「花屋日記」26. あなたに見せたい花だった。
小さな店なので、お客様とのコミュニケーションの積み重ねからリピーターを作ることが大切なポイントだと、私は思っていた。今回はそれが裏目に出てしまったのだろう。私たちは花を売るサービス業なのであって、お客様に恋されている場合ではないのである。シノダ様は常連客だ。きちんとお付き合いはお断りしつつ、お買い物は継続してもらえる形に持っていかなければならなかった。なのに私の口からとっさに出た言葉は
「すみません、あの、そういうつもりではなかったんです…」
という、そのまんまな一言で、シ