クズ人生番外編3〜親子の温度差〜

キックベース大会で大恥をさらし、(番外編2参照)悔しかったのか球技はおろかスポーツにも興味がなかったの父親が野球のルール本を読み始め、私に球場に野球を見に行こうと言いだしたのだ。

もちろん、野球になど興味が無かった私は興味が無いから一人で行ってきたら?と言ったが一緒に行ってくれたら帰りに吉野家の牛丼を食べさせてやると言われ、田舎に住んでいた私はろくな飲食店が近くに無かった為小さい頃からどうしても吉野家に行きたいと親に懇願していた。
なので野球には興味は無かったが渋々ついて行った。

父親はどこのファンという訳ではなかったがどうせなから本場?で見たいと言いだし甲子園球場での阪神対広島の試合のチケットを取ってきた。しかも外野だ。

前日まで父は野球中継をみたり、阪神の選手が載っている雑誌を買って読んだりしてあたかも昔から阪神ファンであったかのように振る舞っていたがそうとう気持ち悪かった。
ついこの前まで野球のやの字も知らなかったド素人が

「打てー!」だの「このピッチャーダメだな」だの野球中継を見ながら叫んでいるのだ。

どこからのもの言いなんだ。
お前はいつから猛虎魂たくましいおっさんになったのだ。
本当に冷ややかな目で見るしかなかった。

そしてとうとう当日になった。
球場に向かう際の車の中では何回も六甲下ろしが流され頭がおかしくなるくらいに聞かされた。

球場についてからはありとあらゆるグッズを父が買い、根っからの阪神ファンでもそんな格好しねぇよと言いたくなるような派手な格好を親子揃ってさせられた。

おまけに普段から酒なんてほとんど飲まない父が席でビールと焼き鳥を食べ始めたのだ。
車で来ているのに大丈夫なのかと聞くと、せっかく球場に来ているのに飲まないほうがダメだとか言いだす始末。

とことんまで訳の分からない親だ。

試合が始まり、周りの人の応援の仕方を見よう見真似で私はやっていたのだが父はというと……

具合が悪そうにしていた。

普段飲まない酒を飲んで具合が悪くなっていたのだ。しかもその日は真夏の炎天下父の具合は次第に悪くなり、父は救護室に運ばれた。

最悪だった。

結局試合が終わるまでに具合が良くならなかった父はタクシーで近くのホテルに行って泊まり、私は母に迎えに来てもらうことになった。

母は怒りを通り越して呆れていた。
そして私も楽しみにしていた吉野家に連れて行ってもらうという約束も果たされなかった。

それ以降、父は野球中継も見ずスポーツ観戦をする事もなかった。

結局父は何がやりたかったのだろうか…

今回はこれぐらいにしておきます。
全く別の話になりまして私事になりますが再就職決まりました。
コロナ禍で就職先見つけるのは大変だった。
頑張って仕事します。


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