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パラノイアな祖父を巡る旅 4
あらすじ
ドキュメンタリー動画を撮ることになった僕は、祖父と父の関係について取材することに決める。祖父は誇大妄想症で自分が「天皇の子孫」だと語っていた。一方、その息子である父は天皇に嫌悪感を示していた。
僕は祖父が誇大妄想症であったことを示す『あるもの』を探すために、かつて祖父と父が住んでいた宇治の家を訪ねる。実家のある大阪から宇治までの道中、祖父の誇大妄想が生まれた原因が「襖の下張り」と親
パラノイアな祖父をめぐる旅 2
前回までのあらすじ
とある事情でドキュメンタリー動画を撮ることになった僕は、父と亡くなった祖父を取材することにした。祖父はすでに亡くなっているが、かつて誇大妄想の気があり「自分は天皇の子孫である」と語る人であった。一方、父は政治に関心が深く、天皇の話題が出ると怒り出す。2人の間に一体何があったのか、確かめるために僕はまず、東京から現在父の住む大阪に向かう…
成田から関空に向かう飛行
放送作家見習い見習いの抱えるタヌキ
今年の夏、東京に殺されると思った。
殺されると思うに至った経緯はよく分からない。ただ、世の中のあらゆるエンタメの面白さを理解しなければいけないという思い込みに追い詰められていたような記憶はある。
春に上京し、「ワタナベコメディスクール」の「メディアクリエイターコース」に入学してから半年ほど経った頃だった。カタカナばかりでよく分からない学校だけど、要するに「エンタメ全般に関わる作家の養成所
ジェネレーション・トーク
懐かしいトークテーマについていけない。同級生で集まるとそういう話題になることも少なくないが、出てくるモノに軒並み馴染みがない。流行に乗れずに育ってきてしまった。
ゲーム機は買ってもらえなかったから、ポケモンとかの話題はよく分からない。「はねとび」も見ていなかったし、…と続けて例を挙げようと思ったけれど、例さえ思いつかない。それくらいついていけていない子供だった。だからと言ってマニアックな趣味
氏、『森見登美彦』を語る
僕が初めて森見登美彦を読んだのは中学2年の時だった。確か『夜は短し歩けよ乙女』が映画化された頃で、教室の学級文庫にあった原作を何も知らずに手に取った。どんなものか1、2ページ覗いていると、先生に「あんたが読むもんちゃうで」と水を刺された。おおいに腹を立てたことを覚えている。当時は「そんなこと言わんでええやんけ」と思ったけど、今なら先生が言うこともわかる。その時僕が愛読していたのはあさのあつこの『
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