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コロナ禍在宅看取り8(乳がん再発、ホスピス入院)


夕日が綺麗だったいつかのどこかの空

ホスピスも無事に決まり、痛み止めなどの病状をコントロールする薬は
丸山ワクチンを接種してくれていたかかりつけの病院にお願いし
どこか余後3ヶ月の意識もないままに平穏な日々が流れていました。

普通に朝起きて着替え、朝食をとり、かかりつけ医のところへ行き
娘を連れて公園によってお昼を食べ
お風呂に入り夕食をとり眠る

そんな当たり前の生活を、孫に囲まれて楽しそうに過ごしている母でした。

少しづつ食欲や体力が落ちてきているような感じは確かにありましたが
とても緩やかな変化のように感じていました。

でもまたも状況が一変する出来事が起こりました。
抗がん剤をはじめた頃にも何度かあった股関節の痛み。
痛みは日に日に増していき歩くのも困難になっていきました。

抗がん剤をやめてからはがんの痛みを抑制する医療用麻薬を使っていたのですが
それもあまり効かなくなり、ついには週3日のワクチン接種もいけないほどに。

痛みが出始めた頃は父の書斎のデスクチェアを使って家の中を移動していたのですが
デスクチェアに移動するのも痛みが走るとのことで
かかりつけ医に電話で相談したところ
医療用麻薬の量を増やしても痛みが改善していないので
本人のためにもホスピスに入ったほがいいのではと提案がありました。

見学の際に何か不安があればいつでも連絡してくださいと言われていたこともあって
私たちの感覚では一旦見てもらうためにホスピスへと思い
入院の手続きをとり母をホスピスへと連れていきました。

しかし積極的な治療、すなわち延命治療をやめた場合のホスピスでの医療は
痛みや苦痛の緩和であって、原因の究明や検査ではないことを私たちは
あまり理解できていなかったことに気づかされました。

着替えや排泄の介助に必要だったため、股関節はレントゲンを撮っていただきましたが
血液検査やその他がんに対する検査はもちろん
積極的な治療を望まなければ必要のないものになるということを
その時はじめてハッキリと理解させられました。

延命治療をやめること、それがどういう意味を持つのかということは
家族や本人とも話して理解していたつもりでした。
でも、いざとなるとえ?検査は?ん?これで終わり?と頭が混乱してしまって
ホスピスってこんな感じなのか!と説明されていたはずなのに
気持ちが全く追いつかず、とても戸惑い、悲しい気持ちになりました。

人は経験しないと理解できないことがたくさんあるんだと思いました。

そして在宅で看取ることを決めた決定打。
【面会は登録された2名のみ】
【面会時間は1日1時間以内】
【最期の時は他のご家族はリモートでお願いします】
これは本来のホスピスではなくコロナ全盛期の措置だったからです。
本来は出入自由で、希望すれば家族が泊まれる部屋もありました。

あんなに家族や孫、家が大好きな母が登録する予定の私と父以外とは
リモートでしか会えない、最期にも立ち会えない、そんな状況が飲み込めず
入院したけど、やっぱり帰りたい母と、連れて帰りたい私と父。
とにかく痛みの原因は骨転移による骨折だったため
入院して安静にしていれば医療用麻薬の減薬ができるので
その間に何か帰れる方法を考えようとなりました。