見出し画像

中国 ルブタンの赤いソールは中国で勝利(9月13日)

北京知識産権法院は、9月13日付、「500万元の賠償! 北京知識産権法院は「赤いソールの靴」は特定の影響力を持つ商品名、包装、および装飾を構成していると判断」とのニュースリリースをそのサイトに掲載した。

ルブタンが赤いソールのハイヒールの周知著名性を、日本で不正競争防止法2条1項1号及び2号で周知著名な原告の表示と類似した商品等表示の使用した商品による誤認混同を争った事件で、日本の裁判所、東京地方裁判所は今年2022年3月11日に門前払いした。同じ事件が、中国で争われ、北京知識産権法院は半年後の9月13日にルブタンに軍配を上げ、被告に侵害停止と損害賠償500万元(約1億円)と合理的支出44.5万元(約890万円)の支払いを命じた。以下の紹介は、判決文がまだ公示されていないため、不十分な点があることにご了承ください。

ルブタンの赤いソールのハイヒール

事件概要
 原告のクリスチャン・ルブタン社(CHRISTIAN LOUBOUTIN、以下、ルブタン社という)は、被告の広東万里馬実業股份有限公司(以下、万里馬社という)が無断で製造したルブタン社の赤いソールの靴と同じデザインの婦人靴を同じ商品名で、北京易喜新世界百貨有限公司(以下、易喜社という)が運営する新世界百貨店の万里馬カウンター、天猫(Tmall) 万里馬靴公式旗艦店とセントジャック旗艦店で多数販売している行為は、原告の評判にフリーライドする悪意があり、反不正当競争法(不正競争防止法)6条(1)項に違反し、両被告は相応の法的責任を負わなければならないと主張した。

ルブタンの模倣品

 原告のルブタン社は1991年2月5日に設立され、靴、皮製品、手袋、旅行用品などの事業を行っており、1992年から赤いソールの婦人用ハイヒールの設計、生産、販売を開始している。被告の広東万里馬実業股份有限公司は2002年4月19日に設立され、皮革製品、靴類、バッグの生産、加工、研究開発、ネット販売を主な事業としている。

 ルブタン社は、万里馬社と易喜社を北京知識産権法院に提訴し、自社の女性用の赤いソールのハイヒールは中国だけでなく世界中でよく知られており、関連公衆にもよく知られていると主張した。なお、ルブタン社は販売代理店の蘭歩婷上海貿易有限公司に赤いソールのハイヒールを含む自社の商品の販売許可をしている。ルブタン社の赤いソールのハイヒールのデザインの重要性は高く、また女性用ハイヒールのデザインとして独特のものであり、またそのデザインは市場でルブタン社との独特で安定した対応関係を確立しており、一定の影響力のある商品のデザインとなっている。そして、原告と販売代理店は中国での事業活動において「赤いソールの靴」を商品名として使用し続けており、高い評価を得ているため、赤いソールの靴は一定の影響力のある商品名となっていることを強調した。

北京知識産権法院は以下のように認定した。
 まず、原告と原告の販売代理店が反不正当競争法6条に基づき保護を求めた影響力のある商品名は「赤いソールの靴」であり、影響力のあるデザインは婦人用ハイヒールのソールに使用される赤いデザインである。本件において、当事者が直接的な利害関係があるかどうかを判断するポイントは、係争の「赤いソールの靴」の商品名と赤いソールのデザインに含まれる利益に当事者に実体法で保護される根拠があるかどうかを判断することである。本件で原告が提出した証拠は、係争のデザインと商品名が消費者の間で原告と安定した対応関係を築いていることを証明し、係争のデザインと商品名の権益が原告に帰属することが認定できる。
 次に、原告は2011年から中国大陸で実際に靴製品を販売しており、売上額は9億元を超えていることを示す証拠を提出している。また、2003年から中国大陸で「赤いソールの靴」の商品を宣伝や広告しており、宣伝メディアには全国の多くの有名メディアが含まれ、全国の多くの地域をカバーしている。上記の証拠を総合すると、その「赤いソールの靴」の商品と赤いソールの靴のデザインはすでに市場で比較的に高い知名度があり、関連公衆において安定した関係を確立しており、商品の出所を識別する顕著な特徴を持っていることが証明されている。そのため、原告の「赤いソールの靴」の商品名とソールの色を赤色にしたデザインは反不正当競争法6条(1)項でいう「一定の影響を与える」商品名とデザイン標識に属する。被告らは一定の影響力のある「赤いソールの靴」の商品名及び赤いソールのデザインと同一或いは類似した表示を無断で使用し、原告と特定の関係があると誤認させるに十分であり、その行為は反不正当競争法6条(1)項の規定に違反し、不正競争を構成している。
 従って、ルブタン社の「赤いソールの靴」の商品名とソールに使用されている赤いデザインは「一定の影響を与える商品名」、「一定の影響を与える包装装飾」を構成していると認定し、被告に侵害停止と権利侵害による損害500万元及び合理的支出44.5万元の賠償、販売業者には合理的支出5000元のみの賠償を命じた。

本件では販売代理店の蘭歩婷上海貿易有限公司の権益、利害関係についての認否が含まれているが、判決文がまだ公開されていないため、不明な点も多くここでは記載していないが、いずれにしても基本的な判断に影響はない。

参照サイト:

■著作権表示 Copyright (2022) Y.Aizawa 禁転載・使用、要許諾



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?