PRの話をしているのに、なんでズレるんだろう?

広報マーケティングアドベントカレンダー2018の12月17日分です。完全に周回遅れの日程となっていますが、気のせいです。

さて、今日の話題は、同じPRの話をしているのに、なぜ話が噛み合わなかったりズレたりするんだろうか、ということです。皆さんもありませんか?PRのノウハウの記事を読んだはずが、なんだか自分の知っている、自分の期待しているPRと全然違う話だったりする経験が。

それはズバリ、話している相手とPRの定義が違うから。

PRってちょっと難しい言葉なんです。アメリカPR協会(PRSA:Public Relations Society of America)の定義はこうです。

ちなみにこれは2017年版で、ここ数年で定義が大きく変わっているのですがその説明は今回は省略します。

“public relations is about influencing, engaging and building a relationship with key stakeholders across a myriad of platforms in order to shape and frame the public perception of an organization.”

日本語訳はこれ。ほぼgoogle翻訳そのままですが。

広報(PR)とは、組織のパブリックな認識を形作り枠組みを作るために、無数のプラットフォームにわたって主要なステークホルダーとの関係に影響を与え(インフルエンス)、関わり(エンゲージ)、関係を築くことです

1つの要因は定義のズレ

日本では「ピーアール」という言葉が自己「アピール」等と混同されたのか、意味が変化したり、セールスプロモーション活動も包含する意味で使う人もいます。さらに訳語は広報とされるものの、本来は広報より意味が広いものです。この辺りが「話のズレをうむ要因」の1つです。

これですんなり納得といきたいですが、では、どこでズレが生じるのか見て行きましょう。

PR会社とか広報担当はPRの仕事を引き受けるときに(いわゆるRFPとか、社員ならジョブディスクリプションですね)大抵言われる言葉が2つあります。それは

広告じゃなくて広報で
効果測定はまずは記事の掲載数で。できればティアワン(ステークホルダーが読むような最優先重要媒体)増やしてね。できれば、社名とか製品名出るだけでなくて記事のメインになるようにね。

です。

そうなんです。最初に書いたPRSAの定義より狭まって

広報とは、広告を出さずにメディアを介して記事を書いてもらい、ステークホルダーに届けることである

になっちゃうんですよ。いやいや、最近のトレンドは、インフルエンサーに届けることですとか、ソーシャルメディア使いましょうとか言っても、効果測定は昔のままだったりする。メディアリレーションこそが広報。その考えが蔓延している。面白いクリエイティブ使いましょうよと言っても、

広告予算はない。無料のツールで作ってくれ
それは宣伝部でやるんで

となってしまう。広告じゃなくて広報で記事が出た。獲得した記事を広告費に換算してみようといういわゆる広告換算が行われ続けている。メディアリレーションをやる部門と、お金を使ってキャンペーンを行う部門が分かれてしまっているケースが多い。

広報=メディアリレーションの罠。

次に3つ目行きましょう。広告代理店やマーケティング界の人の考えるPRの話。

とにかくスケールが大きいことが多いです。大きなコンセプトを決めて、世の中の人の考えが変わるように、ドカンドカンとキャンペーンを打って行きましょう。広告も出しましょう。もちろんメディアの方にもお伝えしましょう。そんな感じです。テレビCM、面白いイベント、デジタルサイネージ、サンプリング、無料でバラマキ・・・まずパーセプション(認識)を変え、ビヘイビアを変えましょう(行動変容)・・・

壮大なコミュニケーション戦略をPRと定義する

そうなんです。会社の成否を分けるような、壮大なコミュニケーション戦略をPRと言っているのです。お金を使う、使わないとかの話じゃなくて。広告だとかイベントだとかは単なる手段の1つ。メディアリレーションも組み込まれてますが、もっと大きな部分で話している。

その人たちが広告の部分を事例として話したとしても、大きな括りはPRなので「あれ?広告の話なのにPRの一環ってどういう意味?PRじゃなくて広告だよね?違うよね?」と感じる人も出てきてしまう。

相手とどのレベルでどの話をしているのか、相手の考えているPRとは何なのか。

人により定義も考え方も違うので、私の書いたものが万人に当てはまるわけではないですが、それぞれ違うことを違う次元で考えているんだなと気づいていただけたらと思います。

個人的には、色々な企業の広報活動を支援していく中で、メディアリレーションだけにとどまらないPRに目を向け始めた企業が増えているなと感じています。メディアの方に記事として取り上げていただくことも大事ですが、もっと幅広く物事を見ると、変わりゆく時代の中に大きなヒントが見えてくると思っています。

ぜひ引き続き、皆様と意見交換、情報交換をさせていただきたいです。






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加藤恭子:BtoBのTech広報ビーコミ
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