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「ホーソン効果」と「ピグマリオン効果」を使い分けて部下の成長をサポート

リーダーとして、メンバーの成長は何より嬉しいもの。是非とも成長して欲しいですよね。ところが、なかなかうまくいかないことも…
昨日、「まずやってみる→成功体験→成長、は分かっている。でもやってくれない場合はどうする?」という投稿をしました。

でも、ちょっと違う、というケースもあるでしょう。
そんなとき、こんなやり方がお役に立つかも、というメモ。


1、動いてくれない、原因探しの続きから。

前回は、良かれと思って手取り足取り教えていたら、それがプレッシャーで「失敗できない!」と部下が動けなくなってしまうケースで、解決策としては「上手に失敗させてあげましょう」というものでした。

その他にはどんな原因が考えられるでしょうか?

☑️ やる気がない
☑️ 応用力がない
☑️ 言い訳ばかり
☑️ 動きが遅い
  ・
  ・

今挙げたもの、共通するものがあります。

それは、「原因は部下にある」、ということです。

確かにそうかもしれません。

が、原因を外に求めた時点で「思考停止」になってしまいます。

とはいえ、今回はそういう状況でも少しは動いてもらうことを目指すお話ですので役に立つかもしれませんが、1つだけ、部下が動かないという場合に上司側で考えて頂きたいことがあります。

なぜその業務をやらせたいのか?

ということです。

これは、上司の「こだわり」が原因のケースです。
やらせようとしている業務は、数ある業務のうち、その部分ができると部下の生産性が向上する業務でしょうか?
意外とあるのが、「その部下がその業務を苦手で避けているように見えるから、やらせなくては」というものです。
もしそうなら、改善の優先順位の高い業務が他にあるかもしれません。再考して思い当たるようであれば、そちらを優先させましょう。


2、では、解決策①は?

解決策②の前に、解決策①として以下2つをご紹介しておきます。

☑️ 他に方法はないのか?
この時代、BCPの観点からも代替手段は多い方がいいです。
その方法が苦手なら同じ効果を得られる他の方法を考えさせるのもありです。

☑️ ストレートに聞いてみる
指示はしている。理解もしているようだ。でも…、という場合には、直接聞いてみるのも手です。1on1などの場で、以下のような問いかけを行うイメージです。
「みていると、やることも分かっているし、やらなくちゃ、とも分かっているようなんだけど、何か他にまだ言ってくれていない、本当の理由や障害があるのかな?と感じるんだけど?」


3、解決策②〜「ホーソン効果」の活用〜

さて今日の本題。比較的どんな状況でも使えるのは、

「実験してみよう」と言うことです。

え?と思われたかもしれません。

これは、「ホーソン効果」を活用したものです。

「ホーソン効果」とは職場環境より、職場の人間関係の方が生産性に有意な差があることを言います。

ではなぜ「実験してみよう」が「ホーソン効果」の活用なのか?

「ホーソン効果」の実験は、工場の明るさが生産性にどう影響するかを調べたものです。仮説では明るい方が生産性が高い、というものでしたが、実際には差はない結果になりました。その理由として、工場の行員たちは、自分たちが観察対象となっていることを知っており、そのため普段より頑張った、というのです。

今回はその、「自分たちが観察対象となっていると分かって頑張ってしまった」という心理を活用しよう、というものです。

なぜこれが解決策になるのか?

真剣にやって失敗したら、と考えると、なんとかして「やること自体」を回避しようとします。マネージャーとして活躍されている方からすると、「なんだ、それは」かもしれませんが、そういう心理構造の方もいるのです。

その解決策として、前回、「失敗してもいいよ」と背中を押すことを提示しましたが、それでも動かない、というのは回避行動がより強いのです。

そこで、「実験してみよう」です。「実験」なら失敗も成功もありません。

実施する上でのポイントは、メンバー全員、もしくは、経験年数等、なんらか客観的な基準(動かしたい部下が入る基準)で分けた複数人にすることです。

その対象者だけ、とするのに客観的な基準が用意できるのならば、1人でも構いません(できないから対象、というのはNGです)。

その対象者たちに、「こういうデータが取りたい。申し訳ないが実験対象とさせてもらった。具体的には、これこれを○○件やって、その結果を報告して欲しい。営業成績による評価とは別枠で評価するから。」と言うのです。

「ホーソン実験」と同じですね。

理由はどうあれ、動いてさえくれれば、成功体験をしてもらえて、成長へと繋がります。そのために、かなりの確率で小さくていいので成功できる「実験」を設定しましょう。


4、まとめ 〜「ピグマリオン効果」との違い〜

いかがでしたでしょうか?

よく言われる「ホーソン効果」の元となった「ホーソン実験」を活用するものでした。

さて、こうしてみると、前回の「プレッシャーで動けない」というのは、教師が生徒に適度な期待をかけることで生徒もそれに応えようと頑張る、という、「ピグマリオン効果」の悪い例、「適度な期待を超え、過度な期待ではプレッシャーとなり効果が得られない」ということと同じであることが分かります。

この2つはよく同時に紹介されますが、ピープルマネージャーたるもの、この2つをうまく使い分けることが部下の成長をサポートする上で大きなポイントの1つになりますね。


最後までお読みいただきありがとうございました。

何か参考になるところがあれば嬉しいです。


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