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無形資産の内訳 5

タイトル的にはまた前回の続きな感じですが、前回までのものは、こちらの日経記事のランキングを元にしたもの、売上高が100億円以下の小規模(といって良いかは?)企業のランキングでした。

過去の記事を探していたら、企業規模に関係ないランキングの記事も見つけたので、ちょっとこちらにも触れてみようかなと。

こちらのランキングも定義は同様に、のれんを除く無形固定資産が、有形固定資産に対してどのくらいの割合かによって算出されています。

そして、ランキング1位は、エスエムエス社です

カイポケという介護事業者向けの支援ツール制作や介護分野の人材紹介などのサービスを行っている会社です。

記事中にも無形固定資産の内訳に触れて、こちらのように記載があります。

無形資産の多くを買収企業のブランドやノウハウなど商標権が占める。

前回までをみてきた人は大体想像つくかと思いますが、要するに、こちらに関しても、「広義ののれん」が科目を替えて無形固定資産として計上されて、この計算による無形固定資産割合が多くを占めていることになるわけです。

実際のBSの状況をみてみます。2020年3月末の連結のBSです。

 SMSの BS図1

2020年3月末では無形固定資産合計では227億円ほどありますが、そのうちの101億円が「のれん」です。そして、のれん以外に金額の大きな科目があり、「商標権」として、91億円あります。これが要因でのれんを除いた無形固定資産の金額が大きくなっているわけです。ちなみに、「顧客関連資産」も18億円ありますね。このシリーズでもよく見かけた科目です。

ではこの商標権はなぜこのように多額に計上されているのか?

時間を遡り、2016年3月期の連結BSです

SMS no図1

2016年3月期の期中にのれん、商標権、顧客関連資産が計上されたことがわかります。

これらは、2015年10月に、Medica Asia(Holdco) Limitedという海外企業を買収したことにより発生したものです。

企業結合の注記にはこちらの記載があります。

 SMS注記図1

SMS注記2

この買収による「商標権」は約100億円も計上されていました。しかも、非償却であるため、残高が償却で定期的には減らない形なのですね。

ちなみに、買収規模が大きかったためか、こういった補足説明資料も開示しています。

MIMSグループ買収補足説明資料

アジア・オセアニア地域におけるMIMSのブランド力が強いことから、100億もの商標権を計上した、ということなのでしょう。

買収から5年経過しても商標権が90億円近く残高があることから、実際にそれくらいの価値を生み出している、ということなのでしょう。

エスエムエス社もなかなか興味深い事例と言えます


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