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ギリギリ天国

俺は今天国で暮らしている
生前は悪いこともしたけども
良いこともそれなりにした
差し引きしたらギリギリ天国

天国といってもキリスト様のような
聖人が暮らす上流特区もあれば
俺のようにギリギリな人間はそう
ギリ天と呼ばれるスラム街で暮らしている。

ギリ天は善良な事に飽きた聖人達が
時々降りてきて
退屈しのぎで無理難題をふっかけ
それを拒もうものなら
容赦なく叩きのめされるための場所だ

この間も犬の糞のついたモーゼ様の靴を
跪いて舐めさせられたり
ガンジー様にバッドで殴られたり散々だった

「何故俺が殴られなきゃいかんのです?」
「暇だからね」

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そもそも1度死んでここにいる
つまり俺達はもう二度と死なない
だからこそ手加減がない
生きる死ぬの概念があるから
人は優しくなれる刹那があるのかな

ちなみに犬の魂もいる
だが犬の魂は人間のそれとは違い
やはり犬は犬で上流特区の方々に
憩いの動物として可愛がられている

俺達が食べている食事より
ゴージャスだったりする

ちなみに天国に住んでいるからといって
食べないということはない

物質的な事が非化学的なだけであって
上質なサーロインステーキ
新鮮な魚介類はもちろんある
だが、それは全て上流階級の人達だ
俺達はぎりぎり一切れのパンが与えられる

ようするに中途半端な善人は
聖人に虐げられる世界
それがギリ天なのである。

天国は主に3つだ
上流特区
平民の町
そしてこのギリ天

地獄も3つある
地獄特区
平民地獄町
最悪地獄町

聖人に逆らえば最悪地獄町に突き落とされる
そこは四肢もがれるような痛み
業火に焼かれているような苦しみを
常に感じる場所、文字通りの地獄なんだ

そんなところには落ちたくない
だが、なぜかギリ天より地獄特区の方が
暮らしぶりがいいように思えてならない

地獄特区は
あまり生前いいことはしなかった人達
例えば、愛する妻や夫を裏切ったり
その割合に対して善行を積んでいない

ちょい悪くらいの人達が多い
地獄特区はより下層地獄の人間を
しもべのように扱えるらしい
それは、生前付き合いのあった
地獄特区に落ちた友達から聞いたから
悠々自適な生活を送っているそうだ

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しかも食べ物が辛い物が多いだけで
慣れればそこそこ美味しいらしい

思うのだよね
ぎりぎり1つランクの高い学校に進学するか
それとも1つランクは下がるけど
そこで成績上位者になり
後に推薦で大学にいくかみたいなことか

中途半端な善ならしない方が
いいということだろうか?

ただここは進学の話ではない
リアルな天国と地獄の世界
そしてそこで悠久の時を過ごす

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