見出し画像

#228 「減る新卒人口 改革迫る」日経記事を読んで

本日の日経新聞朝刊2面に「減る新卒人口 改革迫る」という記事がありました。
記事にはなかった新卒人口が減る、の反対側についてもデータも合わせて思ったことをメモ。


1、どんな記事?

来年4月に卒業する大学生に対する採用活動が3月の説明会解禁で本格化するタイミングを捉えた記事で、一言で言えば、景気は不透明でも争奪戦となっていて、その背景として、今後、若者の人口減少のペースが速まり新卒者が貴重になることを挙げている、という内容です。

具体的に上がっていた企業は、以下の3社。

☑️ アイリスオーヤマ 20年度の204人、21年度275人、22年度330人(予定)
☑️ 第一交通産業(タクシー) 21年2月から22年3月までに300人(高卒含む)
☑️ 日本ペイントホールディング 21年250人(20年比3倍)(中途採用含む)

また、「なくなる地の利」と題して、採用活動のオンライン化の普及で地理的な距離を取り払い、「地方の企業でも学生が関心を持てば応募が相次ぐようになった」と言う静岡県の就職支援団体の理事長の話が紹介されています。

以下記事のまとめです。

☑️ 若者人口の減少と就職市場のオンライン化という構造変化を受け、企業は採用活動のやり方の見直しを迫られそうだ。

☑️ 大勢の学生に一斉に内定を出し、入社後に人事部が各部署に分配する「新卒一括」方式も続けるのは難しくなりそうだ。

☑️ 新卒者を年功賃金で長期的に企業内に抱え、年々、熟練度を上げてもらう、という日本型雇用もその前提となる新卒一括採用が難しくなることで変革のピッチが速められそうだ。


2、具体的にどれくらい減るの?

記事の該当部分を以下引用します。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、10年代以降おおむね120万人台で推移してきた22歳人口は、24年118万人、25年115万人、26年113万人と減少を減少を続ける。27年には110万人を割り込む。

推計を用いなくとも、現時点の年齢別人口で傾向を掴むには十分です。

総務省が昨年4月に公表した、2019年10月1日時点の人口推計によると、22歳人口は128万人です(以下の人口ピラミッドは同推計より)。

画像1

5年後の22歳人口は、現在の17歳人口とほぼ同じと考えられます。
以下に、今後20年間の22歳人口を推計するため、現在の年齢別人口を紹介します。
なお、カッコ内は22歳人口との比較になります。

☑️ 22歳人口:128万人
☑️ 17歳人口:115万人(10.2%減)
☑️ 12歳人口:107万人(16.4%減)
☑️ 7歳人口:101万人(21.1%減)
☑️ 2歳人口:96万人(25.0%減)

このように、減少は止まりません。

一方で、記事にはなかったのですが、会社という「箱の中」にいる人数、と考えると、出ていく人、も見てみる必要があるでしょう。

同じ考え方で、60歳から年齢別人口をご紹介します。

☑️ 60歳人口:152万人
☑️ 55歳人口:161万人(5.9%増)
☑️ 50歳人口:184万人(24.3%増)
☑️ 45歳人口:199万人(30.9%増)
☑️ 40歳人口:161万人(5.9%増)

パッと見て多いこともそうですが、人数差が年々拡大していくことが気になります。

出と入りの差分、ちょっと計算してみましょう。

☑️ 2019年:152万人−128万人=24万人
☑️ 5年後:161万人−115万人=46万人
☑️ 10年後:184万人−107万人=77万人
☑️ 15年後:199万人−101万人=98万人
☑️ 20年後:161万人−96万人=65万人

もちろん、全員が会社という「箱の中」にいるわけではないので、実態は異なりますが、傾向としてはこのようになる、ということです。


3、まとめ

いかがでしたでしょうか?

一義的には、日本的経営の特徴の一つであった、年功序列、終身雇用の前提となっていた新卒一括採用が少子化で厳しくなる、という記事でした。

ただ、もう少し大きな流れでみると、より少ない人数で同じかそれ以上のアウトプットをしなければならない、つまり、生産性の向上が待ったなし、であることが分かります。

その文脈で、人事制度だけでなく、仕事の進め方そのものの変革が求められているのが今、なのでしょう。

DXだとかジョブ型だとかが話題になっていますが、今の仕事の進め方のままそれらを導入しても、生産性は変わりません。

なぜなら、イマイチな仕事の進め方をDXで効率化しても、もっと速くイマイチになるだけ、だからです。


…というマクロの話はそれとして、私たちひとりひとりはこの状況をどう考え、5年先、10年先、そして、今、どうあるべきでしょう?

もちろん、今、どの年齢にいるのか、ということでだいぶ異なると思いますが…


「減る新卒人口 改革迫る」の記事を読んで考えたこと、でした。


最後までお読みいただきありがとうございました。

なにかご参考になるところがあれば嬉しいです。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?