続Ⅱ・産業保健のエビデンスとは?
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続Ⅱ・産業保健のエビデンスとは?

こんばんは。iCAREメディカルスタッフ(保健師)のまいです。

労働判例のご紹介も今回で3回目になりました!

過去記事はこちら
 産業保健のエビデンスとは?
 続・産業保健のエビデンスとは?

今日は【健康診断】にまつわる判例をまとめました。

1. 三菱電機(安全配慮義務)事件 (H11.静岡地裁)
高血圧症を有していた労働者のくも膜下出血発症につき、安全配慮義務違反が認められなかった事件。
会社側の安全配慮義務違反が追求される裁判の中で、正面から産業医の落ち度、過失が問題にされたケースとして重要な意味を持つとされる判例。
2. 愛知県教育委員会(減給処分)事件(H13.最高裁)
市立中学校の教諭が、放射線暴露の危険性を理由に定期健康診断の胸部X線検査を受診せず減給処分を受けたことにつき、処分の取り消しが認められなかった事件。
本件は、安衛法により企業に実施が義務付けられている健康診断について、従業員に受診義務が認められるか否かをめぐって争われた。教諭が受診を拒否する理由としたX線検査の有害性については、軽視することはできないとしつつも、医学的有効性が存在することから、同教諭には「受診命令に従う義務があった」として減給処分が有効であると判断された。
3. 城東製鋼事件(S43.大阪地裁)
肺結核に感染した従業員が、治療の時期を逸して外科手術を余儀なくされたことにつき、安全配慮義務違反が認められなかった事件。
本件では、該当従業員に対して二次検診の受診を勧奨しなければならないが、その結果を待たずとも直ちに就業制限等の措置を講じる必要がある場合を除き、本人がその受診を拒否し続ける限り、就業制限等の措置を講じなくとも安全配慮義務に違反することにはならないことを示唆している。

出典:新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック


判例をまとめてみて思うこと
私は産業保健スタッフとしての立ち位置に迷うとき、判例を調べます。
というのも、もともと判例に興味を持ったきっかけは、専門職としての考え方の軸(産業保健のエビデンス)を持ちたかったからです。

病院の看護師から産業保健師になってみて、はじめは個の目線が強くなりすぎているのでは?と迷うことも多くありました。

産業保健の場である会社は経済活動を行なう場であり、産業保健師も会社の成長に繋がるようアプローチすることが大切だと考えています。
でも、実際にケース対応をしていると、自分の立ち位置を見失ってしまうことがあるのも正直なところです。

そういうときに判例を調べてみると、「全体最適を図るにはどうあるべきか」を考えるヒントがあるような気がします。

珍しく長々と書いてしまいましたが、産業保健師としての私の考え方の根幹は「働くことによって健康を害する人をなくしたい」ということです。
これ以上辛いケースが起こらないように、これからも過去の判例から学んでいこうと思います。


参考文献・サイト
記事を書く際、以下の2つを参考にさせていただきました。

1.新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック
 全体的に読みやすく、判例の重要ポイントもまとまっています。
 初めて労働判例を読むときにもおすすめです。

2.こころの耳
 メンタルヘルスや過労死等の事例が紹介されています。
 反面教師として活用できる内容です。