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#295「ビジネス頭の体操」 今週後半のケーススタディ(5月6日〜7日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


5月6日(木) ゴム業界は○兆円産業!

日付は「ゴ(5)ム(6)」と読む語呂合せから「ゴムの日」です。

ゴム
タイヤをはじめ、輪ゴム、ゴム手袋、ホースなど身近な製品でもあります。
どれくらいの市場規模があるのでしょうか?

日本ゴム工業会の「ゴム製品の出荷金額の統計(2020年)」によると、出荷金額ベースで1兆9,312億円となっています。

また、財務分析サービスのリスクモンスター社の業界分析によると、ゴム製品製造業関連企業の売上高合計として、7兆917億円の市場規模があるとしています。うち、上場19社の売上高合計は6兆5,506億円となっており、過去11年の推移は以下の通りです(下図)。

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内訳ですが、タイヤが52.3%を占め最も多く、次いで工業用ゴム製品(31.4%)、ゴムベルト・ゴムホース(9.1%)などとなっています(下図)。

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もう少し詳しくゴム製品にどんなものがあるか、を見てみましょう。経済産業省の生産動態統計月報の品目を見ると、実に多くのゴム製品があることが分かります。

☑️ 自動車用タイヤ
☑️ ゴム製履物
☑️ ゴムベルト(コンベヤベルト、歯車ベルト、その他)
☑️ ゴムホース(高圧用、自動車用、その他)
☑️ 工業用ゴム製品(防振ゴム、防眩材、ゴムロール、パッキン類、オイルシール、スポンジ製品、ゴム板、その他)
☑️ その他(医療・衛生用、運動競技用品、その他)

このように広く使われているゴム製品は、石油(ナフサ)が原料の合成ゴム製品と、天然ゴムが原料の天然ゴム製品とに分けられます。それぞれの特性から以下のように用途が分かれています(下図)。

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ゴム業界の企業別売上高ランキングを、業界動向サーチHPからご紹介します(下図)。ブリヂストン圧倒的ですね…

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最後に、日本ゴム工業会が公表している、ゴム消費量の2020年見込み、2021年の予測をご紹介します(下表)。

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ゴム業界も感染症の影響を受け、2020年はタイヤ類は20%程度の落ち込み、工業用品類について17%程度の減少が見込まれています。
一方、2021年はタイヤ類は5.4%増、工業用品類で12.5%増と回復が予測されています。

→多くの業界で使われているゴム製品。売上に占める原材料費が占める割合が4割と高いのが特徴である。しかも価格変動は比較的高い。こういった業界で安定的に利益を出していくにはどのような戦略が必要だろうか?



5月7日(金) 博士課程入学者のうち○割は社会人!?

1888年(明治21年)のこの日、植物学者の伊藤圭介、数学者の菊池大麓、物理学者の山川健次郎など25人に日本初の博士号が文部省によって授与されたことに因んだ「博士の日」です。

博士
いわゆる学位である博士(英語でDoctor)は「はくし」と読みます。「はかせ」は大化の改新以来の官職の名称だそうです。
知らなかった…

博士(はくし)になるには、博士号をとる必要がありますが、最も一般的なのが大学院の博士課程に進み、論文が大学に認められることで取得する方法でしょう。

学部、院、博士課程?と私もよく分かっていませんので、今一度全体像を確認します。
科学技術・学術政策研究所の「科学技術指標2020」に、日本の各教育段階にいる学生数が1つにまとまった資料がありましたのでご紹介します(下図)。

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これを見ると、2019年時点で博士課程に在籍しているのは約7.5万人になっています。

この人数は、各学年まとめて、なので1学年にどれくらいいるか、という数字も確認しましょう。いずれも2019年の数字です。

☑️ 大学学部入学者数 63.1万人
☑️ 大学院修士課程入学者数 7.3万人
☑️ 大学院博士課程入学者数 1.5万人

つまり、約1割強が大学院に、そのうち約2割が博士課程に進む、というイメージです。

博士課程の専攻別入学者数の推移は以下の通りで2000年代に入ってから減少傾向です。

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最も多い保健というのは、医療系です。

特徴的なのが、博士課程入学者のうち、社会人入学者数が増加傾向にあることで、2019年には0.6万人で全体に占める割合が4割を超えています下図)。もしこれがなければ、減少ペースはもっと早い、ということになります。

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さて、博士課程を修了した人たちの進路はどうなっているのでしょうか?理工系に限られますが、博士課程終了者の進路は7割が就職となっています(下図)。

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有期雇用の割合が多いのはポスドク、任期付き教員等が多いことによるものです。また、その他が多いのは、博士課程を経た人たちはアカデミックポストを目指す場合もあり、それはポストの空き次第、という特徴からその他、とならざるを得ない、という面もあるそうです。

次に博士課程を修了して就職した人たちの職業・職種を見てみましょう(下図)。

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研究者が最も多く、4割となっています。以前は2割程度だったんですね。続いて技術者が3割程度でこの割合は大きな変化はありません。研究者が増えた代わりに減少しているのが、教員で、現在では2割以下になっています。


最後に、国際比較のデータを見てみましょう。
まず、人口100万人当たりの博士号取得者数の比較です(下図)。

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諸外国に比べて少ない
ことが分かります。中国より多い、のですが人口がとてつもなく多いので、実数で見ると驚きます(下図)。

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米国もすごいですが、中国もすごいですね。各国多少なりとも増やしている中で日本は減少傾向が続いている点が気になります。

→社会人から博士課程に進む人が増えているのは何故だろうか?



最後までお読みいただきありがとうございました。
何か頭の体操ネタはありましたでしょうか?

「ゴム」改めて見ると色々なところに使われていて、市場規模も7兆円と大きなものがある点で認識を新たにしました。

「博士」取得しても不安定な身分に置かれてしまう、ということであれば志願者が減るのは仕方ないかもしれませんが、これでいいのか、という疑問は残りました。


昨年7月からこうした投稿を続けております。
だいぶ溜まりました。以下のマガジンにまとめておりますのでよければご覧ください。



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