「左派ポピュリズム」はどっちなんだい?

参議院選挙が終わってしばらくが経ちましたね。突然の事件もあって、いろんな影響があった選挙でしたが、候補者を見ているとなかなかおもしろいものでした。もちろん炎上芸がここまで意味を持つものなのかという不満もありますが、それは時代が時代なので仕方のないことなのでしょう。

それはそれとして、選挙活動、特に街頭演説を見ていて、1つ興味深い点がありました。れいわ新選組の大阪選挙区候補者、八幡愛さんのことです。大阪は結果として維新が2人、自民公明が各1人という、おそらくだいたいの人が想定していた通りになったと思っているのですが、4人区で女性が2人当選している選挙区でもあります。主ふ目線、等、女性であることを押し出した候補者も多かったのですが、おそらくもっとも「女性」を押し出していたのが、れいわ新選組の八幡愛さんでした。
※主ふ目線って、日本ではあまり見かけない配慮だなぁと思うわけですが、しかしながらこの表記には好感を持っています。

れいわ新選組は党のイメージカラーがピンクで、思想としては急進左派、もしくは左派ポピュリズムなどと呼ばれる類にあたりますが、そもそも「左派」理念と「ポピュリズム」は相性が良いとは言えません。「左派」はいわゆる「リベラル」つまり「自由」「平等」「福祉」「権利」「グローバル」「理性」を基調とした思想で、比較的言論において称揚されがちですが、一方で「ポピュリズム」は「大衆主義」とも呼ばれ、「反グローバル」「反知性」「大衆迎合」として、左派側から比較的批判されやすいものです。もちろんそんな単純なわけではありませんが、だいたいそんなものと思ってもらえたら十分です。具体例を出すと、「左派」はヒラリー、「ポピュリズム」はトランプです。ざっくりこんな感じですから、相性がよくなさそうなのはなんとなくわかってもらえたと思います。
※私は「反知性」をそう単純に批判できるものではないと思っているので、ここでの話は「典型的な」ものだと思ってください。

だから、左派ポピュリズムが「左派」と「ポピュリズム」がぶつかる場面に出会ったとき、どちらを採用するか疑問に思っていました。その答えとして、明解なものを見せてくれたのがまさに八幡愛さんでした。彼女は名前の通り女性ですが、党のカラーであるピンクと、「愛」というお名前を全面に押し出した選挙活動をしていました。ノボリにはピンク色のハートを大きく描き、街頭演説では「山本太郎のことは嫌いでも、れいわ新選組のことは嫌いにならないでください」と、某アイドルの言葉を引用していました。つまり、女性候補であるというアピールがかなり多いように感じました。実際見かけた限りでは、この選挙期間の街頭演説で、八幡愛の演説が最も老人男性の割合が高いように見受けられました。

左派の理念というものは、たとえばピンク色のハートが、女性的な記号として扱われることを好ましく思わず、そのニュートラル性を目指すものだと解釈しています。しかし、れいわ新選組の候補者である八幡愛さんが、ピンク色のハートが持たれている女性的イメージを最大限活用していたということに矛盾を感じていました。

つまり、左派ポピュリズムという存在は、ある種の矛盾を抱えていて、左派とポピュリズムが衝突する場面に出くわした際は、ポピュリズムが優先される。そのように私には印象付けられました。

実はこれはかなり問題含みです。ポピュリズムというのは、悪いイメージのある言い方をすると「大衆迎合」です。つまり、多数派を取るために、多数と思われる属性に迎合するという性質を持ちます。日本で言うと、公務員を叩くことで支持を得た大阪維新などがあります。左派とポピュリズムが衝突する際にはポピュリズムが優先される以上、左派の理念は多数派にしか適用されません。より正確に言うと、多数派がわかりやすいと思われるような弱者を保護し、「弱者を保護している」という免罪符になる可能性があります。

「わかりやすい弱者」つまり今で言うところの性的マイノリティ、身体障がい者などがいますが、そういう人たち、もしくは大衆そのものへの左派的理念の適用、たとえば福祉など、を行なう一方で、ホームレスなどを排除するための障壁として排除アートを称賛する危険性があります。たとえば宮下公園のような、段差をなくしバリアフリーですよ、安全ですよ、と謳っておきながら実態はホームレスを排除する、そんな施設を手放しで称賛することに繋がります。

私は、こういった方々は左派の風上にも置けない存在だと思っているのですが、残念なことに左派ポピュリズムは「左派」として知られています。もちろん、だからといって右派がいいと言うわけでもありません。あくまでも政治はその部分におけるバランスと、そして全方向性が大事だと思っているのですが、あらゆる人が権利を保障されるなんていう時代は本当に来るのでしょうか。

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