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人間よりもAIを信用する時代に。─信用スコア─

はじめまして。株式会社WHITEのインターン生の河原です。

今回はWHITEのインターンとして信用スコアについてまとめてみました。
巷で話題の信用スコアが社会にどのような影響を及ぼすのか、自分なりに想像してみました。

信用スコアとは

一言で言うと「個人の信用情報を、行動履歴やビッグデータを元に一定の指標で数値化したもの」です。

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今後の社会で個人を測るための重要な指標になってくると言われています。

信用スコア登場の背景(?)

1991年にクレジットスコア(FICOスコア)が米国の3大信用調査機関で採用され、信用スコアの標準となったと考えられています。

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最初は主に金融機関で行われる取引の審査基準で利用されるもののため、使用用途が少なく狭義的なスコアでした。
現在はそれを元に様々なサービスで信用を測る機会が増え、アメリカ、中国を中心として信用スコアが普及していきました。

先行市場(中国)

中国では電子決済サービス「Alipay」と連携した「芝麻信用(ジーマしんよう、セサミ・クレジット)」という信用スコアサービスが普及しています。

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「芝麻信用」は「Alipay」をより利用してもらうための仕組みとして「各項目のデータをより多く入力することでスコアが上がる」というシステムを導入しています。

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これによって、自分の経歴に自信のあるユーザーは自らデータをより多く提供するようになり、
「芝麻信用」を利用する外部企業も個人情報へアクセスすることなく、自社でリサーチをかけずとも良質な顧客を数値のみで判断することができるようになりました。

また、「Alipayの決済履歴を元に信用度を判断する」という仕組みがあります。

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このような観点と、「銀行口座は持っていないけどスマホは持っている」という人達が現金以外で取引する方法として、「芝麻信用」を中心とする信用スコアが中国で爆発的に普及し、瞬く間に生活に定着していきました。

日本市場の現状

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https://www.dappsway.com/entry/creditscore-japan-mapping

日本では現在12社が市場に参入しています。
まだ海外ほど普及率は高くありませんが、Web広告をはじめとして徐々に一般的な認知を獲得してきています。

日本で最初にAIスコア・レンディングを始めたのが「J.Score」です。

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評価項目のカテゴライズは、
生活 → モノ、自転車・バイク、インターネット、普段の生活、人生経験
情報連携 → Yahoo! JAPAN、ソフトバンク・ワイモバイル、みずほ銀行
性格 → 趣味や嗜好、性格診断
ウォレット → 収入、支出、毎月のローン
ファイナンス → お金についての考え方、資産、クレジットカード
プロフィール → お仕事、お家族と住まい、出身校、資格・語学力、その他
となっており、
高いスコアになることで融資を受けることができたり、提携先である企業が提供するサービス内で特典をもらうことが可能になっています。

https://www.jscore.co.jp/

また、日本でも芝麻信用のように既存のサービスから生まれた信用スコアが注目されつつあります。

「LINE Score」

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LINE Scoreは質問の他にLINEの利用状況からスコア化するのが特徴的です。
メッセージや通話の内容からではなく、LINEで提供されているコンテンツや金融サービスの利用からスコアを算出しています。

http://linescore-blog.line.me/

「Yahoo! スコア」

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Yahoo! スコアはYahoo! JAPAN IDからスコア化するのが特徴です。
登録されている情報率や本人確認の有無、ヤフオク!の取引実績やショッピングのレビュー、知恵袋の活躍度まで、
大きく分けて4つのカテゴリーからスコアが算出されます。

https://www.yahoo-help.jp/app/answers/detail/p/533/a_id/165098/~/yahoo%21%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%82%A2%E3%81%A8%E3%81%AF

日本ではYahoo! JAPANやLINEのように、提供するサービスの利用率が高いユーザーや良質なユーザーを優遇するための信用スコアが多く見られ、
芝麻信用と同じように、各サービスのユーザーの定着とデータの収集に重きをおいている印象を受けます。

J.Scoreのように個人向け融資に特化した信用スコアは、どちらかというと前時代的な信用スコアの設計をしていますが、「未来への投資」という選択肢をコア・バリューとして掲げているので海外とはまた違ったポジティブな広がり方をするかもしれません。

今後のサービス予想

1、人材スコア

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職歴や成果物、人間関係の構築の仕方からスコアを算出して、就活や転職市場に利用するスコア。
一回一回対面で会わずとも、スコアのみで企業とマッチする人材かどうかが判断できるため、求職者にも企業にとってもメリットがあるのではないかと思われます。

2、UIカスタマイズ

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ユーザーの趣味・思考をスコア化し、より快適に過ごせるようUIをカスタマイズする利用の仕方。
UIのみならず、ユーザーに寄り添った新しいライフスタイルの提案や、生活の改善案の提示をすることによってQoLの向上に繋がります。

3、生活指導塾

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「スコアが高いこと」が生き方の一つの正解として捉えられた時、高いスコアをとるために日々の生活を見直すための指導塾が開校されるされるかもしれません。
ライザップのように、先生(トレーナー)が生活の見直しを一緒に検討して改善してくれるプログラムを提案してくれます。高いスコアをとること以外にも自分の生活習慣を見直したい人が利用することがありそうです。

現状の事例における課題

中国の「芝麻信用」は当初、婚活にまで持ち出されるほど、「人を判断する」という場において利用されていましたが、最終的には自社のプラットフォーム上で行われる信用取引のみの利用に落ち着きました。

信用スコアはAIが人間の生き方に一つの正解を提示するものです。
海外でも高いスコアを取ろうとするばかりに、スコアに寄った生活をするユーザーが出てきています。

企業が提供するサービスの一つであるため決して危ないものではないのですが、企業がユーザーの行動を操作しているようにも見受けられます。
サービスを利用する以外にも、日常生活や価値観まで点数化されると、一種の洗脳のようなものにもなりかねないので、これからは国がスコアの基準を作ってもいいかもしれませんね。

示唆

信用スコアは個人の情報を点数として提示することで、ユーザーと企業の双方にメリットをもたらすシステムです。
現状では限定的な場面でのみ利用されますが、これから先、日本がスマート社会になるにつれて信用スコアが利用される場面が増えていきそうです。

AIが算出した信用スコアによってユーザーが判断される機会が増加すると、「AIに思考を委ねること」がユーザーの選択肢として割と身近なものになってくるかと思います。
そんな時、スコアやAIに呑まれることなく、自身の価値観に基づいて信用スコアを利用することができれば、心身ともに今よりもっと快適な生活を送ることができるようになると思います。

今後は、AIとの良い距離感をはかっていきたいですね。


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