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収益認識 一定期間の役務提供

さて、前回、スマートフォンゲームについての収益認識について触れていく、と書きましたが、その前段階でちょっといくつか説明的なものを挟もうかと思います。

タイトルにも書いていますが、一定期間の役務提供についてですね。

どういうことかというと、例えば、システム会社が顧客とシステム保守契約を1年間締結しました。報酬総額は120万円で、契約時に一括で報酬を受領しました、というケースを想定してみましょう。

契約締結してお金も受領しているので、締結時に120万円の売上が上がるのか、というと必ずしもそうではありません。契約期間は1年間なので、この120万円の効果は1年間という期間の間にかかることになります。

経理処理は基本的には月次処理をベースにするので、120万円を1年間、つまり12ヶ月分で割り、1月あたり10万円の売上を計上していくことになります。

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システム会社は1年間に渡ってシステム保守という役務を提供する義務があるため、報酬を一時点で売上計上するのではなく、期間に応じて按分しています。

ただ、これは常に契約期間に応じて均等に按分しなけばいけないかというと必ずしもそうではなく、役務提供の内容によっては、一時点で提供が完了する場合もあるので、その場合には、その時点で一括で売上計上しても問題ないと思います。

例えば、契約期間は1年間だけども、その間にあるサービスを完了させること、というような内容であれば、完了してしまえば、役務提供義務から解放されるので、それ以降に売上を繰延べておく必要は無くなります。つまり完了時点で全額売上計上することができます。

また、場合によっては、最初の方に多くの役務提供を終えて、後半は少ししかやることがない場合などは、均等ではなく、傾斜をつけた売上の計上になることもあるかと思います。

システム保守契約の場合は、その期間中何かあれば対応する、みたいなものが多いかと思います。役務提供度合いも期間を等して均等、という考え方が自然ですので、期間中定額で売上計上というのが一般的かと思います。

ちなみに、一括で売上計上した場合の問題点はというと、例えば、上記の例で3月決算期の会社であったとします。2017年3月に契約・入金されたものに対して、2017年3月に全額120万円を売上計上すると、契約期間は、2017年4月以降もあるにも関わらず、2017年3月期に全額売上計上される一方で、2018年3月期には売上がないことになります。

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この場合、まだ契約期間がほとんど残っているにも関わらず、2017年3月期にい全部売上計上することは、非合理的な会計処理となるので、認められないでしょう。


鉄道の定期券なども一定期間使えるものであり、鉄道会社側からすると、その期間の間、サービス提供する必要があり、似たようなものとなっており、こちらのページに解説などが載っていますね。

3ヶ月定期券であれば、最初の1ヶ月分のみを収益にして、残額は前受運賃として、負債計上して繰延べることになります。

このように、ある一定期間サービスを提供するような契約の場合、契約締結・報酬受領段階で一括で売上計上するのではなく、契約内容に応じて判断することが必要となります。

このあたりの考え方は、日本基準であろうとIFRSであろうと特段相違はないかと思います。

さて、次回も少し、前段階としての説明をしてみます。

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