蒼峰 カイル

幻想、ファンタジーの創造物。 気まぐれに何か書いていく。

蒼峰 カイル

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カイルの放浪手記

それは青い空の様に果てしない世界の話。 水面に映る青髪を、青藍の瞳に焼き付け、故郷に思いを馳せる一人のエルフの放浪記。 序章 俺が“カイル”という名前で生を受けたのはもう遠く昔の事だ。約200年くらいはずっとエルフという…そう…長寿の生命が住む里で暮らしていたな。 水守という“水の神様”との繋がりと、守護を保つその任を長老から受けて幾星霜…今はこうして不思議な“人間”という生命の世を… ただ…清流の様に漂っている。 「あぁ、そうだった…」 一つ大事な事を怠惰の中で

    • 蒼い青年の遠い回顧

      ある晴れた日、雲一つ無い青空の下、 母は自分にこう言った。 「愛せる者を見つけなさい。共に居たいと思う者になりなさい。」 けれどもそれは見つからず、 未だになれやしないんだ。 心に残る青天の霹靂。 ある雨の日、降り注ぐ雫を眺めて、 父は自分にこう言った。 「嘘はつくな。嫉妬せず、素直な者になりなさい。」 けれどもそれは守れず、 未だになれやしないんだ。 心に刻む雨夜の月。 所詮全ては綺麗事。迷う事すら疎ましい。 なれないものには焦がれない故、 身の丈の世界を生きる

      • 二月前の夢を見た 懐かしい微笑み 広がる世界 期待と希望の夢心地 一月前の夢を見た 壊してく愚かさ 崩れる世界 自戒と絶望の恐怖心 あの世界は幻 この世界も幻 自分自身も幻 価値や意味などそこには無い

        • 瑣末

          雨上がりの水溜まり 焼きたてのパンの匂い 咲いては散りゆく花 浮かんでは消える言の葉 朝露に濡れる草木 晴天を駆ける飛行機雲 そよ風に揺らぐ前髪 日だまりの思い出の君 全ては瑣末 だから愛しい ―蒼峰カイル―

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        カイルの放浪手記

          朧月

          きりりと冷えるこの夜は 凪の湖面に薄明かり 斑の靄に阻まれて 中夜を月が覗き込む 桜の花弁が溶ける夜 虎鶫の鳴く声が 久遠の森のその先の 霞の空に木霊する ―蒼峰カイル―

          海辺

          波打ち際に佇めば ふと聞こえるあの声が 自分の帰りを待ちわびて 水面を漂いやって来る 浜辺に置き去る過去の影 波に身を委ねれば ふと聞こえたあの声が 海の底より這い出でて 満ちた潮【うしお】の静寂【しじま】に帰す ―蒼峰カイル―