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手稲の色

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手稲の色リスト。随時追加、更新しています。
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白膠木

昨日の札幌は強風でヌルデの枝が折れ落ちていたので、急遽染めてみた。 ヌルデは虫瘤がつけば「五倍子」だが、葉枝でも染まるという。 少しの量なので、そもそも染料としては不十分だったかもしれないが、鉄媒染で紫がかった薄めのグレーに染まった。脇に2本も芽が出ていて、これは根で増えるのか?庭に継続してヌルデが生えてくるならば染料として継続して使うことができる。 「薄いグレー」を好まれる方が多い。これまで、私の染め方では薄いグレーを出すのが難しく、ご希望に添えなかったこともあったが、こ

野葡萄

うちの敷地内にある野葡萄 秋に色づいた実を採って野葡萄チンキを作るのだけど とにかく生育欲旺盛で夏にどんどん伸びる蔓は染料にならないものかとずっと思っていた 茎は赤く いかにも染まりそうな風貌 剪定したのはこれ↑より少し前、どんどん伸びる蔓を採って、試しに染めてみることにした 染料の量が少なめで、媒染液濃度も薄めにしたが、相変わらず絹は濃く染まる  緑がペースにあるグレー〜黒に近い濃い色 イタヤカエデ染めの色と系統は似ている とても綺麗な色 野葡萄の実は肝臓に効

栗葉

2022.7.15 栗の葉で染めた 前日切った幼木の葉  なぜ幼木か?についてはこちらに書いた 鉄媒染で、葛は青みを伴った濃いグレー(濃く染めたからであるが) 絹は光の加減によって青が見えたり赤が見えたりする 黒に近いごく濃い色 (これも濃く染めたからだが) 初めて使う染料だったし、どのくらいの葉の量でどのくらいが染まるかも予想がつかなかったから、試し染めと思って、あまり量を染めていない しかし、結果として、葉の量は充分すぎるほどであり、しかも、こんなに深みのある色に染

メマツヨイグサ

メマツヨイグサが開花し始めたので、染めた 日暮れ後に次々を花を咲かせて、翌日には萎むが、次の花が翌晩にはまた咲き、を繰り返し、雪の降る頃までずっと咲き続ける。 染めるために、刈っても、刈った場所から新しい芽がどんどん出て、種をたくさんつける。なので、よほど迷惑な場所にない限りは、根本を残して刈る。 今年は、赤みが昨年より強い。薄く染めると、灰がかった紫ピンク。 染めている間はもっと紫みが強かったが、一晩経って、赤みが増した。 絹、座繰り糸 葛苧は青を含んだような紫

ゲンノショウコ

昨夏(2020)採取した庭のゲンノショウコ 乾燥して保管したものを染料として座繰り糸と葛苧を染めた ゲンノショウコはアイヌ語で「ponrayta(ポンライタ)」 お腹の薬として用いていたようだ 糸を触っていると手がスベスベになってくる。皮膚を修復する薬効成分は染色でも生きているのかもしれない。 絹は艶かしい茶の中に赤の潜む濃い色に染まる。 葛は赤紫を含んだようなマットなグレー。 鉄媒染

蕗の薹

雪解け後、昨秋積もった茶色の落ち葉の中 覗く薄緑は目に鮮やかで どうしても染めたくなる フキノトウ  アルミ媒染で鮮やかな黄色に染まる 山の中でも早々と花をつける福寿草やヤチブキの花も、鮮やかな黄色だ 黄色は春の色だと思う 煮出している時も良い香りがして 幸せな気持ちになります。 手稲のフキノトウ色

赤麻

赤麻(アカソ)染め 赤い色が欲しいので穂が少し赤くなる今時期が染め時 タネを落とす前 生命を全うする前なので必要最小限に 1、2年経つと少し鮮やかさが落ち着いてくるが 褪色はほとんど無いと思う 葛の繊維は他の色に染めたのが少しずつ残っていたのをまとめて染め直した 太陽の光を浴びると真っ赤 森の中の赤麻 まだ緑 (2020.8.3記)

2020.7.28 自宅の敷地内にある藤の選定蔓で葛の繊維を黄色に染めた 毎年の定番 タネから育てて今年で10年目くらいになるだろうか 数年前から花を咲かせるようになって、今年はたくさん咲いた 伸びすぎた蔓を剪定するのは花の終わり頃と真夏 今年は勢いがものすごく、2、3度刈った 写真に撮るのが難しいが葛の繊維が鮮やかな黄色に染まる 時間が経つと少し色味は落ち着くが、しっかりと染まるので葛専用 絹の糸を黄色に染める場合は春のフキノトウだが、絹を深い緑に染めたい場合は藤も使

メマツヨイグサ

花の咲いたタイミングを逃したくなかったので天気はイマイチだったが庭のメマツヨイグサで絹と葛を染めた マツヨイグサの仲間が紫ベースの黒に染まる事は分かっていたがこの草は不思議と私有地に生えている事が多い 後に知人に「アレチヨイグサ」という別名を教わった 豊かな自然の中にはあまり生えず 荒れ地を好む草なのか  とにかく私有地なので なかなかと勝手に採取できず 数年前うちの庭に生えてきたのを見つけたときは嬉しかった 以来タネ取ってはばら撒いており 今年やっと試した でも発芽率はそ

板谷楓

昨年の9月に採取し天日干しして保管しておいたイタヤカエデの枝葉で染めた 採取した時点で染めたときには黒に近い緑茶だったが 乾燥・保管後の染料ではどのような色が出るか分からなかったので試染 絹は緑が濃いオリーブ色、葛は緑がかったグレーとなった 乾燥して保管できる染料は本当に有難い。濃い色に染まりホッとして本番の糸を染めたら 絹が全然違う色になって驚いた 不思議なのだが 葛は試染と同じ色 でも絹に染まった色はそもそもの色の質が違う 絹の糸に含まれる何かしらの成分の違いかもし

繊維を取るための蔓を採取するときには葉を落とします その落とした葉を集めて染料とし 絹・座繰り糸を染めました 経糸の絹糸を葛の葉で染め 蔓から取った繊維を緯糸に 布を織り 仕上げに根から取れる葛粉の糊をかけると 一度離れ離れになった葛の 葉、蔓、根が 布となって再び出会い混ざり合う アイヌ語で葛のことをオイカラ(oykar)と言うそうです 『oykar(オイカラ/葛)』というタイトルの帯地を間もなく織ろうと思っています

蕗の薹

今年最初の染めは蕗の薹(フキノトウ) 冬の間雪の重みで固まった落ち葉を突き破って出てくる柔らかい緑は半年間白一色だった私達の目にはとても鮮やかで 採りたい食べたいと思うのはもちろんのこと 染めたいと思うのも本能的な感覚なのではないだろうか 経験上 食べて美味しいくらいの芽吹きの頃に採取すると少し緑に近い黄色に染まり トウが完全に立つ頃に採取するとより黄色味が増す 今回はその中間、花の咲き始めの頃のものを採取した  ふきのとうの花は甘く良い香りがする 煮出した時の苦味の