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2019年に会ったマスコットたち

 その日、西京極総合運動公園にはものすごい人垣ができていた。歩くのが困難になるほどの人だかりの中央にいたのは、マスコットのコトノちゃん。少し離れた場所で、パーサくんも囲まれていた。11月4日の甲府戦でのこと。まるでスターのように2羽が囲まれる光景に、京都でもマスコットがアミューズメントの1つのコンテンツとして認められつつあることを実感した(この日は広場の中央に展示用トラックが停まっていて人の導線が狭くなっていたことは一応付記しておく)。ということで、今年スタジアムで会うことができたマスコットたちについての所見をまとめてみた。

“爆かわ・維新の獅子”
レノ丸(レノファ山口FC)

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ちっこい。腕が短い。衣装持ち。そして人気者。かつてマスコット総選挙でベスト3に入った実力は伊達じゃない。機動力には難があり、台車で運ばれていく系。だがそれがいい。ポーズを取るとき斜めるのもお茶目。ところでレノ丸の顔は霜田監督にどことなく似てる。レノ丸も年齢を重ねていくとあんな感じの童顔のおじさまになるだろう。そして今度こそハリルホジッチを支えて続けてほしい。

“おれたちひょうきん属”
ヴォルタくん(徳島ヴォルティス)

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かわいい系、癒やし系、かっこいい系などの属性でマスコットを分類すると、完全にコメディアン系。甲府のヴァンくんとの2トップは、J2…いやJマスコット屈指の笑率を誇る。とにかくお腹をさする。タヌキなので。時に指をくわえる仕草であざとさを演出するが、芸人気質のせいでかわいいより面白いが先にくる。西京極では逆立ちが目撃できなかったのが残念。意外と脚が長くて等身が高い。だから運動神経いいのか…(ゴクリ)。

“藍・ラブ・ポニーテール”
ティスちゃん(徳島ヴォルティス)

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お調子モノのヴォルタくんと一緒になってはっちゃける系の恋人(設定はおともだち)ティスちゃん。え、付き合ってるよね?つがいのマスコットの中では結構なバカップルだと認識してたけど。おでこのマークはは。ハート=LOVE。額にVマークのヴォルタくんと合わせて、「LOVE VORTIS」。リーグ終盤戦に盛り上がった選手たちのあのパフォーマンスは、この2人が発祥説をとなえておこう。ところでおともだちじゃないよね?付き合ってるよね?

“パークを制する無尽蔵のスタミナ”
ファジ丸(ファジアーノ岡山)

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犬は兵隊、猿は智謀、雉は諜報…。桃太郎のお供たちには、そんなウラの意味が秘められているという説がある。雉は縦横無尽に飛び回って情報を集めてくる存在。ファジ丸は試合3時間前にスタジアム前に現れるや広場やらイベントブースやら、公園内をひたすら歩き回る。時に告知物を配ったり、時に子供を持ち上げたり、時に脚立芸を披露したり…。都合2時間近くは公園内のどこかにいたんじゃなかろうか。あれはきっと、ファジ丸の中から偉い人がスタジアムの盛り上がり具合を諜報してるに違いない。…失敬、中に人などいない!

“気配りが黒衣を着た紳士”
ヤサガラス(ツエーゲン金沢)

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アウェイマスコットながら、2年連続で京都公演を成功させた男。今年は地元の西部緑地公園でもお会いしたが、たぶんアウェイの方がスター扱いされている。ヤサガラス党首目当てで関西一円から集った党員の数知れず(一部誇張)。囲まれれば丁寧にファンサービス。子どもと同じ目線まで腰をかがめる気配りからは、育ちの良さがうかがえる。舞台上では高笑いしながら悪事を嘯(うそぶ)くが、背後にはプロデューサーの中山事業企画部長の姿。奴だ。奴が黒幕だ。その向こうで店番の傍らグッズ担当の女氏が劇場をチラ見しては、笑ってる。愛されてるなぁ、ヤザカラス。

“主役を奪われたままのヒーロー”
ゲンゾイヤー(ツエーゲン金沢)

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アウェイの京都公演でも、本拠地の本家劇場でも、ヒーローとなって悪の化身とバトルを繰り広げた。バトルアクションはカッコいい。がしかし、何のために戦っているのか。悪の化身を際立たせるためだけの殺陣(たて)になっていないだろうか。戦闘によって「みんなの笑顔を守る」ことが正義なのか。それはヤサガラスの別人格・ツヴァイの問いかけでもあったが、答えは曖昧なままだ。ゲンゾイヤーの存在こそ、哲学。それでもいいじゃないか。ヒーローがいないと、ヒーローショーは成り立たないのだから。

“純情な感情を弄ぶやん”
ゲンゾー(ツエーゲン金沢)

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西部緑地公園でのヤサガラス劇場(京都戦)で、「コトノちゃんが来てる」とヤサガラスを謀(たばか)り、転げ回って大爆笑。純情な感情を弄ぶなんて、ひどいやつ…。とまぁ、すっかりヤサガラスのいじり役になっているのだが、それでいいのか、ゲンゾーよ。今年はマスコットとしては異例のファンクラブも設立(ヤサガラス党のついでとか言うな)。目立った活動状況は聞こえてこないが、とりあえず玉入れには勝利した模様。ところで純情って何?

“もう声を付けるしかない”
ナンシー(ツエーゲン金沢)

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あの子も好きだけど、この子も好き。そうやって彼女の自体が男たちの騒動の種となる。まるで保元の乱における待賢門院璋子のよう。しかしナンシーのモテ女設定は十分に伝わってるのかどうか…(ヤサガラスが目立ちすぎるせいだ)。クラブスタッフでも女性の活躍が目立つ金沢、そろそろナンシーにもパンチの効いた設定が欲しい。いっそ声を付けてみてはどうだろう。Jにはまだしゃべる女子マスコットはいないから一番乗りになれるぞ。人気声優をキャスティングして総選挙1位を目指す道もある。反則だが。

“2019最優秀マスコットに推薦”
ギッフィー(FC岐阜)

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Jマスコット屈指のダンサー。今年は長良川、西京極、長良川と3回も会ったはずなのに、自慢のキレキレダンスは全然見られなかった。ステージ上で踊る時間が結構早いのだ。デルピエロからサトミキ、SKE48…いろんな人とお友達になるコミュ力おばけ。素敵なゲストに会わせてくれてありがとう。他クラブとのマスコットともアグレッシブに絡むだけでなく、一般人ともTwitter上でエゴサして絡む(よく絡まれる)。西京極にも鉄板で来てくれてたギッフィーだけど、来年はJ2からいなくなるなんて…。もうゲーム関係なく新スタジアムに遊びに来てくれませんかね?明智光秀の大河ドラマつながりとかで。

“Vivi&Peace”
ヴィヴィくん(V・ファーレン長崎)

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ヴィヴィくんの前には、敵も味方もない。子供も大人も、みんなが心の鎧を脱ぎ捨てて笑顔になれる。すなわち平和の象徴だ。平和=ヴィヴィくんなのだ。西京極では、どなたかにプレゼントされた「振り回すとピヨピヨと音がなる棒(たこの足)」を振り回して大喜び。無邪気!イノセント!音の鳴るモノを渡してみると撮れ高上がるよ、と。なおこの日、ヴィヴィくんを撮りすぎて試合開始前にカメラのSDカードの容量が底を付くという失態をおかす。やだ、、、こんなの初めて…。1分間で何回ハグできるかって意味のわからない企画、あれのせいだ。おそるべしヴィヴィくん(後日、容量の大きなSDカードを買いました)。

“振りカエルば奴がいる”
一平くん(愛媛FC熱烈応援)

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結果的に彼が西京極(たけびしスタジアム)に来てくれた最後のアウェイマスコットとなった。西京極では、アウェイチームのグッズ売店は端っこの方に追いやられがちだが、今回はバックスタンドの入り口近くの一等地。一平くんはその傍らに立ち続け、グッズ購入者にサインと写真撮影を続けた。1時間後にのぞいてみると、まだファンサを続けていた。振り返れば奴がまだいる。イヤな顔ひとつも見せずに。ただ、疲労のためか青い顔はしていた。トップアイドルたる地位を築いた人気者は、地道な努力をいとわないんだね。一平くんは、いつも人生の大切なものを教えてくれる。

“栄光の背番号83”
パーサくん(京都サンガF.C.)

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今年、ビッグニュースがあった。ついにユニフォームに番号が入ったのだ。背番号は83。パー(8)サ(3)だから83。特にひねりはないが、ようやく背番号付きでチームの一員になった気がして、古くから彼を見てきた一人として感慨深い。やれ総選挙に出ればコトノちゃんより順位が下だとか、コトノちゃんの方がかわいいとか、キャラの薄さには定評があるが、横顔はくちばしがシュッとしてなかなかいいものだ。ところで背番号83だが、83のレプリカ着てる人はついぞ見かけることはなかった。金沢の背番号83はたくさん見かけたのに。ヤサぐれたいのは、たぶんパーサの方である。

“石櫃推しの #京美人
コトノちゃん(京都サンガF.C.)

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「コトノちゃんのTwitterアカウントを復活させてほしい」―それはある年の、議題に乏しかったサポーターズミーティングを締めくくった質問だった。その後、休止状態だったアカウントは復活。自ら #京美人 のタグを引っさげてTwitter上でも親しみやすいお姉さんキャラで立ち回り、冒頭にも書いた通り、その人気は着実に浸透してきている。左羽根にアウェイマスコットの顔を手芸するのもおなじみになった。シーズンが進むにつれて石櫃愛が加速したようで、ポシェットに付ける石櫃選手グッズがてんこ盛りになった。

■番外編
“JリーグTVいつも見てますよ”
原博実副理事長(Jリーグ)

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その日、西部緑地公園にフラッと現れた原副理事長。「あっ、原さんだ!」気づいた人が写真をねだると、気さくに応じる姿はもはやJリーグ全体のマスコットと言っても過言ではない。いや、元日本代表のレジェンドであり、FC東京などを率いた元監督であることは重々承知しているが、失礼ながらあえてマスコットと呼びたくなるような「親しみ」と「非日常感」を併せ持っていたのである。シュッと背が高い姿に宿るVIP感は「テレビの中の人」たるオーラなのだが、普通にスタグルに並ぼうとしたり、話かけたり、とにかく気さく。買ったばかりのヤサガラスのキーチェーンも持ってくれた。「これは何?ああ、ツエーゲンのマスコットか」。カッコよかったぜ。


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