあるので、できるだけ詳しく記載しておくことが大切です。

この部分が曖昧だと、双方の主張が対立し「こんなはずではなかった」と後々モメる原因になることが多いため、十分に注意が必要です。

 片方が契約期間中に契約を解除したいと思ったときには、どのようにして契約を解除できるのかも併せて確認が必要です。

また、リスクヘッジの意味で、損害賠償の規定は大きな役割を果たします。
あくまでこの規定は損害賠償してもらう為の規定ではなく、お互いのリスクを回避する為の規定です。
よく「合意の上決定する」という表現を目にしますが、片方が「合意しない」と主張すればこの話はまとまらず進まないので、実質意味がありません。 誤った記載ではせっかくのリスクヘッジの意味もなしませんので、注意が必要です。


4.まとめ

契約の締結前に自社がリスクを負わないように確認すべき事項はこの他にももちろんありますが、最低でも上記については先ずしっかり確認することが重要です。

新しい取引先なので、「ここを直してほしい」なんて言い難い。。という気持ちも分かりますが、トラブルになって多大な損害が発生したり、そもそも取引自体が自社に不利すぎる内容だった。。なんてことになれば、契約自体してはいけなかった取引ということになってしまいます。

先方から送られてきた「たたき台」を、たいしてチェックしないで署名捺印する行為は、取引自体をダメにするだけでなく、自社の事業や会社の存続自体を左右しかねませんので、慎重に確実に確認できる最低限からチェックするようにしましょう。

当事務所は、お客様のリスクをしっかり回避できて、お客様が有利に事業をすすめていける契約書の作成、リーガルチェックを得意としています。

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