5月18日 「博物館」を地域の貴重な知的資源として活用してもらうマーケティングは?
はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。
1977年(昭和52年)に国際博物館会議(International Council of Museums:ICOM)の第11回大会で制定された「国際博物館の日」です。
翌1978年(昭和53年)から実施されています。英語表記は「International Museum Day:IMD」。
博物館。
実は、博物館、と聞いてイメージするより対象は幅広く、美術館・科学館、さらには、動物園・水族館・植物園なども含みます。
博物館法という法律があるのですが、そこで定められている定義は以下の通り(博物館法 第2条)
「保管」に注で、「育成を含む」という記述があるのが、動物園や水族館、植物園を含むからこその表記なのです。
博物館の定義がわかったところで(実は、細かくいえば、登録博物館、博物館相当施設、博物館類似施設という分類もあるのですがマニアックすぎるので省きます)、どれくらいあるか、を見てみましょう。
文化庁のHPによると、全国の博物館の数は平成30年10月現在で5,738館となっていて、過去の増加傾向が近年では落ち着いていることがわかります(下図)。
種別で見ると、歴史博物館が飛び抜けて多いことが分かります。これは、各自治体などが設置するケースが多いことが要因と思われます(下図)。
入館者数は平成29年で3億人にもなります(下図)。
先ほど5,738館(時期はちょっと違いますが)ありましたので、単純計算で1館あたり、約5万人になります。
5万人、すごい多い気がしますが、皆様も思いつく通り、大変な偏りがあります。
日本博物館協会などが行った令和元年度「日本の博物館総合調査研究」によると、調査に回答した博物館のうち、年間入場者数は「5千人未満」が最も多く、なんと25.7%を占めます(下表)。
「3万人未満」までで3分の2を占めます。
また、調査では実数を聞いているそうですが、その平均は14,464人だそうです。その一方で、「50万人以上」は2.8%(約60館)ほどあります。
やはり偏りが大きい、ですね。
最後に、収支の状況をご紹介します。
収入は平均で9,026万円。うち入館料によるものは1,938万円です(下表)。
入館料収入は館種によっても大きく差があり、動物園、水族館の入館料は1億円を超えている一方、郷土博物館は300万円程度となっています(下表)。
これも偏りが大きいようで、郷土博物館の入館料収入の中央値はなんと、8万5千円、となっています。ほぼ無料開放なのかもしれませんが…
一方の支出は平均で1億560万円で、年々減少していることがわかります。
特に管理費の減少が大きくなっています。
赤字とか黒字、といった概念は相応しくないのかもしれませんが、収入の平均が9,026万円で支出の平均が1億560万円ということは、単純計算で1,534万円の赤字、ということになります。
この感染症下で閉館を余儀なくされているところも多い状況を考えると、経営という観点では厳しい状況が続いているといえます。新設はほぼないようですが、今後は廃止なども増えていくかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
「博物館」
どうしても集客に工夫、という発想になりがちですが、それは役割の一部で、貴重な資料の保存、研究、地域住民の生涯学習に役立つという目的もある、という点でもっと活用する目線が必要だと感じました。
一昨年7月からこのような投稿をしています。だいぶ貯まってきました。以下のマガジンにまとめていますのでよろしければ覗いてみて下さい。