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評⑫続さいたま……が、芸術監督私的覚え書と化す

 さいたまゴールド・シアター最終公演千秋楽、太田省吾『水の駅』4500円、の「その2」である。

彩の国さいたま芸術劇場は改修へ

 舞台は、彩の国さいたま芸術劇場の大劇場。この芸術劇場は立派でまだ新しいようにも見えるが、1994年10月開館から四半世紀以上経過し、老朽化もあり、大劇場は改修工事に入り、2022年10月~2024年2月は休館予定という。
 蜷川さんが2016年に亡くなったことと合わせ、この改修工事もゴールド・シアター終幕のきっかけらしい。2006年発足のゴールドに続き2009年にスタートした若手俳優育成プロジェクト「さいたまネクスト・シアター」も今夏に同様、最終公演を迎えた。

公共劇場の芸術(総)監督の話

 ※一部敬称略
 なお、ここの芸術監督は蜷川さんだったが、2016年に80歳で死去の後、空席だったのだろうか。2022年4月からは、舞踊家でコンドルズ主宰の近藤良平(53)が芸術監督に就任予定。これは完全私見でめでたい。コンドルズは一般人とのコラボ企画も多く、その一つに参加したことがある。近藤さんだけでなく集団で、一般人を楽しくダンスの世界に誘っていく手法は見ている。公共劇場には似合う。ただ、ダンスの世界でどういう評価かは知らない。

 比較すると、野村萬斎(55)が20年務めて退任する世田谷パブリックシアターの芸術監督に、2016年4月からKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督だった白井晃(64)が就任するのは「?」という声もなきにしもあらずか。KAATでの白井の後任が長塚圭史(46)で「若返りを図る」とか言ってたような気がするからか。世田パブの芸術監督就任会見は2022年2月らしいので、白井さんのコメントに注目するか。白井さんも「?」は重々承知だろう。

 少しずれるが、SCOTの鈴木忠志は「人事権も含めて劇場全体を指揮できる芸術総監督制を敷いているのは、SPAC(静岡県舞台芸術センター)のみ(現在は宮城聰)」として、他劇場の芸術監督は権限不足と指摘している。SPACのHPで「日本で初めて、事業に関する人事権と予算の執行権を持つ芸術総監督」と紹介している。

つい、並べてしまった

 つい、並べてしまった。うろ覚えとウェブ検索の私的覚書。間違いあるかも

<芸術監督>※館長、理事長等は別にいる
新国立劇場 宮田慶子→5代目小川絵梨子(18.9~)(演劇)、7代目大野和士(オペラ)、5代目吉田都(バレエ)
彩の国さいたま芸術劇場 蜷川幸雄(06~16死去)→近藤良平(22.4~)
世田谷パブリックシアター 佐藤信(劇場監督)(97.4~)→野村萬斎(02.8)→白井晃(22.4~)
KAAT神奈川芸術劇場 宮本亜門(10.4~)→白井晃(14.4~芸術参与、16.4~)→長塚圭史(21.4~)
東京芸術劇場 野田秀樹(09.7~)
座・高円寺 佐藤信(09.5~)
愛知県芸術劇場 勅使川原三郎(20.4~)※ダンサー
Bunkamuraオーチャードホール 熊川哲也(12~)※東急文化村、バレエ
……wikiを見ると他にもいくつか
<芸術総監督>※理事長は別にいる
SPAC静岡県舞台芸術センター 鈴木忠志(97~)→宮城聰(07~)

 こうして見ると、野村萬斎が世田パブ20年はかなり長い。鈴木忠志がSPAC10年やって宮城聰に引き継いでいるが、SPAC創設に大きく関わったようだし、別格か。世田パブは野村萬斎の「名前」が大きかったか、と推測。
 となると、池袋・芸劇の野田秀樹も、その名前でブランディングしているし、10年ちょいだから、まだしばらくは続きそうかな。

 ということで、この項は、単なる芸術監督覚え書きの巻となってしまった。その3は来るのか。

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