【平家物語】巻01_12 鹿谷
この章段、定番で描くならもちろん、「ヘイシの首をとったー!」の鹿ケ谷山荘でのバカ騒ぎなのですが、それは以前にギャグ漫画で描いちゃったし、どうせなら私が好きな場面を描いちゃえーというわけで、懲りない成親の祈祷三昧を描いてしまいました。
この祈祷、漫画では説明しきれませんでしたが、
岩清水八幡宮に僧侶を100人呼んで、祈祷。男山から飛んできた鳩が3匹、共食いして死ぬ。「天下に騒動が起きる前兆。臣下の慎みが必要。」と占いの結果が出るが、成親、めげない。
中御門烏丸の屋敷から上賀茂神社まで、七夜参り。「桜は散るさだめ。あきらめな。(意訳)」というお告げを夢に見る。でもめげない。
上賀茂神社の大木の洞で、ダキニの法を行わせる。大木に落雷、出火。でもめげない。
この頑張り屋さんぶりときたら。かけた費用と時間と情熱を何か別のことに生かせたら、大成できただろうに……。
さて。3.に出てきた「ダキニの法」ですが、平家物語では「外法」つまり邪教の法だと評価されてます。そんな術法にまで頼っているところに、成親の権力への異常な執着があると。
藤原忠実(頼長のお父さん)が関白職祈願で行ったという話もあるので(こっちは成功)、わりと当時はウラワザ的にこっそりやってたんじゃないかな?という気もするのでした。
忠実の話は、「関白職を祈願してたら、美女の夢を見た。美女を捕まえようとして髪の毛をむんずと掴んだところで目が覚めたんだけど、手には狐の尻尾が残ってた。掴んだのがよかったのか、その後関白になれた。」という話です。ダキニの使者がキツネなんですよ。
それよりなにより、私は「目の前で山から来たハトさんが共食い」のほうが怖いけど。師長辞任は3月。もう冬も終わるかなって頃ですが、山のご飯が足りてなかったのかな。