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お金の学校 (7) 頭の中(お花)畑だよねあんた

 お金の学校がはじまって一週間が経ちました。どうですか? 楽しいですか? 楽しんでくれてるといいなあと思います。楽しんでないと頭に入りません。楽しんでないと意味はないとはいいませんけど、でも体に入ってくるものが全然違いますから、疲れてるなあって時は、しばらく休んでから読んでもいいかもしれません。とにかく自分の調子がいい時に勉強してみてください。ほんと全然違うんですよ。つまり、やりたくない仕事は効率が悪いんです。単純なことです。楽しくない仕事よりも、楽しい仕事の方がうまくいきます。当然のことです。だから結局のところやりたくない仕事、つまり、楽しくない仕事はやらない方がいいんです。それよりも生活保護を受けながら、大好きな詩を書き続ける方がいいんです。詩はお金にはなりません。しかしだからといって経済ではないとは断定できないんです。もう皆さんならわかりますよね。お金の学校はお金を稼ぐことを教えるわけではありません。お金とは何かってことを考える場所です。お金とは経済です。でも数多ある経済のうちの一つなんです。 
 お金のことについて考えていくと、その他のいろんな経済に気付いていくことができます。僕がこの学校で示したいことはむしろそっちの経済についてです。他の流れです。それがあなたの経済になるんです。もちろんそれは経済なんですから、すぐにはお金には変わらないかもしれませんが、いずれお金の方にも流れは波及していきます。コツは、楽しくない時間を経済にしないことです。やりたくないことはしない。この学校でずっと言い続けていることですが、理由はそれではお金が稼げないだけでなく、他の経済の流れも堰き止めてしまうからです。
 やりたくない仕事は即刻やめてしまいましょう。貯金でしばらく過ごしましょう。そして、じっと流れを眺めてみましょう。静かに何もしないでいる時間があるでしょ。そのときこそ、流れに耳を済ませる時です。貯金がない人は、すぐに役所に行きましょう。生活保護は13万円くらいもらえるようです。自治体によって違うようですが。つまり、13万円以下の人は即刻生活保護をもらおうということです。ベーシックインカムを導入しろだなんだなんて言ってますが、ある意味もうベーシックインカムを導入しているようなもんだと考えてみてください。社会保障の金額がかさんで日本が破綻するだなんてあり得ません。軍事費に4兆円使っているような国です。気にせずどんどん役所に行っちゃいましょう。
 それよりも大事なことがあるからそう言っているんです。それが経済です。やりたくない仕事をいやいややる。これが一番経済ではありません。流れにちっともなりません。楽しくないから誰も喜びません。そもそもそんなところに人が集まりません。行き来しません。そんな会社必要ありません。当然業績も芳しくありません。無理すると絶対に体を壊します。なぜなら流れてないから血流のことをイメージしてください。血流が悪い人は倒れます。無理すると体を壊します。しばらくはいいですよ。でも永続的ではありません。いつか倒れます。いつかその会社は潰れます。潰れないように借金、つまり、覚醒剤を打ったところで無理なものは無理ってことです。
 たとえば芸術家で絵が売れなくて食べれなくてバイトを掛け持ちで色々やって体がもたなくなって死にたくなっている人がいるとします。その人は最終的に芸術を辞めて、やりたくもない仕事に就職して、それで手取り20万円とかもらって、どうするんですか? それの何が楽しいのですか? 結婚して子供ができて、だから仕方がないんですか? お金が必要だから、芸術なんかやっていても仕方がないんですか? 楽しくなくて、生きる喜びが減って、もしくはなくなって、一体、何が楽しいんですか? もっと楽しくなくなるのが分かりますか? 楽しくないとお金が手に入らないようになっているんです。なぜだか分かりますか? 別にこれは国家の陰謀でもなんでもないんですよ。人間の法みたいなものです。楽しくないとつまらないからすぐみんな飽きてやらなくなるでしょ。あれですよあれ。楽しくないと、人間にとって不利益なんです本来。だから、うまくいかないようになっているんです。それは人間が生き延びるためですよ。ということはつまり地球が生き延びるためですよ。もっと宇宙の視点に立って物事を考えましょう。楽しくないと経済にならないようになっているのは、地球が生き延びるためなんです。
 なんだか頭の中がお花畑の人みたいな考え方だなと思うでしょう。そうです。僕は頭の中どころか、畑もやってますから、頭の外もお花畑です。お花が咲いたら、蜂がきます、蝶々がきます。葉っぱはバッタがコウロギが、その虫を狙ってクモさんが巣を張ります、そんな虫たちを野良猫たちが鋭い爪でやっつけます、そして、僕がやってきます。葉っぱは程々に食べられていて、でもそこまでひどくない、僕の足音を聞いた虫たちはいなくなります。ハチはちょうちょはいなくなりません。僕が何もしないと知っているから。むしろ僕が感謝していることにも気付いているからです。
 気付いたら畑の話になってましたが、畑の中では経済がぐるぐると回り回ってます。流れてます。いい感じです。心地いいです。何よりも楽しいです。お花畑です。お花畑っていうと、すぐ、天然の女の子でいつも明るく楽しいことばかりしている人を揶揄する言葉みたいになってますので、言葉は常に立ち返りましょう。お花畑を、畑に変えてみてください。

「頭の中お花畑だよねあんた」 
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「頭の中、畑だよねあんた」

 たったこれだけでなんかいい感じになります。なんかふかふかの土があって、ミミズがいて、動物の死骸があって、ウンコがあって、根っこがあって、上に登っていくと、地表が見えてきて、茎が伸びて、ジャックの豆の木みたいに登っていくと、葉っぱがあって、葉っぱの上に大粒の水滴が太陽の光を反射してます。大きな葉っぱの影の下にあんたはいます。アリたちが行列をなしていて、アブラムシがいて、てんとう虫がそれをそのまま食ってます。踊り食いです。バッタは葉っぱの中で寝転んでベッドみたいにしながら、そのベッドをムシャムシャ食べてます。なんか考えるだけでヤバイですね。楽しいですね。愉快ですね。何よりも行き来が激しそうですね。ペンギン村みたいな感じもあります。平日の昼間から働かずにチョコレートのベッドで寝ながらチョコレートベッドを舐めながら、また二度寝しているあなたがいます。心地よくないですか? そんなふうに過ごしていても、ちっとも葉っぱはなくならないんですよ。むしろ、どんどん繁茂します。大事なのは太陽が照っていることです。気持ちいい空気、そして、時々いい感じに雨が降ってくれたら、それでいいんです。それ以外に何にも要りません。
 畑はやはり経済です。無理のない経済。というか、ペンギン村みたいな経済。一生心配ないよって背中に手を当ててもらっているような状態です。そんなところで誰が嫌な仕事しますか? ペンギン村にそういう人がいますか? 嫌々仕事している人。畑にはいやいや仕事をしている人、虫、動物はいません。野良猫はいつも昼寝してます。もちろん、時々は爪を立てて、しっかりハンティングしてますよ。でも虫を食べるわけではありません。僕がちゅ〜るを持っていくのを知っているので、安心しきってます。ちゅ〜るが好きなんですよ。そんな僕も畑という自然の中の自然の一部です。ちゅ〜るは人工物だから? そんなの関係ありません。畑は人間が勝手に作った生態系だろう? そんなの関係ありません。植物たちはそんなことも織り込み済みです。植物たちは僕たちが雑草を引っこ抜くことだって知ってます。でもその時に人間にくっつくことができます。種子をまた全然知らない別の場所に持っていくことができます。人間がいるってだけで経済だと植物は知ってます。しかし、人間はそのことを全く知りません。人間は自分自身、人間一人一人、しかもよく道草をするようなボーッとしているあなたが経済であることを知らないのです。でも植物は知っているのです。なぜでしょうか? わかる人いますか? 
 なぜなら植物は自分自身が経済であることに気付いているからです。ここ大事なところです。植物はなんのために生まれてきたのかなんてことを悩んだりしません。そんな無駄なことを全くしないのです。いのっちの電話ではよく「なんのために生まれてきたのかわからない、だから死ぬ!」と言います。馬鹿なのでしょうか。いやいやそんなことを死にたい人に言ってはいけません。ただ彼らは何も知らないだけなのです。だから教えてあげたらいいなんで生きているのかを。しかし、死にたい、と考える人がみな実は何も「知らない」だけなのは興味深い考察です。知る、といいんですよ。何を? 簡単なことです。あなた自身が経済であることを知ればいいんです。
 もう一度おさらいしましょう。経済ってなんでしたっけ? お金でしたっけ?
 もうみなさんなら暗記してそらで言えると思います。

 経済=自分を救う=民を救う=共同体のルール=楽しい仕事=「大丈夫、きっとうまくいくよ」と自分に言うこと

 今まで伝えきたことを全部並べてみました。まとめるとなんでしょうか?
 自分を救ったり、みんなを救ったりするのが決まりで、なんと言ってもその仕事は楽しくて、きっとうまくいくもの、ってな〜〜〜〜んだ?
 答えは簡単です。なんかいいね、ってことです。いい感じ、ってことです。調子いいね、ってことです。ルンルンってことです。嬉しいってことです。つまり、幸福ってことですよ、きっと。僕はそう答えます。なんか危ないカルト教団の教科書みたいになってきましたよね。みなさん、最高ですかーーーーーーーーーーーーーー!
 頭の中がお花畑になってきましたね!まさに!でもお花畑とは農家は言いません。畑と言います。

 畑=経済=幸福

 ってことです。だんだん相対性理論のE=mc2みたいに超シンプルな数式になってきましたね。うんうん、いい感じ。あ、ここにもまた経済というお花が咲いてます。そんなこと言ったら、僕なんていい感じの塊です。僕は人間国宝ではなく、人間経済です。僕は経済なんです。あ、申し遅れました。わたくしの名前は植物です。わたくしは植物太郎です。
 そうです。植物は自分が経済であることを知っているんですよ!
 これ結構ヤバイ話なので、メモっといて。
 植物は自分が経済であることを知っている。一方、人間は(馬鹿だから)自分が経済であることを知らないんです。もう困ったものです。その挙句「私はなんのために生きてるかわからない」なんてことをぬかす、いや、失礼、嘆いてしまうんです。いやはや!
 植物はなんで自分が経済であることを知っているんでしょうか。簡単なことです。一人じゃないからです。植物がどこかに生えると、というか生える前から植物はすでに土の中にいまして、その時点で一人じゃありません。土がベッドです。しかもそのベッドはシーツ自体から栄養が漏れてきて、体の中に直接入ってきて、そのまま種を成長させてくれます。土の中には一つだけでなく、まだ人間が知らない栄養素まで、あらゆるものを含んでまして、その時点でもうすでに数千人に囲まれているっていうか、多分もっとですよね、見えない微生物もいますから、もちろんみんなが嫌いで馬鹿みたいにマスクしたり除菌したりして、どうにかこうにか殺そうと必死に馬鹿なことをやっているあのウイルスたちもたくさんいます、もう小さすぎて、そんなマスクなんか馬鹿じゃないかなんの意味もないってほんとお前ら馬鹿だよバカの骨頂、本物のバカ、消毒液なんか手につけて自殺行為なの早く気付けよバカ、バカばかバーカ、まじでこの清潔世界とかいう不潔世界滅びよ、って植物は思っているのかどうか知りませんよ、でも、植物はとにかくたくさんの微生物、ウイルス、死骸、それらも全部彼らに取っては栄養素、仲間でありながら自分を成長させてくれるものであると完全に知覚してます。そんなわけで、財宝の塊みたいなもの、そこに群がる人々の気配を常に感じながら、つまり、自分が宝であることに気付いているわけです。生まれながらにそうなんですから。両親なんていません。育児放棄されてます。でも周りにたくさんの違う生物たちがいて、その生物たちに囲まれて生きているんです。孤児ですよ。でも周りの応援を毎日精一杯受けて生きてる。だから、前向きなんです。いや植物は後ろ向きになったり、斜め向きになったりと落ち着きがありません。でもどちらも全部、アリさんがやって来るので、どんな方向に育っていても自分を否定しないんですね。一方、すぐ自分を否定する人間たち。
「大丈夫、きっとうまくいくよ」という言葉、この僕を地獄の底だと勘違いしていたこの僕を救ってくれたこの言葉は実は植物たちに教わった言葉なんです。だから大丈夫、きっとうまくいくよ、って別に慰めの言葉じゃないんですよ。慰めの言葉として決して使わないでくださいね。そんな嘘っぽい言葉は要りません。僕たちに必要なものは本当の言葉です。真理の言葉です。好きな人に好きっていうくらいに本当の「大丈夫、きっとうまくいくよ」なんです。つまり、真実なんです。なぜなら、植物は自分自身が経済であることに気付いているからです。だから、枯れそうになっても、植物は決して、決して、決して、諦めません。決して、です。人間ってなんですぐ落ち込むんですかね。バカなんですかね。何かがうまくいかなくなっただけで、たった一つの失敗で「お前はダメな人間だ、お前は育ってきた環境が悪いし、頭の悪いし、人付き合いもへただし、仕事もうまくいかないし、お金もないから死んだ方がマシ」だなんて言って、ほんとバカです。植物は怒ってますよ。いや、違います。植物は怒らないんです。すみません、怒ったのは僕です。坂口恭平です。せっかく植物に怒らないコツを教えてもらったのに、また失敗しちゃた。でも大丈夫、きっとうまくいくから。もう僕は自分を決して否定しません。ちょっとした言葉で「いやいや、私なんて」とか言いません。「君、可愛いよ」と言っても、世の女性はみんな「いやいや、私よりももっと綺麗な人がいますよ、私ってブスですよ、ブス」ってなんで言うんですかね。バカなんですかね。それが謙遜と思っているんですかね。そうじゃなくて「え!とても嬉しいです」と言えばいいんじゃないですかね。僕なんかいつも「頭も良くて、いい感じですよね」と言われたらいつも「どうもありがとう!」と元気溌剌に言いますよ。植物に教えてもらったことです。だから今日は僕が植物から教えてもらったことをみなさんにも教えますからね。今日からやり方を全て変えてくださいね。なぜかって? そのままじゃお金が稼げないからです。お金を稼ぐことが嫌いですか? それなら、今のまんま「いえいえ私なんてブスですよ」と言い続けてもいいです。僕は嫌だけど、起こりません。植物に教わりましたから「人は必ず後で真実に気づく」ってことも。だからゆっくり待ってればいいんです。子育てだってそうです。「こうしなくちゃいけないのよ!」とか教えても子供は変わりません。「大丈夫、きっとうまくいくよ」と言って、何にもそれ以上は言わずに、近くにいてあげたら、子供は何事も全てを達成してしまいます。こうしろ、とどこかの芽を摘んだり、勝手に自分の思う通りにするために、ツルを強引に伸ばしたい方向にくくりつけてもうまくいかないどころか、そこだけ枯れます。植物はすぐに自殺します。そうやってこちらが意図的に自分の稼ぎのために動くと、すぐ植物は集団自決するんです。だって、楽しくないからです。つまり、人が自殺する理由も「楽しくないから」です。楽しかったら、誰も死にません。子供だってそうです。楽しかったら、すくすく育ちます。楽しくなかったら、自殺します。簡単なことです。でも誰も気付いてません。人間はバカだからです。つまり、自分が経済であることに気付いてないからです。

 僕は子供が二人います。小六の坂口アオ、そして小二の坂口ゲンです。僕が二人に教えるのは、植物に教わったことだけです。つまり、あなたが経済である、ということだけです。つまり、一人じゃないんだよ、ってことです。一人では経済にはなりません。経済とは常に複数である、ということは真理です。植物はそれは一人の人間と同じなんですが、一本の茎は常に複数です。どこにも伸びていきます。私はピアニストになりたいから、ってピアノだけ練習することなんか絶対にしません。イチローとか藤井のちの名人とかは植物の世界にはいません。でもダヴィンチはいます。平賀源内はいます。南方熊楠はいます。まず経済は複数である、ということを忘れないでください。それはただ、一人じゃ経済ではなく、二人から経済が始まるというわけではありません。有象無象が集まっても何にも経済は起きません。そういうことではないのです。
 一人じゃないんだよ、っていうことは、あなた自身はいくらでも分裂できるんだよ、ってことです。あなたが複数だよ、ってことです。これが経済の基本です。植物はどこにでも伸びるし、そのどの方向でもそれぞれに好きなように伸びていきます。これを僕の仕事で当てはめると、僕は、本も書きますし、絵も描きますし、歌も歌いますし、陶芸もしますし、ガラスも吹きますし、織物もしますし、セーターも編めますし、革靴も自分で作っちゃいますし、畑もやりますし、その野菜で料理も作りますし、いのっちの電話もします、セックスもしますし、経理もやります、スケジュール管理もしますし、セックスレスの夫婦間の問題をその相談してきた妻のことをいやらしい目で真剣に見つめながら相談に乗っている最中についつい触りそうになりそんな価値のある女体をお持ちのその妻と結婚している旦那様あなたが羨ましい、この女性があなたに心を開いていてなんでもしていいよどんなことでもあなたがやりたいことをやりたいって言っていいのよとか、夜言ってくれてるのかと思うと、まず旦那様あなたを殺して、そしてその横であなた、この旦那の妻であるあなたといますぐ交わりたい、と伝えると、旦那様は怒って「なんだお前は!」と妻の手を引いて「なんて男に相談しにきたんだ、あいつはただの寝とり男だ、もう帰る」なんて言って帰っていきました。後日、その妻からLINEが届いて「あの後、家に帰ろう、と言ったのに、ムラムラが止まらんと言い出して、伊勢丹の多目的トイレで、今はお笑い芸人のあの人がなんかしでかしたこともあってそれなりに警備も厳しかったんですよ、アルソックの人がウロウロしてましたし、でもその監視されてるのがまたいい、そこがいい、むしろみられたい、と言って、鍵もかけずに多目的トイレでやっちゃいました♡ 恭平さんありがとうございます。セックスレスキラー恭平、さすがです。今では週に二回は二人で伊勢丹で緊張しながらやってます」とのこと。いや、こんなことは子供には言えません。いや、言えます。なんなら伝えます。真実を伝えるのです。いや、今はそんなことを言いたいわけじゃなくてですね、僕が複数ってことを言いたかっただけです。
 いけませんね、ついつい僕はサービスをしすぎてしまいます。なぜなら経済だからです。どこからも流れてきて、どこにでも流れていく、行き来が激しいってことですね、人が虫が思考が直感が愛の香りがからだじゅうを行き来しちゃってます。ペンギン村です。楽しいです、楽しいでしょ? 楽しくないですか? こんな無料の学校があったら毎日行きたいと思いませんか? みんな生活保護受けながら通ったら、もう一生卒業したくないって思いませんか? 僕はそう思います。一生、お金の学校校長として、半裸で全裸で真面目にお金について語りながら、みんながビキニ姿で、なんなら、自分の裸体に自信があってそれが経済だと気付いた優等生マサコはもういつも全裸で教室の一番端っこに座っていじってる、みたいな場所、生徒数のかずが半端なくなると思うんですよね。マンモス校になるんじゃないかと。マンモスってすごいですよね。マンモス校もすごいですよね。僕も中学生の時は1500人いましたね。生徒の数が。ヤンキーもいましたし、妊娠した人もいましたし、なんかフリースタイルでしたよね。そこで僕は学年トップの秀才でした。かつ、シンナーやっておしっこ平気でベランダからやってる友達たちのお世話、と言いますか、一階では母ちゃんがボロボロ煎餅食べてテレビ見てるので、そのヤンキー息子とヤンキ仲間と母ちゃんの間の緩衝材みたいな仕事、もうこれはれっきとした仕事だったと思うんですが、報酬は0円でした。
 むちゃ簡単に言いますと、子供たちには何でも屋であれ、って言ってるんですね。ヤバすぎるくらいシンプルに言えましたね今。別に二人ともなにか習い事に行って得意なことをぐんぐん伸ばしているわけじゃないですよ。二人とも習い事ゼロですし、行こうともしません。塾とかもいこうともしません。しかも、ゲンに至っては、友達が「ゲンくんあ〜そ〜ぼ!」って家を訪ねてきてくれたのに「いや、今日はゲームを一人でやりたいからやめとく!」って素直に断ったりしてる人です。すごすぎです。そんな素直にどうしたらなれるんですかね。小学生の時、僕は友達の誘いを断れたことがありませんでした。肝っ玉座ってます。好きなことしかしないという精神に満ち溢れてます。惚れ惚れします。すげーなと思います。一方、アオはよく人に気を使うとても心の優しい子です。だから一人でいると落ち着くんだと思います。友達とは学校で仲良くしてれば満足みたい。
 アオが学校行きたくないって時があったんですが、その時、僕は学校にはいかなくてもいいんじゃね、でも、それなら、俺と同じ状態じゃね、つまり、働いてみたら?と誘ってみました。働くってどうするの?と言うので、何かをして、人が嬉しくなって嬉しさのあまりお金を払う、で、そのもらったお金をいい感じに使う、と伝えました。それおもろそうじゃん、どうするの?と言うので、お金はかけないでやると伝えました。
「お金をかけないでどうやるの?」
「お金をかけないって言うか、自分がお金ってことに気づく必要があると思うよ」
「どうやって?」
 そこで僕は自分のiPhoneを取り出し、ボイスメモを起動しました。
「パパ、これ私ジャン」
「そだよ。アオがもっと小さい時に歌ってた歌。すげーいいじゃん」
「ははは、可愛いね。よく残してたね」
「あ、おれ全部金に変えようとしちゃうからね」
「そこ徹底してるよね」
「そうだね。俺経済だからね」
「ケイザイ?」
「そだね」
「何それ」
「お金を使って何かを買うんじゃなくて、自分がお金だって気づくってことやね」
「何それ。だってお金ないと何も買えないじゃん」
「そかね。パパが今着てる赤いセーターどこで買ったっけ?」
「自分で編んでたね。すごいよね。よくやるよ」
「毎日履いてるリンクみたいな革靴どこで買ったっけ? いくらだっけ?」
「自分で作ったんだよね。大阪?だっけ?」
「そうそう」
「よくやるよね」
「今流れてる養命酒のこのCMの歌、なんだっけ」
「この二人の夫婦のCMなんか好きだよ。え、この歌、パパの声じゃない?」
「そだよ、10分で作ったよ」
「え?」
「10分で自分でギター弾いて作って、30万円だったよ」
「へー」
「しかもさ、同時期に俺appleのCMも出てたじゃん」
「ああ、appleね。appleって今、一番すごい会社なんでしょ?」
「じゃあCM料いくらくらいだと思う?」
「養命酒が30万円だったら、3億円くらい?」
「いい線いってる」
「へえ、じゃあうちら金持ちじゃん」
「そだね。20万円だったよ」
「まじでwww 安!appleヤバイジャン。強制労働!」
「いやあappleは金出してると思うんだけど、アメリカの広告代理店ってやつが多分ヤバイなm、相当抜いてるわ。間に入ってたのは博報堂。でも博報堂はよくわかってなかったなあ、ま、ただの繋ぎやな。アメリカのCMには出るなよ。利用されるだけや。しかも、こんな安いのに、金額とかを公表しないとかなんとかって誓約書まで書かなくちゃいけなくてね」
「ひえええ、ワルやのう」
「アオ、あんな、絶対誓約書にはサインするなよ。契約書は絶対にまずは自分で作れ。自分でいくら欲しいって金額を書いて、その契約書を自分で作れるような人間になれ。人に使われるなよ。パパが失敗したことを全部教えてあげるから、お前は絶対に人に使われるなよ。会社とか行きたいか?」
「絶対無理、つまんなさそうじゃん」
「子供の時はそういうよみんな。でもな、すぐ人間はバカになる。中学まではギリギリや。高校になったらほとんど全員同じ人間になる。大学になったらもうみんなヤバイ。そしてそのまま会社員になる。どんな奴でもそうなる」
「どうしてよ?」
「だってお金をどうやって稼ぐって知らんまんま大人になるからや。お金って会社からもらうもんか? うちはどうや?」
「パパ会社に行ってないよね」
「おいおい、俺会社やってるし。社員とかはおらんよ。俺だけや。自分を守るために作ったんや」
「へえ」
「お前にも会社の作り方教えたる」
「なんで?」
「会社に行きたいんか?」
「いやあ、無理・・・」
「会社に行くのが苦手なやつが生きる道は一つや」
「会社を作る、ってこと?」
「そうや」
「なんの会社? 何を売るの?」
「アオ、お前が作るのは、お前を売る会社や」
「あたしの何を売るの?」
 僕はまたボイスメモを再生した。4歳の時の可愛いアオの歌声が聞こえてきた。
「最高の歌や。完璧や」
「面白いよね。かわいい。確かにあたしもこの歌好きかも」
「しかも、大抵のお子ちゃまシンガーはな人の歌を歌っとる」
「どういうこと?」
「パブリカって歌あるやん」
「フーリンが歌ってるやつね」
「あれ、ムッチャ売れてるやん」
「うんうん。毎日聞くし」
「でもフーリンはきっと稼いでないぜ」
「え、なんで? あんなに売れてるのに」
「お金はどこに流れてるでしょう」
「え、じゃあ米津玄師?」
「うーん、ま、当たっとるが、それも数%や。大抵はレコード会社に入っていく」
「へえ」
「米津玄師もすごいっちゃすごいけど、でも米津玄師はソニーって会社あるやろ? あの会社の社員や」
「え、そうなの?」
「うん自由人じゃない。お給料制やきっと。ま、給料はすごくもらってると思うけど」
「そっかあソニーかあ。じゃ、歌を作るならまずはソニーを作れってことね」
「いい感じ。それそれ。と言うことで、会社を作るぞ、名前はなんにする?」
「blue」
「早いのがいい。なんでも早いのが一番いい。思いついたものそのままってのが一番いい。これが売れるかもとかこうすると深読みできるかもとか色々こねくり回すとどんどん売れなくなる。そのままがいい。じゃあblueって会社作ろう」
「わーい。私、社長?」
「もちろん。で、社長、何を売りますか?」
「え、その歌じゃないの?」
「アオ、絵もうまいじゃん」
「へえ」
「おけ、へえ、で留めておけよ。すぐ大人になると、いやいや下手ですよ、とか言い出す。あれはやめとけ」
「なんで?」
「心地よくないからや。一応、嬉しくない? うまいって言われたら」
「確かに嬉しいよ。下手って言われるより全然嬉しい」
「でしょ。嬉しい時はなんて言うの?」
「え? 嬉しいって言うよ」
「素直でよろしい!」
「でもパパ褒めすぎるからなあ。恥ずかしくなるよ」
「おいおい、俺は嘘は言わんよ。絶対に言わん。下手なやつにうまいとは絶対に言わん」
「なるほどそりゃそうだ」
「だから歌だけじゃなくて、絵も売ろうぜ。これがあるよ」
「あ、無印良品のエコバックと、クレヨン!」
「無印良品と仕事した時に、たくさんもらってきたやつや。このバッグに絵を描いて、アイロンしたらあら不思議blue特製アオ直筆のエコバックになるよ」
「なるほど。あたし作ってみたいし!楽しそう」
「それ大事」
「楽しいの?」
「うん。楽しくないことは絶対しないこと」
「楽しくないことはしたくないよ」
「会社に行きたい? 寝坊できない生活したい?」
「いやだ〜」
「何したい?今?」
「自転車と好きな服買いたい」
「いいね。欲望大事!欲しいもの大事!でもさ、服買う時、アオ、気使うやん。お母さんの顔色見るって感じがする。見てると」
「そりゃねえ、、、気にはするよ。ママのお金だからさあ」
「そういうことよ。つまり、人のお金だと何を買うのかどうかを全部チェックされるやろ」
「まあね」
「それ楽しい?」
「確かに自分で好きに使えたら嬉しいよ」
「嬉しいの大事」
「うんうん」
「つまりは、誰かに許可を取らなきゃいけないお金なんてつまんないってことや。とにかくなんでも好きに使って良くて、誰に許可も取らないで良くて、自分で思うままに好きなものを好きなだけ買えるものがお金ってこと。あとは全部人のお金や。それじゃつまんない」
「自分のお金を獲得するために会社を作るってことね」
「そうそう。ママが一切手をつけられないお金や」
「面白そう」
「ママになんか買ってあげたりもできるぜ、好きに」
「確かに! 私、みんなにヨギボーを買ってあげたい」
「あの、廃人になるソファとかなんとかのやつね」
「そうそうあれあれ」
「優しい子や。よし、そうと決まったら、とにかく自分ができることの一覧表を作るんや」
「はーい」
 そんなわけで学校に行きたくなくなったアオはお金の学校に入学することになりました。

「できたよ〜」
 アオは一覧表を見せてくれた。


 アオができること

 1 自分で作詞作曲した歌が入ったアルバム
 2 自分で絵を描いた無印良品のエコバック
 3 自分で作った置き物
 4 自分で絵を描い無印良品のお皿

「素晴らしい! しかももう全部作品揃ってるし」
「あの歌以外にもまだあるの?」
「うん。たくさん録音してる。今から聞き直しながら、一緒に曲名を考えよう。そして、あと二曲くらい新曲を入れたいね」
「新曲?」
「そうそう。昔の曲と、今のアオの曲も入ったら、楽しくなると思うよ。ま、国語の時間だと思って、詩でもさらっと書いてみてよ。俺が曲つけてあげるから」
「オッケ〜」
「今回は特別に俺が曲つけるけど、全ての権利をアオにあげるよ。そうしないと半分は俺が持っていくことになる。今回だけは特別にね」
「嬉しい!ありがとう」
 というわけでアオが4歳の時から9歳までの自作の歌が10曲入ったアルバム『くすのき』が完成した。初のソロアルバムです。CDーRを買ってきて、焼くのは僕が担当しました。そこに一枚ずつアオがアルバムタイトルを書いて、署名して、ついでに絵も描いた。それをスリーブに入れたら、アルバムの完成である。
「すごいね」
「いくら?」
「えっとね。値段も自分でつけるの」
「そうだよ」
「CDは100枚あるよ。それでいくらくらいになると嬉しいかな?」
「5万円の自転車と3万円のソファが欲しいんだよね、あとは服をちょっと買えたらいいから10万円・・・流石に無理かな」
「アオ、無理って言葉は禁物や」
「なんで?」
「自分で無理だって言うと、それはそのまま制限かけることになるんよ。だからこういう時にはパパは自分で自分に大丈夫、きっとうまくいくよって声かけてるよ」
「へえ。わかった!大丈夫きっとうまくいく。10万円目指してみます」
「そうこなくっちゃ。小学生で10万円はいい感じや」
「お年玉10年分! やってみたい」
「すると、10万円割る100ってことや」
「一枚千円ってことね」
「そう。無駄に稼ぎすぎちゃいかんよ」
「なんで?」
「自然じゃないから。大きめの靴とか小さめの靴とか履いても心地よくないやろ」
「うん」
「あれと一緒。自分で心地よさを決めるんや。その金額だけを獲得するってこと。それが経済」
「へえ、経済、結構面白いかも。生き物みたいな感じがする」
「感性いいね。その調子」
「やっぱりパパ褒めすぎなような気がするんだよなあ」
「なんかそれで問題ある?」
「いや、問題はないけど、なんか失敗したらどうしようみたいなのもあることは確か」
「失敗ってどんな失敗?」
「いや、売れなかったらって」
「このCDーR、アオ買ったっけ?」
「いやパパの」
「お皿とかエコバックは?」
「パパの取引先の無印良品さんからもらったもの」
「つまり?」
「損はしない」
「ってことは?」
「あ、失敗しない!」
「そう。売れなくても問題がないんだよ」
「だったら安心だ」
「どんな時もそれをやるんだよ。だってさ、お金かけちゃって、売らないとヤバイみたいになったらどうなる?」
「楽しくないし、こわばるよ、売りたすぎて、買ってくださいって言っちゃいそう」
「それ楽しい?」
「楽しくないことはしないってことね」
「そう。失敗もない。ま、とりあえず俺のネットショップで出品してみようぜ。アオの歌本物だから必ずうまくいくよ」
 というわけで僕のBASEで販売したところ1日で売り切れてしまいました。そりゃ当然です。歌がいいんだから。誰にも作れない歌だから。歌声が優しいから。何よりも売るための音楽じゃないから。生の声だし、素の声で、大事な声だから。というわけで、アオちゃんは翌日、5万円のマウンテンバイクを買い、その翌日ヨギボーのソファを我が家のために買って贈ってくれました。その後もエコバックもお皿も置物も売れました。アオは音楽家であり、エコバック作家であり、画家であり、陶芸作家であり、彫刻家になりました。すると、その動きを見てたポパイ編集部から連絡がありました。作品を外に発表すると、流れが発生します。経済が生まれてます。経済は素直であればあるほど、生であればあるほど、その人の一番自然な部分であればあるほど、すくすくと、植物なんですから、どんどん伸びていきます。どこまでも届いていきます。少しでも商品のためにという作業があると、すぐに商品になってしまいます。そうなると不思議なことに経済になりません。それは商品です。それは人間がお金で売買するための道具になるのです。
 経済はそうではありません。流れです。自然に流れていくものです。潮流です。ヨーロッパから高知県まで無料で船に乗って流れ着くことができるのです。それが流れです。もちろん、アオが経済であることに気付いてたのは僕です。なぜなら僕は植物から教わっていたからです。しかし、これを自分の中に留めていてはいけません。湧き水に水道管を差し込んでこれは私の水だ、ボルビックだ、エビアンだの名乗ってはいけません。僕の経済は常にみんなの経済なのです。僕は経済です。みんなも経済です。僕と経済とみんなは実は一つの大きな流れなのです。海みたいなものです。どこまでも流れていきましょう。混じっても気にしないでいきましょう。心を大きく開いて、あなたが知っている一番大事なことを、一番大事な人にそっと教えてあげてください。それが経済です。そうすることで、あなたが経済になります。
 僕はアオの歌声が経済、それを歌うアオが経済であることに気付きました。だからこそそれを伝えました。そういう時、見出したやつはついついその見出された人からお金を抜き取ります。ビーチボーイズもビートルズも矢沢永吉もみんなレコード会社、マネージャーにお金を抜かれ続けてきました。だからこそ、彼らは独立して会社を作るのです。会社を作るとはつまり、自分を救う、ということです。忘れはいませんよね、つまり、そうです。自分の会社を作ることもまた経済なのです。自分を救うためには自分の会社を作らなくてはいけないのです。そして、そうやって自らが経済であることに気づいた人間は植物に感謝し、それを別の人間に知らせてあげる必要があります。なぜならば、そこに発生しているものが経済、つまり、海であることに気づくからです。海に堤防作ってどうするんですか? 海の中で領土を決めたりしたらどうなりますか? コンクリートで埋めてどうするんですか? 生態系は丸崩れ、美味しい魚はいなくなります。石牟礼道子さんだって怒ります。自分が経済であることに気づく、つまり、自分が海であることに気づく、つまり、それは周りの人がみな海ってことなんです。だから、僕たちは自分の経済に気づいたら、次にまずは隣の人に「おーい、ここは、我々は海だったんだぞー」って教えてあげる必要があるんです。仲介料を取ると、人は地獄に落ちます。ビートルズから矢沢永吉から汚くお金を抜き取った人間はみな変死体で発見されてます。そういうことです。経済であることに気づいた時、それは自然を発見したということです。どうか独り占めしないでください。みんなに心を開いてください。お金の学校、これは僕が気づいた自然の発見です。だからこそ、無料でみんなが読めるようにしているのです。どうか入学金など払わないで読んでください。しかし、実際は違います。海には幸があります。海はただの海ではありません。豊かさ、ミネラルをどんどん湧き立たせます。ここにある一つのものがどんどん増えていきます。もともとこの世は全て海でした。そこから細胞が生まれ、その死骸と岩が組み合わせて経済となって、土が生まれ、地表に生物が到来してきて、今、僕は熊本に住んでます。そうやって、広がっていきます。自分が経済であることに気づいた僕は、僕が一人ではなく、増えていくことに気付きました。だから気にしないでいいんです。どんどん楽しく、あなたが知っている秘密を教えてあげてください。私的所有をしないということではないんです。やはり所有とは大事な概念です。あなたはあなた自身をまずはしっかりと所有しなくてはなりません。それは自分を救うということです。それが経済ということです。その自然に気づいたあなたは不思議なことを経験するでしょう。「あなたが増える」という、五次元世界では普通に毎日起きている現象を、この現実で味わうことができるってことに。同時に、畑ではそれが毎日起きてるんだと、言い添えておきます。もう畑が田舎臭いだとか汚いだとか面倒くさいだとか時間がないからできないとか言う人は、このお金の学校の生徒であるあなたたちは一言も言わないと思います。そこに海があるんですから。海を見にいくんじゃないんです。海になることができるんですよ。畑の帰りに車の中でズボンにくっついたいくつもの草や種を見ながら、僕は一つの潮流になってこの道を走ってると思います。その途端、全ての空気が海となって、僕は海の一部の潮の流れの一部となって、どこにでもいけるんだって絶対大丈夫だって心から勇気が湧いてくるんです。
 

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坂口恭平 09081064666