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味噌汁

 つい最近の変化。
 味噌汁に何の興味もなく、今まで生きてきた。ご飯時に味噌汁が無くても平気で、むしろ学生時代は母が作ってくれた味噌汁を残したりしていた。

 でも、ここにきて味噌汁にハマっている。友人からもらった茅乃舎だしが良かったから?理由は分からないが、熱い味噌汁をすするのが非常に美味しい。
 自分で作るとアレンジできる。アレンジといっても私はそんなに変わり種には挑戦しないが、野菜であれば今のところ何でも美味しい。好きなのは、じゃがいもとワカメの味噌汁。
 じゃがいもは細めの千切りにしてたっぷり入れる。作りたての熱々も好きだし、少し時間が経って、いもが崩れて、とろみの様に味噌の汁を重たくするのもまた好きだ。

 昨日の夜は手持ちの野菜を沢山入れて作ったが、それはそれで美味しくて…なんだか高校時代を思い出した。
 色んな具材があって、それぞれの良さがあって、味噌の汁がみんなをまとめて、一品としてとてもいい味となる。
 私はそんな高校生活を送った。色んな良さと悪さを持った同年代の友人たちと、あの校舎で過ごせた日々は一生の宝だ。
 悩むヒトがあっていい。
 笑えない時期を過ごすヒトがあっていい。
 不格好な私でいい。
 この世のものは良さも悪さも兼ね備えているが、“良し悪し”というのもヒトが決めた基準の様なもの。実際はとても曖昧。

 東京にいるはずのT子に連絡したい。いつの間にかLINEから消えている!嘘!!?何で!?
 生きてるかな。急に不安になる。
 T子とは東京にいる時に数回会って、こっちに戻ってからはあまり連絡をとっていない。一年ほど前、一度だけLINEをしてやりとりしたが、その後ご無沙汰である。
 その子と連絡取るために、別の友人にも連絡する。正直、誰といつ、どの学年で同じクラスだったか分からないが、クラスの枠の隔たりなく、大勢で仲良しだった。誰かしらが繋がっていたりする。
 また会いたいヒトがたくさんいるが、とりあえず、婚期を逃してブツクサ言っていた、とびきり美人のT子と連絡をとりたい。
 このT子は、お弁当に入っていたグラッセのような甘いにんじんを私のお弁当によこしてきた。何故かほぼ毎日、そのグラッセのような甘いにんじんがT子のお弁当には入っている。T子が嫌いなのを彼女の母親は知らない。
 日課のように私のお弁当箱に、そのグラッセのような甘いにんじんを運んで、その度にみんながゲラゲラと笑った。なぜ母親に「入れないで」の一言を言わないのか疑問だったが、直接、味噌汁を食卓で残していた私より、何だか優しい、いい子の様な気がする。今になって、やっと思う事だが。
 おかげで私は毎日欠かさずにんじんを摂取できた。グラッセのような甘いにんじんを。

「味噌汁のにんじん見てたらT子を思い出してさ」なんて言ったら、私の知っている彼女なら笑ってくれるだろう。彼女の母親もまた、元気だろうか。
 高校当時の彼女の優しさを、彼女の母親にも伝えてあげたい。いや、知らない方が幸せだろうか。


 とにかくこれからは…ヒトを大事にしたい。
 

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