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そんなことまで言っていいの!? #1 「半沢直樹」について(ウサギノヴィッチ)

 最終回の視聴率32,7パーセントで優秀の美を飾ったドラマ「半沢直樹」だが、最終回の直前の回で「1000倍返し」にしてやると大見得を切って、最終回の高視聴率につながったのではないだろうか。
「半沢直樹」のドラマは一部ミステリーっぽいニュアンスで作られている。謎があり、敵がいて、それらを解決して倒していくいくという流れだ。だから、視聴者も次が知りたくて、釘付けになっていく。そして、勧善懲悪なのが視聴者の気分をスッキリさせる。
 その勧善懲悪に一役買っているのが役者だ。蓑部幹事長役だった柄本明だ。この人の憎たらしい演技には、見ている側として本当には腹が立ってしかたなかった。

──はぁ? 最近、歳をとって耳が遠くなってねぇ。

 このときの表情が悪すぎる。意地が悪い老獪なジジイをえんじさせたら、日本屈指の役者なのではないだろうか。あと、記者会見で土下座をしたあとに一気に全速力でその場を立ち去るというシーンは緊張と緩和なのか、少し笑えるところがあった。
「半沢直樹」は役者に恵まれているというか、とにかくキャラクターが濃い俳優が集まっている。さらに、その役者たちに見得を切らしている。なにかあると顔のドアップがある。よく印象に残っているのは、大和田常務のシーンだ。香川照之の顔が毎回アップになっているように思える。まるで歌舞伎のように、そのシーンを待っている人(待ってないかもしれないが)がいて。そこに俳優の名前を呼ぶ、──よっ、〇〇! みたいなことができそうである。
 最終回の最後のシーンは今まで敵対していた半沢と大和田のラストバトルと言ってもいいシーンには、これでドラマが終わってしまうというもったいない気分にさせられた。
 結局、このドラマは堺雅人と香川照之のドラマだったのではないだろうか。
 続編がすでに期待されているが、自分の見解だが、当分「半沢直樹」のドラマはないだろう。なぜなら、原作のネタは底をついている。新刊も出たが、それは半沢直樹の続きではなくて、過去の話だからスペシャルというのは、あるかもしれないが原作の続編が出ない限り、ドラマの続編も出ないだろう。
 半沢が1000倍返しできたかと問われたら、視聴者に1000倍のインパクトと恩返しは与えただろう。ただ、今回が前回を超えたかと言われると、一概にどうとも言えないのではないだろうか。
 それもコロナという環境のもとに作られたとなったら、ある種の成功ではある。
 こんな怪物ドラマはしばらく出てこないであろう。

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