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『ある画家の数奇な運命』 アーティストも色々④

「わかる/わからない」の視点で、アートに関わる話を、思いつくままつらつらと綴っています…。
 ゲルハルト・リヒターというアーティストを「知っているぅ~」という人は、アートファンでもそれほどいないのでは勝手に思っているのですが、どうでしょうかね。そのリヒターをモデルにした映画『ある画家の数奇な運命』 原題 Werk ohne Autor(独語 作者なき作品)を本日観てきました。

3時間を超える”大作”でしたが、途中で眠気と戦うこともなく堪能させてもらいました。Based on true story(事実に基づいた創作)なのですが、「物語」としても心に響いてくるものがありました。
映画の内容に関しては美術手帳のこちらの記事がお勧め

私自身、リヒターを知ったのはこちらの作品がきっかけです。

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《Betty》
1988年 / キャンバス・油彩
102.2×72.4㎝

 写真のように見えるのに油彩、ポストカードのように見えるのに1mを超える大きさ! かわいい少女(のはず)なのに向こう向いちゃってるし…。なんだろうこれ? というのが第一印象。そこから興味を少しもって他の作品や作家自身のことを調べると、興味深いんですよね~。

 実は、今回の映画を観終わって一番関心がわいたのは、なぜ、いまこの映画を撮ったの?
 企画・撮影はコロナの前でしょうが、「真実」を探るという点はホットな話題。あるいは「〇〇主義」の危うさなどもここ数年の流れかなぁとか、色々考えちゃいました。
 リヒター自身は特にメッセージ性が強い作家では無いと思っていたのですが、この映画を見て、作家の制作意図に明確なメッセージがあろうがなかろうが、鑑賞者はそれを感じてしまう、あるいは感じたくなるということなのだと思いました。作品をやっぱり「わかりたく」なるんですよね。そこを刺激しちゃうのが面白いアート作品なのだと。
 それにしても、原題とは全く異なる邦題…。ここもわかりたい欲求への対応ですかね。


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