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「授業準備なんて5分で余裕だよね?」笑うしかない判決結果

・・・寒いっ!

涼しくなったと思えば、
早くも早朝に寒さを感じ始めました。笑

長袖の羽織れる上着を装備!

季節の変化に気を付けて、
この季節を一時一時を味わっていきましょう♪


共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


教室の整理整頓をする。
宿題の丸付けをする。
作文の添削をする。

これらの中に、
教員の仕事ではないものがあると言われたら、
あなたはどれを選択するでしょうか。

実はこれらの3つのことは、
全て教員の仕事とは規定されていなく、
労働時間とは認められない行為なのです。

これは、
2022年に埼玉県の教員が
多忙を極める教員たちのために、
教員の残業時間について
裁判を起こした時に下された判決です。

2022年ですので
もう2年も前になってしまいますが、
教員の間では結構話題になりました。

時間が経過して忘れられた内容があること、
当時のニュースを知らない人など、

様々思い出したり、
再度周知したりする価値があるかと思い、
記事として扱っていきます。

何か得るものがあれば幸いです。



授業の準備は5分で完結せよ

冒頭で伝えた教員の仕事とは
認められなかった行為。

あれは実は、
ほんの一部にすぎません。

どのような業務が、
教員の仕事ではないと裁判所が判定したのか。

その恐ろしい一覧を掲載します。

https://www.chunichi.co.jp/article_photo/list?article_id=559176&pid=2718789

労働時間と認められなかったものは、

教材研究、
保護者対応、
児童からの相談、
添削、採点、
学校行事の準備
などなど。

認められたものも悲惨です。

授業準備は1コマ5分!
通知表は1人当たり40分!

その他もろもろ。

一体、裁判所は、
教員にどのようなスペックを求めているのでしょうか。

これを忠実に再現してみる
理想的な教員像を考えてみると
なかなかに面白いです。
(もちろん皮肉ですが)

【理想的な教員】
・天才なので、教材研究の時間はいりません!
・児童からの相談が出るまでもない
 完璧な学級経営です!
・宿題やプリントのチェックなどは
 目で写真のように捉えるので1秒見ればできます!
・日頃から素晴らしい指導をしているので
 学校行事に準備なんていりません!
・パソコン2~3台を同時並行で使い、
 周囲の先生と雑談しながら事務をこなしちゃいますよ!

もはや、笑いしか出てきません。笑

おまけに
パトロールも業務に含めないので、
普段から警察以上の働きをして
地域の治安を維持しておく人間力も必要ですね!笑

もちろん、
このような教員には
1人として出会ったことはありません。

もし、このような人材ばかりが
教員になっているのなら、

日本は最強の人材が生まれる
国家となっているでしょう。笑

筆者は若い頃は、
1つの授業の教材研究や準備に
2~3時間かけていたので、

裁判所が求める人材とは
程遠い存在であったと言えるでしょうね・・・


残業代を許可するとどうなるか・・・

なぜ、
裁判所は残業を極力出させないような
判決を下すのでしょうか。

それは、
残業代を全て支払うことになると
国家予算にかなり影響が出ることが
関係しているような気がします。

日本の公立学校の教員は、
2020年の時点で
約140万人程度のようです。

教員の平均残業時間は、
月平均96時間です。

これを掛け算するだけでも
かなりの額になることでしょう。

そして、
公務員の基準を上げるということは、
その他の教育業界全般や
公務員全般、
福祉職にまで給与の水準を上げることに
派生していきそうです。

そのようなことを考えると、
容易に残業代をそのまま払うわけには
いかないのかもしれませんね。

それでも、
2025年の国会では、

給特法といって
残業代を出さない代わりに
給与に予め残業代分4%を加えておくルールが、

4%から10%
引き上げることが検討されるようです。

しかし、
これで満足というわけにはいかないでしょう。

なぜなら、
教員が最も求めているものは
お金ではないと思うからです。


感謝されることがエネルギー

筆者の率直な考えでは、
教員の給与は
今ぐらいのままが丁度よいと考えています。

教員という立場から外れていて思うのですが、
教員という職業は
かなり優遇されて
いました。

福祉職、
保育園業界
など、
様々な業界で働く方と直に接するようになり

これらの人々と、
公務員である教員の待遇は
かなり格差があることが分かってきました。

教員の業務が激務であることを除けば、
教員の給与や待遇は、
相当配慮されています。

保育園も、
福祉業界も、
人の命を預かる仕事ですので、
責任はそこまで変わらないはず。

残業があるのは当たり前で、
残業代が正当に払われていないところがあるのも
全く珍しくないのに、です。

教員時代は、
学びに使いたいお金に
そこまで苦労することはありませんでした。

しかし、福祉職、保育園勤務などは、
子どもたちの為に学びたいという
向上の為のお金すら捻出することが厳しいのです。

もちろん、教員も、
共働きであるかどうかで
大分事情が違うと思いますが。

そして、もし先ほどの裁判で、
全てが教員の労働だと認められ
全てに残業代がしっかり支払われるとなれば
どうなるでしょうか。

そうなると、全てのことが

「やらなければならないこと」

となり、
もしやっていない教員がいれば
保護者が裁判を起こせるようになると言えます。

つまり、
教員の粗をもっと探すようになり
要求がもっともっとと
エスカレートしていくようになると言えるかもしれません。

教員が善意でやっていたことが、

「裁判で決められているから当然のことですよね?」

と言われるようになれば、
教員は人から感謝されない仕事になっていくかもしれません。

心理学にも、
アンダーマイニング効果というものがあります。

もともと、
自発的なやる気をもっている人に、
お金などの報酬を与えると、
かえってモチベーションがダウンしてしまうという現象です。

教員になる人は、
もともと

「人の役に立ちたい」

という想いが強い人がなると
筆者は信じています。

それが、

「あらゆる配慮をするのが教員の当たり前」

となったら、
感謝を行動の原動力にしていた教員たちは
最も大事な「やりがい」を失うようになるかもしれない。

現在、ようやく、
教員の業務の大変さが世間に認知され、

「先生も大変ですよね・・・」

という言葉を掛けてもらえることが
増えてきました。

そんな、
大変な中ここまでやってくれて
ありがとうござます
という想いが、
今の教育界をつなぎとめていると思います。

少し前までは、

「税金で食べているんだからこれぐらいやれよ!」

という雰囲気が少なからずありましたから。


最適化をはかっていくしかない

現場の教員が求めているのは
給与よりも
子どもと直に関係がある仕事
やりたいということである。

数多くの先生方を見ていて、
筆者はそう思います。

よって、
給料をどうこうするよりも
必要のない仕事や
削れる仕事はどんどん削り、

残業時間を減らしつつも
子どもに関係する仕事を増やす方向性がよい。
そう思います。

教員の仕事は、
削ろうと思えば削れる仕事は
まだあるはずです。

筆者は、
教育小六法を一通り読んで、
法律で決められている仕事を
洗い出してみたことがあります。

すると、
法律で決められている
やらなければならない仕事
と、

やらなければならないと
勘違いしていた仕事
が明確に分かれます。

筆者の前勤務校では、
法律で決められていない仕事は
徹底的に削り取っていきました。

教員がお金を扱うようなシステムも、
募金以外は全て撤廃しました。

給食の簿記は
つけなければいけませんでしたが。

すると、
夕方の17時半には
8~9割の教員が帰る
ようになり、

残業の学校平均時間は
月20時間ほど
にはなっていました。

それでも、
教材研究などは
持ち帰っている人も多かったので、
まだまだ改善の余地はあります。

現場の校長が決定権を行使していくと共に、
物理的に多すぎる仕事がまだある場合は、
学校教育法の改正を問い、
仕事を減らす必要がある気もします。

部活動のように、
地域移行を進めていても、
学校の先生の手を借りなければ
どうにもならない部分も多々あります。

部活動に携わってくれている先生には、
いくら感謝を伝えても伝えきれないぐらい、
何度も何度も感謝を伝えていく必要がある。

どこの業界も人手不足で、
教育界だけに人手を回せる状況ではない中、
新しいデザインが求められています。


まとめ

教育、福祉、医療、農業、漁業。

国を運営していくために、
国家を保っていくために
最も根幹と言える仕事ほど
そこまで優遇されていないのが日本の構造です。

こういった方々の
労働環境を改善しながら、

兎にも角にも、
この方々のお陰で社会が成り立っていることに
これでもかというぐらい
感謝を示していける雰囲気が必要な気がします。

それでうやむやにはできませんが、
この方々に力が湧き上がってくるほどの
「やりがい」を提供していくのも、
日本人としてできることかもしれません。


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共育LIBRARYりょーやん元教師







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