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(無料公開中)<第88回> やりたい仕事が見つからず、「志望理由」が書けません。

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こんにちは、安斎響市です。

今日いただいた質問は、下記のようなものです。


最近フォローさせて頂いた者です。

転職したいとエージェントに登録しては挫折し、再登録し…… を繰り返して数年になります。 挫折する理由は、やりたい仕事がなく、条件(給与・福利厚生など)で選んでしまい、会社の志望理由が全く書けないからです。

どうしたら負のスパイラルを抜け出せるでしょうか?


 

※この週刊連載「安斎響市の転職相談室」(毎週土曜日更新)は、マシュマロというツールで募集した匿名の質問に対して、安斎響市が、徹底的に真面目に答えていくという企画です。

転職活動の心構えやテクニック、面接や企業選びの具体的な対策方法などについて、毎週1問、このnote記事で徹底解説していきます。

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今日は、割と王道な質問ですね。「志望理由が作れない」とお悩みの方です。

最初に大前提として述べておくと、バシッと決まる「志望理由」が作れないのなら、その会社は受けない方が良いです。

志望理由って、面接でほぼ確実に聞かれる質問なので、事前にいくらでも対策が可能なラッキー問題みたいなものです。そのボーナスチャンスさえモノにできないのであれば、たぶん、その会社の面接はいくら受けても通過できません。運よく一次面接くらいは通過できても、内定までは辿り着けないでしょう。


別に、「志望理由がない」のが悪いと言っているわけではありません。


そんなに強力な志望理由なんて、ほとんどの人はないと思います。私も、たぶん過去4回の転職で、そんなに絶対的な「志望理由」があったことって一度もなかったと思います。

それでも、面接で「志望理由」を語ることはできます。可能です。


どういうことか?

もう少し、詳しく説明しましょう。


「志望理由」とは、意図的に作るもの


今日の質問文の中には、

" やりたい仕事がなく、条件(給与・福利厚生など)で選んでしまい、会社の志望理由が全く書けない "

と、あります。


これ、悪いことではないと思います。というか普通のことです。

大体みんな、そうだと思います。


もし、応募する企業が「自分が心の底からやりたいと思っている夢の仕事」だったら、「志望理由」はその強烈な想いを語ればいいだけなので、簡単でしょう。

しかし、現実には、そんな状況はほとんどありません。


世の中、「やりたい仕事」がはっきり定まっている人って案外少ないですし、仮に明確になっていたとしても、その仕事に運よく就ける人はあまりいません。


転職活動をしていて、「やりがい仕事が見つからない」は、ほぼ全員同じ状況だと思います。

やりたい仕事が決まっていたとしても、ピンポイントでその仕事の求人票を見つけ出すのは非常に難しいですし、逆に、転職エージェントから紹介された求人票を適当に眺めていて「おっ!! この仕事、是非やりたい!」と強烈に感じることもかなり稀です。



"条件(給与・福利厚生など)で選んでしまい…" と書いていますが、それでいいんですよ。

ある意味、それ (給与・福利厚生など) が、やりたいこと・実現したいことでしょう。



特に「やりたい仕事」だとは思えなくても、希望条件を手に入れるために転職をするのは全く問題ありません。

  • 年収〇〇〇万円以上

  • リモートワーク可

  • 転勤無し

  • IT業界で働きたい

などなど……

別に何でもかまいません。



「志望理由」って、ほとんどの場合、「その仕事をやりたいという気持ち」から情熱と共に湧き出てくるものではなく、「その職場で働きたいという目標」を叶えるために自分で意図的に作るものです。


「やりたい仕事」を見つけようとしても、そんなものは、なかなか見つかりません。そうではなく、「やりたい仕事」だという確信が今はなくても、面接対策用の「志望理由」だけキッチリ作れればそれで十分なんです。

ほとんどの人は、そうやって面接を攻略しています。



「志望理由」というより、企業側の「採用理由」を考える


さて、本題。

その場合の「志望理由」って、どうやって作るの? という話です。


ここまで述べてきた通り、自分自身の本音としては、「希望条件が先」「志望理由は後」で構いません。

しかし、それはあくまで「本音」の話であって、転職エージェントや面接官に対して見せるものではありません。企業選びのプロセスでも、この順番ではダメです。


転職活動を進めるうえでの「建前」としては、「志望理由が先」「希望条件は後」です。

志望理由というより、(企業側の)採用理由と言ってもいいです。


まず、「面接官があなたを採用したくなる理由」を考えるということです。それを、面接の場においては、自分にとっての「志望理由」として語るんです。


もう少し、具体的に説明しましょう。



転職活動の際、自分の希望条件から先に選んでしまうと、

  1. まず条件(年収・業界・勤務地など)を満たす企業をピックアップする

  2. その企業になぜ入社したいのか、という「志望理由」を後付けで考える

  3. 元々、条件だけで選んでいるため、「志望理由」が何も書けない

  4. 無理やり作った薄っぺらい「志望理由」で面接を受けても、通過できない

と、なってしまいがちです。これでは、内定には辿り着けません。



このとき、企業側の採用理由から考えていくと、

  1. 自分が持っているスキル・経験的に、どのような業界・職種・役職であれば内定が一番出やすそうか(自分の経験を高く買ってくれるのはどんな企業なのか)を考える

  2. その企業は自分の経歴を元に選んでいるので、「得意分野を活かしたい」「過去の経験を活かしつつ業務の幅をさらに広げたい」など、いくらでも志望理由は作れる

  3. そうやって選んだ企業の中から、最も条件が合うところ・自分の希望に近いところを狙って応募する

  4. 自分の経験も活かせるし、「志望理由」も堂々と言いやすいので、内定が出る可能性は比較的高い

と…… 少しずつ希望が見えてきます。


まず「自分が欲しいもの」から先に考えるのではなく、「自分を雇ってくれそうな企業」の中から、「自分が欲しいもの」を一番多く満たしているところを選ぶということです。


この順番で考えた方が、転職活動は圧倒的に上手くいきます。

だって、「自分の欲しいもの」から先に考えてしまうと、願望は無限に広がってしまいますからね。


例えば、賃貸マンション選びなどでも、先に「家賃10万円/月」などと予算を決めて、その中から、一番希望条件に合うものを選ぶのが当たり前じゃないですか。

先に「100平米以上」「駅近」「東京23区内で便利なところ」「新築5年以内」などと希望条件から決めにかかっても、そうやって選んだ「自分の理想を100%満たす部屋」は、たいていの場合、家賃が高すぎてとても払えないので、いつまでも物件が決まりません。

自分の購買能力で買えないものを、いくら選んでも時間の無駄です。現実的に「買えるもの」の中から選ばないと、いつまでも結果に結びつきません。



これと似たような話で、自分に「現実的に入れそうな会社」の中から、一番希望条件に近い求人票を選んだ方が、転職活動は圧倒的にスムーズです。


現実的に入れなくてもいいのなら、「外資系戦略コンサルで年収3,000万稼ぎたい」とか、「超ホワイト企業で、残業なし・定時退社で年収800万欲しい」とか、何とでも言えてしまいますからね。これだと、単なる「妄想」の域なので、まともに転職活動をしているとは言えません。


上記は極端な例なので分かりやすいですけど、自分の希望条件から先に考えると、知らず知らずのうちにこれと似たような状況になってしまう人は多いです。

「希望にバッチリ合う求人は見つかったけれど、志望理由がまったく思い浮かばないし、自分の経歴も活かせそうにないので、内定をもらう方法がない」という、かなり本末転倒な話になってしまいます。



この方法で上手くいかないときは…


簡単に言うと、

  • 自分のスキルや経歴を高く評価してくれそうな業界・職種・役職を探す

  • その中で、自分の希望を一番多く満たすもの / 希望条件に一番近いものを選んで応募する

という、転職活動の進め方です。


「企業が自分を採用したくなる理由」から、最初に考えるんです。


少なくとも、「自分の希望ありき」で求人を探すよりは、「自分が採用してもらえる理由ありき」で求人を選び抜いた方が、面接はスムーズに通過できます。

また、経歴が評価してもらえる前提で応募しているので、面接での自己PRが上手く行けば、内定後の待遇交渉も成功しやすいです。



この方法で転職活動を進められれば、最低限、「志望理由が何も思い浮かばない」というケースは避けられると思います。

自分の経歴が活かせそう、スキルが使えそう、などの背景で企業選びをしている以上は、志望理由も、企業側から見て妥当な内容を作り込みやすいはずです。



この方法で上手く行かない場合、それは、「自分に現実的に内定が出そうな企業」かつ「自分の希望条件を満たす企業」が見つからないということだと思います。そのときは、もしかしたら「希望条件が高すぎる」のかもしれません。

求める年収や待遇の条件が、自分の実力よりも大幅に上だった場合、つまり、明らかに無謀な待遇を求めている場合は、この方法でも転職活動は上手くいきません。

このときは、「自分の今の実力では無理だ」と割り切って希望条件を下げるか、もしくは、「奇跡的に条件に合う求人」に巡り会えるまで、気長に何年でも待ちましょう。



おわりに


以上、「希望条件から企業を選んでしまって、志望理由が上手く作れない」とお悩みに対する回答でした。

希望条件だけで企業選びをしたら、志望理由が作れないのは当たり前です。


「やりたい仕事」ではないのはある程度仕方がないので、それは別に良いんですけど、企業選びの手順は、「希望条件」からではなく「自分が採用してもらえる理由」から考えましょう。

その方が、きっと上手くいきます。



今日の記事で紹介した転職活動の進め方は、正直言うと、転職初心者の方には少し難しいと思います。

なぜなら、転職経験があまりない人は、「自分の希望ありき」ではなく「自分が採用してもらえる理由ありき」で応募企業を選べと言われても、自分のスキルや経歴を高く評価してくれそうな業界・職種・役職が一体どこなのか、よく分からないからです。


その話を始めるとすごーーく長くなるので、詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでください。



「志望理由の作り方」も含めた面接対策全般に関しては、本も出しているので、これから面接を控えている方は是非そちらも読んでみてください。



以上、お相手は、安斎響市でした。


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