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おだやかな旅はしたい。私はしたい。


空からしんしんと雨が降っていても、世間がどんなに物騒でも、おだやかな旅はしたい。


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外出の自粛が出ているけど、空が広く人がまばらな町へ足を運びました。美しい瀬戸内海に浮かぶ、犬島へ。



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犬島とは、岡山市にある小さな有人島です。人口は50人ほどで、コンビニやATMはありません。宝伝港という小さな港から10分で犬島へ到着できます。

瀬戸内国際芸術祭で犬島の存在を知り、犬島精錬所美術館に惹かれ、ずっと気になっていた島のひとつです。

瀬戸内海に浮かぶ美術館はいくつかありますが、その中でも人気の高い地中美術館や豊島美術館はいまでも臨時閉館中。

唯一営業再開して、なおずっと行きたかった「犬島精錬美術館」へ行くことを決めました。



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ひとり車で港に向かい、船を待つこと20分。船内は人が少ないだろうと思っていましたが、ぼちぼち。たった10分の船旅だから、さほど敏感になる必要はないと思いました。

春はまだ遠く離れているかのように、空はどんより。それでも近付いてきた犬島の山々からは、ピンク色が見えたときは一安心しました。ずっと綺麗なままでいてほしいなと願い、船を降りました。


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あたりの瀬戸内海にとても似合う、ようこそと出迎えてくれた犬島チケットセンターには感動しました。

「INUJIMA」の文字が綺麗に映り、凛とした建築に圧巻。店内の空間や香りも本当にステキで、ここだけでも犬島に上陸した甲斐がありました。

チケットセンターでは、美術館のチケット売り場の他に、犬島関連グッズ売り場やカフェも併設されている場所です。ここから美術館に向かうのかと思うと、とてもワクワクしました。

その前に、お腹が空いていたのでカフェでひと息。

なんともカフェが美しかったので、とてもリラックスできました。


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いよいよ目的の美術館へ。さきほど船内にいた人たちはどこへ行ったのだろう。カフェにも、私が入る前に2人ほどいたのだけど、どこへ行ったのだろう。

それくらい静かな道を、ゆっくり歩きました。遠くに見える、目印の煙突に向かって。


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犬島精錬所美術館とは、犬島に残る銅製錬所の遺構を保存・再生した美術館です。

「在るものを活かし、無いものを創る」というコンセプトのもと作られた美術館は既存の煙突やカラミ煉瓦、太陽や地中熱などの自然エネルギーを利用した環境に負荷を与えない三分一博志の建築と、日本の近代化に警鐘をならした三島由紀夫をモチーフにした柳幸典の作品、また植物の力を利用した高度な水質浄化システムを導入しています。「遺産、建築、アート、環境」による循環型社会を意識したプロジェクトといえます。
(ベネッセアートサイトHPより引用)

1909年(明治42年)に、銅を精錬する「犬島精錬所」が開設されました。従業員は2000人、島内にも5000人〜6000人いたときもありました。

しかし、第一次世界大戦が終息に向かうにつれ銅価格は暴落。わずか10年で犬島精錬所も操業停止して幕を閉じたそうです。

そこから約90年放置されていましたが、福武總一郎、直島福武美術館財団により、精錬所跡を利用した犬島アートプロジェクトの一部として再利用されます。


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入場門をくぐると、遠くから見えていた煙突がはっきりと立っており、足元には崩れ落ちたレンガの数々。それらの景観は、100年前の大産業の軌跡を物語っていました。

中の展示では、日本の近代化に警鐘を鳴らした小説家の三島由紀夫をモチーフにした作品が展示されています。

すごく不思議で重たくて、でも感動的でした。

はたらくとはなんだろうか。今後の日本の経済はどうあるべきか。アートで再生したこの場所からは、現代社会への大きなヒントがたくさん詰まっていました。


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アートも建築も魅力的。そして忘れてはいけない社会の背景。

双方を味わって、ぜひ色んな方々に足を運んでほしい場所だと感じました。



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本土へ帰る港に向かって、静かな道をゆっくり歩きました。

人とすれ違う回数が数ない旅は久しぶりで、強い波の音や鳥の鳴き声、ひゅうひゅうと吹く海からの風、ゴツゴツと岩を踏む足音、こんなにも自然の音を聞き入ってしまったことに感動しました。

空からしんしんと雨が降っていても、世間がどんなに物騒でも、おだやかな旅はしたい。私はしたい。

おだやかな旅は、精神を安定させるとおもう。冷静さを取り戻すとおもう。私はそう信じたので犬島へ行ったのです。



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