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収益認識基準に対する動き その3

さて、収益認識に関連してもう少し話をしていきます。

最初の回では、海外の事例がどうこうという点に触れましたが、実際に海外事例ではどのようになっているかをみていきましょう。

今回はアメリカ企業のケースを見てみたいと思います。

アメリカでスマートフォンなどのモバイル端末向けゲームとしては有名どころでは、Electronic ArtsActivision BlizzardEpic games、といった会社があります。

今回はこの中で、Electronic Arts(以下、EAと略す)について触れていきます。

ちなみに、EAは、サッカー、バスケなどのスポーツゲームをメインで作っていたりします。(日本だと、コナミに似た感じですかね)

EAのIRページにこのような文章が掲載されています。

General Accounting Considerations
The purpose of this document is to clarify accounting topics specific to Electronic Arts and the videogame industry. It also highlights how our accounting treatment may vary from our peers in effort to help the investment community when reviewing the industry as a whole.

冒頭このような記載があり、会計に関する論点を明確にするための説明と書いてあります。そして、いくつかの項目について会社の方針を説明しています。

WHY DO YOU DEFER REVENUE FROM FULL GAME SALES AND EXTRA CONTENT?

こちらの項目で収益を繰り延べる理由について触れています。ざっくりまとめると、このような内容です。

オンラインゲームに関しては、オンライン上でユーザーがプレイできるようにするために、一定期間の提供義務がある。例えば、Microsoftからダウンロードしたゲームは、6ヶ月間に渡って繰り延べて収益認識を行う。実店舗での販売の場合は9ヶ月の繰り延べをする。
また、オンライン上でプレイするゲームやオンライでの追加コンテンツに関しても同様に収益の繰り延べを行う。
そのため、実際に売れた期間と収益が計上される期間にはズレがある。それは感覚的には違和感がある(直訳すると、直感に反する、か)。しかし、US GAAPの下では、収益を繰り延べる事が標準となっている。繰り延べ金額と期間は会社ごとに異なる。

すでにいくつか気になるフレーズもあるのですが、一旦ここでは先に話を進めていきます。

HOW DOES ASC 606 IMPACT ELECTRONIC ARTS REVENUE?

この項目では、ASC606の適用によって、収益計上がどのように影響があったのかを述べており、最初にあげた項目と同様の事が書いてあります。

実際の決算書をみてみましょう。こちらは、2018年(2019年3月期)の年間決算の書類です。

CRITICAL ACCOUNTING POLICIES AND ESTIMATES、や、SUMMARY OF SIGNIFICANT ACCOUNTING POLICIESの項目で、Revenue Recognition(収益認識)について触れています

For a complete discussion of our critical accounting policies and estimates with respect to revenue recognition for revenue transactions occurring prior to April 1,2018, which were accounted for under ASC 605, Revenue Recognition (the “Old Revenue Standard” or “ASC 605”), refer to Part II, Item 7 “ Management’s
Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations ” under the subheading Critical Accounting Policies and Estimates included in our Annual Report on Form 10-K for our fiscal year ended March 31, 2018, filed with the SEC on May 23, 2018. With respect to revenue transactions occurring on April 1, 2018 and onward, our revenue recognition accounting policy is set forth below and follows ASC 606, Revenue from Contracts with Customers (the “New Revenue Standard” or “ASC 606”) .

従来のASC605に代わって、ASC606を適用して財務諸表を作成する、という形です。

ちなみに、IRページのQAの中にもASC606の項目がありました。

WHAT IS ASC 606?
ASC 606 is a revenue standard under GAAP accounting that we adopted at the beginning of our fiscal 2019 year, which began April 1, 2018.

ASC606はIFRS15号と同様で、USにおける収益認識基準ですね。

原文はこちら

詳細を知りたい人は各々に調べてもらうとして、基本的には、これまでも触れてきたIFRS15号の5つのステップに従って判断していく形です。

適用タイミングは、IFRSとほぼ同じなので、US基準の各社はすでにこれを適用した会計処理に沿って進めている事になります。

次回へ、海外事例の件続きます。


(実験的に投げ銭システムを使ってみます。以下の文章は、本文とはあまり関係なく、この記事を書いてみての感想を2〜3行程度書いているだけです)


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