AI時代の布石

最近AI流が流行って、プロ棋戦を見るとみんな同じような布石を使っていますね。ダイレクト三々が代表格ですね。この様子を見て、みなさんは「覚えないといけないのか」と不安になってしまうのではないでしょうか?
ですが、怯える必要はありません!「評価値」というパラメーターが分かりにくく、序盤で「評価値30」と言われると敗勢かのように見えてしまいますが、所詮人間レベルではそんなことはなく、数手、場合によっては一手でその差はひっくり返ります。しかも、だいたい序盤は評価値は40程度に収まります。ですので、形勢的にも好きな布石を打って何の問題もありません。むしろ自分の得意布石なことで、自分は時間を使わずに済んだり、自分の作戦に相手がハマって有利になる可能性の方が高いと思います。

実は僕は院生手合や大会でもよく初手を真ん中の方に打つことがあります。少年少女囲碁大会の決勝(テレビ放送)の初手で天元に打ち、周りからの失笑を買うこともありました。また、「こども囲碁天元戦」という棋戦で全て握りで黒番を引き当て、全て天元に打って優勝したという嘘みたいな話もあります(笑)さらに、過去の棋譜を探してみると天元だけでなく、「8の7」「8の8」「9の5」などいろいろありました。しかも、そこに打ってもあまり勝率は変わらないのです。むしろ打ちたい手を打っている影響か、内容のいい碁が多かったです。

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参考に、現プロとの対局の棋譜をあげておきますね。当然僕の黒番です。(16→13の上)見てもらえれば分かると思いますが、相手が天元の石に委縮しているのが分かります。黒の内容が素晴らしいですね、攻めの名局と言えます。

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これも別の現プロとの対局です。院生手合なんですが、お互い遊んでいるのかって感じの盤面ですね。こちらは名局ではなく迷局ですね。

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あとこれも別の現プロとの対局(白番)ですね。黒が3を放置したことを、「舐めプ」ではないかと思い怒り狂い、「それなら自分の打ちたいように打ってやろうじゃないか」という8、10、12ですね。AIの評価値も思ったほど下がりませんでした。後に8の石が絶妙に働く…と思いきや、絶妙に働きませんでした。(次図)一路上に打っておけばよかったんですね。これからはそう打ちたいと思います(´;ω;`)

ちなみにこの対局は1目半負け、この相手には通算18連敗を喫することになります。

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そもそも囲碁というゲームはどこに打ってもいいゲームですので、みなさんには打ちたい手を打って、囲碁を楽しんでもらいたいと思っています。プロやAIなどの碁を見るのは棋力向上に少しは役に立つかもしれませんが、最近はそのレベルで、めっきり「面白い碁」というのが減ってしまっています(これは僕だけの意見ではなく、複数人の若手棋士も同じ意見でした)。ですので、微力ながら、トップアマの一員(要審議)である自分が、面白い碁を見せられたらいいなぁと思っています!

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