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#180 「ビジネス頭の体操」 今週のケーススタディ(1月11日〜1月15日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


1月11日(月) 塩、食用以外に○○や○○にも使われている!?

1569(永禄11)年、武田信玄と交戦中の上杉謙信が、武田方の領民が今川氏によって塩を絶たれていることを知り、この日、越後の塩を送ったとされている。この話が、「敵に塩を送る」という言葉のもととなったことにちなみ、「塩の日」とされています。

さて、塩。実は、食用に用いられるのは1割に過ぎないことをご存知でしたでしょうか?私は知らずに今回調べて驚きました。

公益財団法人塩事業センターによると、令和元年度(2019年度)の塩の需要量(消費量)は781万トン。
うちいわゆる塩(瓶や袋に入って売られているもの)は13万トン。
漬物や醤油、加工食品などに使われる食品工業用が69万トン。
合計で82万トンですから、全体の10.5%に過ぎません。
では、残りは何に使われているのか?

実は、かせいソーダ、ソーダ灰等の製造に使われるものが615万トンで78.7%を占めているのです。

では、かせいソーダ、ソーダ灰というのは、一体何に使われているのか?

かせいソーダは化学繊維、紙、パルプ、石鹸などに、
ソーダ灰はガラス、瓶、グラスウール、水処理助剤などに、
それぞれ幅広く使われています(以下出典:塩事業センター)。

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その他には、融氷雪用に51万トン(6.5%)、家畜用、医療用(生理食塩水等ですね)にも使われています。


そして、塩の自給率ですが、令和元年度(2019年度)で11.2%しかありません。残りは輸入されています。

どこから輸入されているか、というと以下の通りです。

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メキシコ?と思ったので調べると、ゲレロネグロ塩田という、東京23区とほぼ同じ5万haの塩田で作られてたものだそうです。

オーストラリア?と思ったので調べると、シャークベイで作られた天日塩だそうです。世界自然遺産に指定された美しい海洋で、ジュゴンやイルカが多数生息しているそうです。写真がこちら。なんかすごいです…

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最後に、家庭での塩の消費量の推移をご紹介します。
ご想像の通り健康志向の高まりとともに、塩の消費量は減少傾向にあります。

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→塩。以前は専売制でした。専売制、明治期に戦費の捻出などを目的に専売化されたが、なぜ他の消費財ではなく塩が専売制の対象となったのだろうか?


1月12日(火) スキー用品とテニス用品、どちらが出荷額大きい?

スポーツ用品メーカー・ミズノの直営店・エスポートミズノが1994(平成6)年に制定した「スキーの日」です。
1911(明治44)年のこの日、オーストリアのレルヒ少佐が新潟県の高田陸軍歩兵聯隊の青年将校にスキーの指導を行い、日本人が初めてスキーを行ったことに由来。

さて、スキー。バブルの頃には「私をスキーに連れてって」とか、ユーミンの苗場のコンサートとか色々と話題が豊富(古くてすいません)でしたが、最近ではどうなのでしょうか?

国内スキー人口は1992年をピークに徐々に減少していることが分かります。スノーボードを合わせても同様です。

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一方、近年では日本の良質な雪が評価され、日本のスキー場の知名度が向上しています。そういえば、報道などでもニセコでは地価が上昇していることが話題になっていましたね。

インバウンドのスキー人口のデータがありましたので、ご紹介します。2014年度に39.9万人だったものが、2018年度には94.8万人に2倍以上に増えていることが分かります。

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(ここまでの出典:「スノーリゾートを取り巻く状況」)

では、市場規模はどれくらいなのでしょうか?
矢野経済研究所によると、2020年のスキー・スノーボードのスポーツ用品国内出荷市場規模は、386億円と予想されています。2015年には497億円でしたので、5年で2割も減少しています。

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ちなみに、ゴルフ用品は2,665億円、野球用品が689億円、サッカー用品が558億円、テニス用品が474億円となっています。

参考までに同研究所のプレスリリースを掲載しておきます。

→感染症によって、スポーツの位置付けはどうなるだろうか?それに伴って生まれるビジネスチャンスはなにかないだろうか?


1月13日(水) たばこ税は○○%!?

1946年のこの日、高級たばこ「ピース」が発売されたことを記念した「ピースの日」です。
当時、10本入りで7円で、日曜・祝日に1人1箱だけに限られていました。

タバコ。私はこれまで吸った経験がないのであまり知らない世界(?)なのですが、この機会に調べてみました。

まず、市場規模ですが、一般社団法人日本たばこ協会によると、令和元年(2019年)度で販売数量1,181億本、販売金額で2兆8,063億円。平成25年(2013年)度には4兆円を超えていましたので僅か6年で1兆円、約3割もの減少です。本数ベースでも1,969億本から4割近くの減少です。

一方で伸びている市場として加熱式たばこがあります。
データの公表は2020年度からで、2020年4月から9月の半年間では212億本、5,319億円と同じ期間の紙巻きたばこの548億本、1兆3,182億円の約4割の規模になっています。

市場全体では減少傾向の中で、加熱式たばこのシェアが高まるというのが全体の傾向です。


タバコといえば、もう一つ、税金についてもみてみました。
JTのホームページがわかりやすいので引用します。

一箱540円商品の場合で、なんと、333.97円(61.8%)が税金(消費税含む)です。驚きです。

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たばこ税の総額は年間で2兆円を超える規模で2019年度の国税収等のうち約1.6%を占めているそうです。

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JTのHPでは、他の物品との比較もあります。たばこ税がいかに高いか分かります。

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→たばこ、これだけ消費量が減少しているがJTの売上はそこまで低下していないように見えるのはなぜだろうか?


1月14日(木) 日本の週休2日制の生みの親はあの経営者。

1989年のこの日、国の行政機関の第2・第4土曜日閉庁を開始しました。

今では当たり前になっている週休2日。部分的にでも始まったのは1989年と意外と最近なんですね。
ちなみに、公務員の完全週休2日制は1992年5月からです。
また、金融機関では1989年2月4日から完全週休2日制になっています。

これは、海外から働き過ぎなどの批判もあってのことだそうです(バブル期にはそんなことまで批判されたんですね)。

もともと日本では江戸時代までは、基本的に盆・暮れ・正月とお祭りの日くらいしかお休みがなかったそうです。
明治になってヨーロッパ諸国を真似て役所が日曜休みになったことで週休1日制が普及しました。

労働基準法が1947年に制定された際にも第35条に「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定めています。

その後、先ほど述べたように、金融機関や公務員が週休2日に移行しましたが、それよりかなり前に週休2日制を導入した企業があります。

それは松下電器、今のパナソニックです。
松下電器が週休2日制を導入したのは1965年、今から50年以上も前、役所や金融機関の20年以上前です。

これは、松下幸之助さんがアメリカを視察した際、多くの企業が週休2日制でかつ日本よりも高額の給料を支払いながら収益を上げていることに感心し、

海外企業との競争に勝つには能率を飛躍的に向上させなくてはいけない。そのためには休日を週2日にし、十分な休養で心身の疲労を回復する一方、文化生活を楽しむことが必要だ

として週2日制を導入しました。

その際、ただ2日休むわけではない。1日はしっかりと休むが、残りの1日は自分を高める時間にあてる「1日休養、1日教養」との指針を示しました。

面白いのは、労働組合の反応で、「そんなうまい話はない」と反発したそうです。

ちなみに、アメリカで最初に週休2日制を導入した企業はフォードです。
なんと1926年からだそうです(さらに40年ほど前ですね)。
フォードは、1914年に1日9時間の労働に対して2.34ドルだった最低日給を8時間で5ドルにしました。これにより、熟練工をはじめとした従業員の満足度が上がり、定着率が高まったため教育コストの低下、生産性の向上という大きな効果を生みました。
フォードは、労働者がお金を稼ぎ、余暇の時間を持つことが消費を喚起し、経済の発展につながると考えていたことからこのような手を打ちました。実際、自動車は大衆に普及することにつながりました。

→ 「1日休養、1日教養」は今でも通用する考え方ではないか。自分はどの様に週末過ごしているだろうか?


1月15日(金) 初めは付随サービスだったウィキペディア。

2001年のこの日、ウィキペディアが公開を始めた日に由来する「ウィキペディアの日」です。

いろいろとお世話になることが多いウィキペディア。できてから19年なんですね。

ウィキペディア。あまり由来とか考えたことなかったですが、以下のような経緯でできたインターネット百科事典プロジェクトだそうです。

2000年3月ウィキペティアの前身となるヌーペディア(Nupedia)がスタート。百科事典を意味する「エンサイクロペディア(Encyclopedia)」とフリーソフトウェアプロジェクトの「グヌー(GNU)」という2つの単語に由来するもので、ウェブ上の百科事典プロジェクトです。

ウィキペディアと異なり、専門家によって執筆された百科事典記事を提供する仕組みで、ウェブ広告企業ボミスが資金提供を行なっていました。

ところが仕組み上記事がなかなか増えなかったこともあり(最初の年に完成した記事は12本)、2001年1月にウィキペディア(wikipedia)がヌーペディアの付随プロジェクトとしてスタートします。

なお、Wikiとは不特定多数のユーザーが共同してWebブラウザから直接コンテンツを編集するWebサイトのことです。

これにより査読前の段階から記事の共同編集が可能となり、ヌーペディアの発展を促すと期待されていました。

一方で、この動きをヌーペディアの編集者・査読者は拒否感を示したこともあり、独立したプロジェクトとして出発することになり、それがウィキペディアのスタートとなりました。

その後、記事は1ヶ月で1千本、9ヶ月後には1万本を突破、1年で2万本を超え、その後も順調に増えていくことになります。

また、多言語化も急速に進み、誕生から2ヶ月後にはドイツ語版、半年後には日本語も含む10以上の言語のウィキペディアのサイトが立ち上がります。

資金面では、2002年3月にITバブル崩壊により、ボミスが資金提供を停止、2003年にウィキメディア財団が設立され、この時にウィキペディアのロゴとしてジグソーパズルのピースを組み上げた球体が採用されました。

以降も発展し続け、2005年には英語版の記事は75万本突破する一方、ウィキペディア記事が荒らされ、ある人物について誤った経歴が数ヶ月間掲載されていたことが発覚、大きなスキャンダルになるなどもありました。

その後も発展し続け今に至ることになります。

→日本ではウィキペディアの編集に参加する利用者のうち、登録せずに行う割合が他国に比べて高い(他国は2割前後だが、日本は4割を超えている)。これにはどのような理由が考えられるだろうか?


最後までお読み頂きありがとうございました。

1つでも頭の体操になるネタがあれば嬉しいです。

昨年7月から毎週日曜日にこんな投稿をしています。
だいぶ溜まってきました。
よろしければ過去分も覗いてみてください。
「へぇ〜」がいろいろあると思います。


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