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難しいことはわかりませんが、無学なりに学んだ人的資本経営とは〜概要編〜

はじめに


※この文章は、誰かに向けてというわけでなく、単純に崇高でアカデミックなテーマに対して生理的拒否反応が出てしまう無学な自分が、難しいテーマに正面から向き合い、自身の理解を高める目的で書かれた文章になります。

初めまして、チームスピリットのKxxNxxTです。
普段は大企業向けプロダクトTeamSpiritEXの事業企画を担当しております。

事業企画というとなんだかたいそうなことやってるような印象もありますが、「プロダクトによって、お客様がハッピーになり、事業が成長するために、なんでもやる」っていうのが私自身の仕事だと思っております。
※コンプラに引っかからない範囲であれば、何でもやります。
 みんなにおやつ配るとか飲み会セッティングするとか。

 それはさておき、いわゆるHR界隈に身を置くものとして、最近どうしても避けて通れないと思っているテーマがあります。

震え上がるキーワード「人的資本経営」


「働き方改革」だ、「健康経営」だ、はまだ無学な僕にもなんとなくとっかかりやすいキーワードでしたが、字面の時点で、汗と涙と根性で社会人生を駆け抜けてきた脳筋タイプの私にとってはアナフィラキシーショックを起こしそうなテーマです。

人的で、資本で、経営

今のところ、私の30うん年の人生において、馴染みのある単語は残念ながら「人」くらいしかないです。

あと、そもそも「人的」って言葉を口に出したこともなかった(はず)

ですが、もはやこの意味を理解していないと、「あいつ、事業企画なんて名乗ってる割には、そんなことも知らないのか?」と、「若者のすべて(フジファブリックの名曲じゃないほうの)」に出てきた武田真治みたいな髪型をしたイマドキの意識高い系の優秀な若手に、エアロバイク乗りながらスタバのグランデ片手に指差してバカにされてしまうのではないかと考えると、夜もおちおち眠れない状態になってきたので、意を決してこのテーマに向き合おうと思いました。

ところで、今や「池上無双」として、現代ジャーリズム界におけるサムライともいうべき池上彰さんが、「週刊こどもニュース」のお父さん役であったことは30代以上であれば周知の事実でありますが、「子供にもわかりやすくニュースを伝えるには、自分自身が深くそのテーマに対して理解をする必要がある」ということをかつて仰っていました。

逆説的ではありますが、深い理解を得ることによって、知識人や専門家といった学ある人達にしか分からない言葉や概念を使うのではなく、誰もが分かる言葉で伝えられる(すなわち自分の言葉にできる)、と当時の私は理解をしましたが、だからこそ、今回はこのテーマを深く理解をするために、「誰もが分かる言葉で説明すること(すなわち、自分の言葉として知識定着している)を目的に文章としてアウトプットします。
※繰り返しになりますが、この文章は誰のためではなく自分のための文章です

検索でなんでも分かる時代でも、人的資本経営は僕に優しくなかった


社会人になったばかりのころは「わからないことがあれば、なんでも人に聞きなさい」と、口すっぱく言われていたにも関わらず、「無知」であることが露呈することをプライドが許さず、なかなか人に聞けなかった僕。

しかし、時代が僕に追いついた

今やキーワードで検索したら、世の中の「知識配りおじさん」や「なんとか知恵袋」みたいなところで、ネット賢者たちが「今北産業(3行)」でポイントを端的に教えてくれる時代。

知恵のない僕にとって、高度情報化社会を生き抜くために必要なスキルと知識は「わからないことは、まず検索すること」「ガストなら大体どこでも自由に電源が使えること」

そう、いつだって僕は、google(あと、ガスト)に助けられてきた。

意を決して、叩くキーボード、開く画面

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。

経済産業省 人的資本経営~人材の価値を最大限に引き出す~

な、な、なんと、、、ものすごく、、、簡潔な文章、、、

いや、簡潔すぎて具体的になんなのか全くわかんねえ!!!!

この時点でだいぶ面を食らってしまい、PCをそっ閉じして、近所のケーキ屋で見かけた「ニンジンシフォンケーキ」でも食べに行こうかと思ったくらいではありましたが、「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」と僕の中の碇シンジ君がマイナス宇宙の奥からエコーたっぷりの声で囁きかけてくるので、震える手を握りしめ、嫌いなピーマンを全く噛まずに飲み込むように、もう一度PCのフタを開くことにしました。
※精神状態としては、一応これでも正常な範疇である自覚はあります

「人材版伊藤レポート」 


現代社会に生きる現代人にとって知的探索における「羅針盤」ともいうべき、google検索を駆使し、未開の地「人的資本経営」を目指し、荒野をネットサーフィン。
 
 
そこでたどり着いた衝撃のキーワード「人材版伊藤レポート」
 
文字面だけ見ると、まるで「東海版ゼクシイ」「劇場版名探偵コナン」みたいなものを想像してしまうくらいに、一周回って「何か楽しい読み物なではないか」と一瞬思ってしまったが、冷静になって考えると何が何だかよくわからない文字列の並びにしか見えない。
しかし、どうやらこれが人的資本経営を理解する上で重要な文献らしいので、読み進めてみることにした。。。
 
こういった文献のありがたいこととしては、最初に「エグゼクティブサマリー」という形である程度要約してくれていることである。
 
ところで、「エグゼクティブサマリー」とは非常に秀逸なネーミングセンスで、どうにもこうにもこういうのを読んでいると非常に「エグゼクティブ」な気分にさせてくれる。

自分だったら、「忙しいアナタのために、3分ポッキリ時短解説!」みたいなコピーを考えてしまうのだが、開いた瞬間にそんなものが出てきたら、3流週刊誌でも開いてしまったのかと感じてしまうので、こういうコピーライティングは読み手の気分高揚において重要である。
 
 
サマリーといいつつ、結構細かいことも書いてありますが、どかっと要約すると「経営課題と人材戦略上の課題は直結」という言葉にまとめられていました。

経済産業省 持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書
~ 人材版伊藤レポート ~
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kigyo_kachi_kojo/pdf/20200930_1.pdf

これでもだいぶ抽象度が高い気がするが、経営は「ヒト・モノ・カネのマネジメント」とはよく聞く話なので、人材における課題っていうのは、経営課題そのものだよねってことか。
 
ただ、そんなものは割と当たり前に言われている話だし、こと今になってとやかく騒ぎ立てる話でははない気もするのである。

なぜ、「今」なのか。


自分なりに要約するとこうだ。

グローバル化

別に今に始まったわけではないけど、国内の市場だけで戦っていたら限界はあるから、海外の市場も取りに行けるようにしないと長い目で会社は成長しないよね?
でも、グローバルに戦っていけるような人が引っ張っていかないとどうしようもないし、日本特有の価値観だけで仕事する人ばかりじゃなくて、幅広い価値観と専門性を持ったアベンジャーズみたいな組織がうまく機能するような仕組みを作らないといけないよね。

デジタル化

別に今に始まったわけではないけど、スマホが出てきて生活そのものが激変したみたいに、絶対的に有利だと思っていたビジネスが根こそぎひっくり返されるようなことって今後もあり得るよね。
むしろ技術の進化ってさらに早くなってきているから、「今持っている自分たちの強み」を信じ続けるのではなく、技術の進化に敏感で、常識に疑問を持ち、「大富豪で革命をどう起こすか」みたいな発想で物事考えられる人を人財として計画的に確保していかないと、いつか大貧民になってしまうかもしれないよね。

少子高齢化/人生100年時代

別に今に始まったわけではないけど、出生率はどんどん減っているし、医療は進化しているから、若者は減って、お年寄りは増えるっていうのは避けられない。
そうすると、否が応でも長く働かなくちゃいけなくなるから、できるだけ長く働くためのスキルとか経験をみんなが求めるようになる。でも、そういった「生涯現役」で働き続けられるためのスキルや経験が得られない企業だったらみんなすぐ辞めてしまう。ただでさえ労働人口は減っていくのに、社員がどんどん減っていったら会社も末長く安泰じゃないから、従業員の定着化の観点で「生涯現役」で市場価値を提供し続けるスキルや知識が身につけられる環境の担保も、企業として考えていかないといけないよね。

コロナ禍以降の時代変化

「仕事は会社でするもの」っていう、これまで当たり前に思っていたことが、別に当たり前ではなかったってことにみんな気づいてしまった。
当然、それは技術の進化などによって「できる状態にあった」というのが前提ではあるものの、「当たり前」が突如「当たり前ではなくなる」ような急激な変化に対しても、スピード感を持って柔軟に働く環境を担保できていることが事業継続性の観点で命運を分けることが明らかになってしまった。
一方で、「当たり前」にあった対面でのコミュニケーションがない中で、気軽な会話や雑談といった「人間関係の構築」や「アイデアの創出」のように、ワイガヤの中で生まれるものが生み出しづらくなっているのは確かではあるので、そこを考えていかないといけないよね。

上から三つは「今」だからって話ではなく、もう何年も前からみんな言っていて、みんな頭では理解していたことではないかなと思いつつ、文献を読んでいると、そもそも「人的資本経営」っていう考え方自体は、欧米で結構前から言われていた話であると。

そもそも企業はなんのために存在しているのか


端的に言えば、事業を通じて社会に貢献をするため。
本質的には、儲けるのはあくまでもその手段。

その事業活動の元手(経営資源)は「ヒト・モノ・カネ」であり、カネを集める手段として投資家からの出資があります。

投資家は、出資に対するリターン、すなわち末長く企業が事業を通じて成長することで儲けを出して、還元してくれることを望んでいるから、自分達が出資した「カネ」が適切に運用されているかに対して、決算開示やらで説明責任を求めるわけです。 

これまでは、自分達が渡したカネを使って、企業がどういったモノに投資して、どれくらい儲けようとして、どれくらい儲かったのか、ってことに投資家は目を光らせていたわけですが、「グローバル化」とか「デジタル化」とかで、そもそも「モノ」に投資したから成長するわけではなく、とんでもなく優秀な「ヒト」が生み出した「発明」によって、非連続な成長と、世の中の価値観を変えてしまうほどのインパクトを生み出すことに気付いてしまったのです。(これがいわゆるイノベーション)

97年にスティーブ・ジョブズが復帰するまで、誰しもが「潰れる」と思って、買収提案に各社は二の足を踏んでいたにも関わらず、あっという間に世界時価総額1位に上り詰めたアップル。 

「ネットで実物も見ずに買い物するやつなんて好きものだけ」と嘲笑われていたのに、いつの間にか世界の物流とクラウドインフラを牛耳る勢いになったアマゾン。 

単純な労働者の数や生産設備などで掛け算するような成長ではない、圧倒的な成長と世の中の変化を生み出していたのは、そこに属する「ヒト」の質によるものだったわけです。
(いわゆるイノベーション人材や高度なスキルを有するスペシャリスト)

一方、未来永劫安泰と思っていた超大企業が倒産するようなことも現実として起こり始めたからこそ、目に見える「今」だけを切り取って企業を評価することは危険であることに、投資家もまた気づいたわけです。

だからこそ投資家は、これまで決算開示などで数字として見えてこなかった経営資源としての「ヒト」に注目し、企業が末長く成長していくために、どのような人材をどのように確保していくのか、そこに可能性を見出した投資家が、企業の未来にベットする、というのが欧米で主流になりつつある考え方であり、人材版伊藤レポートの中で「経営課題と人材戦略上の課題は直結」という言葉に要約された背景ではないかと。
※くどいようですが、自分の理解の整理のための文章です。

なぜ、今、日本で、人的資本経営が叫ばれるようになったのか


ここからは私的見解も混じりますが、これは二つの理由があると考えます。 

一つは、単純に「欧米で主流の考え方になってきて、グローバル化の観点で無視できなくなった」 

もう一つは、「コロナ禍で、現実を知ってしまったから」

上述の通り、「グローバル化」「デジタル化」「少子高齢化/人生100年時代」なんてものは、義務教育の中でも「これからはグローバル社会だ」「これからはデジタルだ」「これからは少子高齢化だ」なんて、ずっと言われ続けてきたようなことだったりします。


さらに言えば、グローバル化に至っては80年代(プラザ合意や貿易自由化etc)から、少子高齢化ですら、僕自身小学生の頃から学校の先生に授業で聞かされていたような話ですし、デジタルネイティブ世代はもちろんのこと、windows95が発売された時ですら、これからはITやデジタル技術(当時はどちらかといえば、インターネットのことですが)が産業の主流になっていくだろう、という見立てはごく一般的だったと記憶しております。

しかし、これは恐らくですが、日本企業は、どこかでその現実に目を背けていた、または横並び意識から、様子を伺っていたのではなかろうかと。


そんな中で、「コロナ禍」という決して目を背けることができない、圧倒的な社会変化を伴う現実が世界同時多発で目の前に現れてしまった。

蛇足ですが、僕はコロナ禍前からリモートワークが主で、その頃たまたま見つけた「リモート飲み会をやっている企業」の話を友人に話ししたら冷ややかな目で見られたにも関わらず、コロナ禍になって程なく、いけしゃあしゃあと「zoom飲み会」に誘われたことを今でも根に持っています。

これは日本がどうこうではなく、世界全体が向き合わざるを得ない現実であり、企業がこの先も同じような変化に直面した場合にも事業活動を続けていけるどうかが、試される時代になってしまったことを意味しています。

起きたことはたまたま、なのかもしれませんが、過去20年を振り返ってみても、「サブプライムローン問題」「リーマンショック」といった世界経済を揺るがす事象に加えて「SNS台頭」「クラウド化」「通信技術進化」「スマートフォンの登場」など社会や生活のあり方そのものを根本的に覆すような変化だらけなのは明らかです。
※個人的にはMDが出た時に、世の中の当たり前になると思ってたものの、ipodなりmp3プレーヤーが出てきたらあっという間に駆逐されてしまったのが、世の中の変化の速さを実感した出来事でした。 懐かしいなMD。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一、生き残るのは変化できる者である。

チャールズ・ダーウィン

21世紀初頭にトヨタ自動車の社長に就任した渡辺捷昭氏は、19世紀に進化論の中でダーウィンが発したこのメッセージを度々引用し、21世紀の自動車業界で生き残るための「変化」の重要性を唱え、2009年にはついにトヨタは「販売台数世界一の自動車メーカー」となりました。

豊田章男社長に引き継がれた後の更なるトヨタの快進撃やコロナ禍での黒字決算といった圧倒的な強さについては言うまでもありませんが、日本を代表する大企業という自負に溺れることなく、危機感を持って「変化」に対して向き合い続けてきたからこその結果ではないかと思います。

だからこそ、日本の企業が不確実性の高い国際社会の中で「変化」に強く、持続的に成長していくために、今こそ現実にしっかり向き合い「人的資本経営」というテーマについて一緒に考えていきましょう!というのが、「人材版伊藤レポート」で叫ばれている大きなメッセージだと考えます。
※なんか、それっぽくまとまって、ちょっと自分に酔っちゃってますがお気になさらず

と、ここまでで、自分なりに頑張って情報を整理してみましたが、まだまだ序の口地獄の一丁目です。

次回は、「人材版伊藤レポート」の核心について、自分なりに整理していきたいと思います。
※あくまでも、自分の理解の整理のために

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