営業チーム全体のアウトプットを増やすには「底上げ」か「上を伸ばす」か、どちらが有効?
よく「2:8の法則」や「2:6:2の法則」と言われます。トップの2割が8割の売上を出す、とかですね。そして、下位の2割は全く動かない。。
ある程度の規模の組織をマネージした経験がある方なら実感したことがあると思います。
こういった場合、成績の振るわないメンバーの「底上げ」を図るのか?それとも上をさらに伸ばすか?どちらが有効か、についてメモ。
1、メンバーを見捨ててはダメです。
まず、大前提なのですが、リーダーがメンバーを見捨ててはダメです。
ここでは組織論として、全員の生産性を引き上げるには、振るわないメンバーを引き上げるのがいいのか、上位のメンバーをさらに伸ばすのがいいのか、ということです。
なぜ見捨ててはいけないか?
部下は上司を本当によく見ています。
見捨てるのも見ますから、恐怖して指示には従うかもしれませんが、心理的安全が脅かされますので、生産性は落ちてしまいます。
指示に従うのであれば、良いのでは?思われたなら、この変化が激しい時代に、自発的に動けるメンバーがいなくなることのマイナスはとても大きいことを認識する必要があります。
そのためにも、見捨てては(あるいは、見捨てるように見える行動は)いけないのです。
2、「底上げ」
まず、不振の担当者を「底上げ」する方から見ていきましょう。
よく行われるのはこちらではないでしょうか?
確かに、平均を下回っている担当者が仮に現在の平均レベルまで伸びてくれれば、全体としてアウトプットが増えることは間違いありません。
それに、なんとなくできそうな気がします。
ところが、やってみるとうまくいかないことが多いのもこちらの特徴です。
なぜでしょう?
「底」とラベリングしてしまうことの弊害です。
大抵、「底上げするぞ!」となると、プロジェクト的なものを立ち上げて「頑張ろうな。できるからな。」みたいなテンションで上司が絡んできます。
上司は上司でチームの業績改善の施策としてカッコよく上に報告とかしていますのでそうなるわけです。
しかも、大々的にアナウンスしなくても、上司の動きを見ているメンバーたちは、「あ、なんか始まったな。対象はあいつとあいつだな。」と分かってしまうのです。
そうなると、対象者は「よし頑張ろう」というより「恥ずかしい」とか「僕なんかどうせ」という心理になってしまうのです。
普段から、成績があまり良くないことは気付いていますし、なんとかしようと思っているはずです。
それをはっきりと、宣告されるようなもの(ラベリング)ですから、やる気をだせ、というのは酷です。決してやる気がなかったわけではないのですから。
こんな心理が働いて、「底上げ」プロジェクトはあえなく失敗。それどころか、「底」を固定化する、というおまけまでついてきます。
3、「上を伸ばす」
では次に、トップレベルの担当者をさらに「伸ばす」場合を見てみましょう。
あまり行われていないと思います。
あるとすれば、優績者の表彰、でしょうか?
表彰には優績者のモチベーションアップの効果は確かにあります。
でも実は、彼らのモチベーションアップの理由は、表彰式で他の営業所の優績者と話ができることであって、表彰そのものではないのです。
なぜか?
トップレベルにはトップレベルの悩みがあります。
その悩みには同じレベルのメンバーと共有し、共感し、考えることがとても役に立ちます。
ところが同じ営業所には自分と同じレベルの担当者はいません。
営業所を超えてトップレベルの担当者が集まる機会が表彰式なのです。
ところが表彰式はゆっくり話す時間がありません。
ですから、トップレベルの担当者が集まる研修を企画するのです。
内容は彼ら自身の活動内容や成功事例を持ち寄って共有し合う、というもので十分です。
最終的には、グループでセールスのプロセスごとのコツというかポイントのようなものをまとめてもらうと、その後全社に展開できるハウツーテキストができてしまいます。
留意点としては、トップレベルの担当者でありがちなのは、「当たり前のことしかしていません」となることです。
その当たり前に物凄いことが隠れているものです。
ぜひマネージャーがファシリテートして、他のメンバーにも分かるように、具体的に話してもらって、マネージャーが資料をまとめるようにしてください。
参加者のモチベーションは上がりますし、全社のためにもなります。一石二鳥です。
4、まとめ
いかがでしたでしょうか?
一般的に行われる「底上げ」より、あまり行われていない「上をさらに伸ばす」ことの方が効果があります。
もし今、トップレベルが集まるような仕組みがないのなら、賛同してくれるいくつかの営業部でやってみてもいいでしょう。
特に今はオンラインで集まれますので、それほど時間も場所も大掛かりにせず試してみることができますし。チャンスです。
その際には、ぜひ、彼らからアウトプットをしてもらい、まとめたものを各営業部で展開してください。トップレベルのやり方を知りたがっているメンバーは多いはずです。
これにより、中間層も伸びます。当然、底も引っ張られますので、全体のアプトプットが増えるのです。
もちろん、「底上げ」はやらない方が良いのではなく、やり方を気をつけやるべきだ、ということです。
例でお話ししたような、いきなりテンションを変えてやっては逆効果だ、ということです。
ではどうすれば良いか?
日常、マネージャーとして、きちんとみてあげて個々に対応してあげることです。その場合、いくつか留意点があるのですが、長くなるのでまた別の機会に。
トップレベルの担当者を集める場、ぜひ設定してみてください。
マネージャーの皆さんも目からポロポロ鱗が落ちる機会になると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
営業、厳しいところが多いと思いますが、こんな時だからこそできることもあるかと思います。
何かお役に立つところがあれば嬉しいです。
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