【イベントレポート】規格外野菜の真実:農家が語るサステナブルな未来への挑戦
こんにちは!株式会社picks designの広報森永です。
7月12日に名古屋市主催で行われたイベントにて「規格外野菜が農家を潰す?!~SDGs×デザインで創るサステナブル社会の未来~」というテーマでパネルディスカッションを開催しました。本記事では当日の様子をレポートします。
「SDGs」「デザイン」「サステナブル」を切り口に農家さんを招き、規格外野菜の現状と未来を議論しました。また、「そのとちぎふと」で出品したキウイの試食会も実施しました。
※「そのとちぎふと」では正規品をお届けしていますが、今回のイベントでは「規格外品」を取り扱いました。
イベント全体としてはオンライン・オフライン合わせて約180名の参加がありました。
今回こちらの2名の農家さんをお招きしました。
「そのとちぎふと」とは?
「そのとちぎふと」は「農家さんだけが知る情報」が詰まった美味しい本を通じて、果物の裏側にある「もっと面白く、もっと美味しく」を届けています。
ユーザーはそのとちぎふとを楽しみながら、日本国内の農家の持続可能な農業を応援でき、地域活性化につながる取り組みです。
商品内容 :B5 P32の冊子(美味しい本)と果物
お届け頻度 :毎月1回
価格 :3490円(送料込)
詳細はこちら:そのとちぎふと | 読んで美味しい、果物つき本の定期便
【イベントの内容】
テーマ1:規格外青果をどう見る?取り組み例・実態の紹介
食品ロス削減やサステナビリティへの関心が高まる中、「規格外野菜」が注目
近年、食品ロス削減やサステナビリティへの関心が高まる中、「規格外野菜」が注目を集めています。曲がったキュウリや傷のついたトマトなど、見た目は悪くても栄養価は変わらない野菜たち。これらは従来、廃棄されるか、限られた用途でしか使用されませんでした。
しかし、今や規格外野菜を活用する動きが広がり、持続可能な農業や食文化の実現に向けた重要な要素となっています。
規格外野菜について、実際の生産者によると、トマト農家の小川さんは「収穫量の約1割が規格外」、キウイ農家の平野さんも「環境によっては2割から3割が規格外になることもある」と言います。
規格外の基準は農作物によって異なりますが、主に大きさ、形、傷の有無などが判断基準となります。例えばトマトでは、割れや形の歪みが主な原因です。キウイの場合、柔らかすぎるものや形が悪いものが規格外となります。
これらの規格外野菜は、従来は廃棄されるか、近隣住民に配布されるのが一般的でした。しかし、農家にとってはコストと労力をかけて育てた大切な作物です。単純に捨てるのは心苦しく、何とか有効活用したいという思いが強いことがわかりました。
規格外キウイの試食
実際に「キウイフルーツカントリーJapan」で生産された規格外のキウイ(緑色がヘイワード・黄色がティアドロップ)をご来場のみなさんに試食してもらいました。ヘイワードは柔らかすぎ、ティアドロップは小さいことで規格外になってしまったものです。
試食した方は「規格外とわからない、正規品と変わらずとてもおいしい」と驚かれていました。
規格外野菜の活用について、農家の方々はさまざまな工夫を凝らしています。
小川さんの場合は「ネット販売で通常よりも安く提供している」平野さんは「カフェを併設して加工品に利用している」といいます。
規格外野菜は見た目は劣るものの、味や栄養価は通常の野菜と変わりません。そのため、加工品の原料として重宝されています。
例えば、キウイを使ったドリンクやソースなど、新たな商品開発にも活用されています。
また、農家同士で規格外野菜を交換し合うという興味深い取り組みも紹介されました。これにより、食品ロスを減らすだけでなく、農家間のコミュニティ強化にも貢献しているそうです。
課題も明らかに
規格外野菜の活用に関しては、課題も浮き彫りになりました。最大の問題は、消費者の認識と農家の実態のギャップです。多くの消費者は「規格外野菜は大幅に安く買えるはず」と考えがちですが、農家にとっては通常の野菜と同じコストと労力がかかっています。
小川さんは「1割引き程度で販売しているが、それ以上の値引きは難しい」と述べ、平野さんも「規格外品を安売りすることで、正規品の価値が下がることを懸念している」と語りました。
テーマ2:規格外青果が広まった世界は幸せか?幸せな向き合い方とは?
生産者と消費者の相互理解が不可欠
サステナブルな農業の実現には、生産者と消費者の相互理解が不可欠です。農家の方々は、環境に配慮した栽培方法や循環型農業の導入など、持続可能な取り組みを積極的に行っています。
平野さんは「キウイの皮をヒツジの餌にし、堆肥にしたり、キウイ畑の下でBBQを楽しんでもらいその煙でキウイの病害虫予防にしたり循環型農法を実践している」と紹介。さらに、ソーラーシェアリングなど、再生可能エネルギーの活用にも取り組んでいます。
これらの取り組みを消費者に理解してもらい、規格外野菜も含めた農産物全体の価値を正当に評価してもらうことが、サステナブルな農業の未来につながると参加者たちは口を揃えました。
消費者に対しては、「見た目だけでなく、野菜の味や栄養価、そして生産過程にも目を向けてほしい」と思いを語りました。規格外野菜を積極的に正しく消費することは、食品ロス削減だけでなく、持続可能な農業支援にもつながるのです。
農家の努力と工夫、そして消費者の理解と協力が、持続可能な食の未来を築く
規格外野菜をめぐる議論は、単なる食品ロス削減の問題にとどまらず、農業のサステナビリティ全体に関わる重要なテーマです。農家の努力と工夫、そして消費者の理解と協力が、持続可能な食の未来を築く鍵となります。
私たち消費者にできることは、規格外野菜の価値を正しく理解し、積極的に購入・活用すること。そして、農産物の見た目だけでなく、その背景にある生産過程や環境への配慮にも目を向けることです。一人ひとりの小さな行動が、大きな変化を生み出す第一歩となるのです。サステナブルな農業の実現は、生産者と消費者が手を取り合って初めて可能となります。
株式会社picks designは持続可能な日本の農業を支援するため、今後も農家さんと手を取り合いデザインの力で課題解決をしていきます。
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