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なぜ「ガラパゴス」な体制ではいけないのか?

もう師走になってしまいましたが、私のノート記事では映画や音楽を始めとするコンテンツのグローバリゼーションが急激に進む中、日本のエンタテインメント全体が「ガラパゴス」な体制にあり、それが日本を現在に世界的な大きな波から大きく出遅れている原因を作っている点について述べてきました。

ガラパゴスというのはご存知の通り、太平洋上の赤道下にある絶海の孤島といわれるエクアドル領の島であるガラパゴス諸島から取った表現で、他の地域から離れているために生態系が全く違う地域であるため、孤立した環境(日本市場)で製品やサービスの最適化が著しく進行し、外部(外国)の製品との互換性を失い孤立して取り残されてしまう状態のことをいいます。

その件は例えば海外の役者さんはエージェント制が一般的なのに対し、日本は事務所制という体制、

■海外案件、ハリウッド案件に応募する場合ー日本の「事務所制」は世界的にみてガラパゴスなことをご存じでしょうか 

https://note.com/kyojiohno/n/n6280b50d8bf8

それ以外にもたくさんありますが、要するに諸外国のエンタテインメントの制作体制と比べて日本の体制はあまりに独特であり、しかも特殊すぎる体制になっております。

日本国内のみで仕事する場合はそれでいいのですが、今は映画製作も何度も書きますがグローバリゼーションの動きがある状況、もはや国境や文化の違いに関係なく外国のクルー、キャストとの制作案件が当たり前のように発生します。

日本の芸能事務所や映画界、全般は寧ろその「ガラパゴス」を誇りにすら思っている面があるようですが、率直にいってそのガラパゴス体質は海外との制作案件を推し進める際には障害にしかなりません。

何よりも日本の芸能界が大きな勘違いしているのはハリウッドを始め外国の制作会社は国際的な競争を勝ち抜いてきており、率直にいって日本とはレベルが違いすぎる点についてです。全くそこの部分を理解せず自分たちの方が優秀だと思い込んでいます。レベルの差はちょうど野球でいうならメジャーリーガーと日本のプロ野球の二軍三軍が試合するくらいのレベルの差があります。
つまり海外の人たちは、適応性(汎用性)と生存能力(低価格)の高い能力、スキルを持っていますからまともに戦っても勝負になるはずがなく、最終的に日本側の方が淘汰される危険に陥るわけです。

しかも今ハリウッドだけでなく国際的なビジネスルールというものがあります。例えば肖像権、著作権に相当する知財の管理方法、映画撮影の時に移っている俳優の肖像権をいちいち確認し承諾を得て文書にする(「チェーンオブタイトル」といいます)等、の習慣は日本の制作現場で扱われているのを見たことがありません。とくに「チェーンオブタイトル」は知財の専門家の弁護士(エンタテインメントロイヤー)がいちいち内容を確認して文書にしなくてはなりません。これがないと海外では劇場公開もストリーミングもできません。

こうした最近特に決まってきた「国際標準」のビジネスルールを理解している日本側関係者はどれだけいるでしょうか?

これは個人の問題だけでなく制作に関わっている会社が特に問題です。

あえて名指しは避けますが以前ハリウッドの大物監督が日本で映画製作を行った時に日本の某大手広告代理店系キャステイング担当がハリウッドから日本での制作予算の管理を行っていました。そしてその制作予算の半額を会社で取ってしまい結果日本のキャスト、クルーのギャランテイもハリウッドが払おうとする金額の半額以下になってしまいました。
 それを知った某有名監督は激怒、その会社はハリウッドとも問題になりましたが、その会社は昨年行われた東京オリンピックでも同じようなことをやっていて今、東京地検の特捜部に捜査を受けております。

ガラパゴスな習慣を「郷に来たら郷に従え」と主張するのは愚の骨頂

某代理店がハリウッドに主張したのは「郷に来たら郷に従え」という一番言ってはならぬことをいったとの話が出ています。これはっきりいって最悪です。実際これ以降ハリウッドから話は来なくなったようです。当然ですね。

ガラパゴス諸島にいる独特の進化をしていた動植物は貴重ですが、日本のガラパゴスな制作体制は欧米のそれと比べればシステム上はるかに劣るものであり、まともに勝負しても海外には勝てません。

ここだけの話、もうハリウッドは日本の芸能事務所のレベルがいかに低いか(彼らから見ればシロウトレベルに近い)ということが全部ばれている、という点です。世界標準のビジネスの仕方を無視し「これが日本のやりかただ。郷に来たら郷に従え」という風をふかせて日本にしか通用しないガラパゴスのやりかたを押し付ける事務所や制作会社。これでは日本の事務所も役者、アーチストも世界から相手にされなくなります。

つまり日本の芸能事務所とハリウッドは現状のままですと同等なつきあいができなくなる可能性が大なのです。そのことによって日本のエンタテインメントが海外によって淘汰され、滅びの道を歩む。もうそのくらいの深刻な事態が待ち受けている、というのが現状です。

いかに日本が危機的な状態にいるか、おわかりでしょうか?

例えていえば幕末の黒船、ペリー提督の艦隊以上の危機が来ているといってもいいかもしれません。ペリー艦隊は脅し以外に大砲を使いませんでしたが今度は本当に大砲で殲滅される可能性大です

それを防ぐには

日本のガラパゴス体制をなくす

これしかありませんし、これをやらないと日本のエンタテインメントは滅びます。

でも今の日本人は国の将来よりも自分たちの利益、利権保持の方に動き傾向が強く、しかも「カタチ」にこだわる傾向が強くなっています。「カタチ」を絶対視し、「カタチ」に対して思考停止になっています。それほど思考、発想が硬直化し新しい考えを受け入れず変化に対応できなくなっています。ですから繰り返しますが「ガラパゴス」という「カタチ」をなくさないとこの国には滅亡の道しか残っていません。

このnote記事はその事態を避けるためにどうするか、について述べるブログと考えていただいていいと思います。

そして新しい時代に適応するか、絶滅するか。今まさにその瀬戸際に立っているといっていいと思います。


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