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#274「ビジネス頭の体操」 今週後半のケーススタディ(4月15日〜4月16日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


4月15日(木) 遺言を書いている人は○%!?

近畿弁護士会連合会が制定。2007年からは日本弁護士連合会(日弁連)が主催するようになった、「遺言の日」です。
四(よい)一(い)五(ご)で「よいいごん」(よい遺言)の語呂合せ。

遺言。
お金持ちが書くイメージがあります。

私は以前、仕事で遺言書の作成や、相続手続きに携わったことがあるのですが、実は相続人が妻と子が1人だけというケースでも、子が未成年ですと相続手続きは結構面倒です。
通常、未成年の代理人は親権者である親ができますが、相続手続きにおいては、親はいわば利益相反の立場にあたるので代理人になれないのです。となると、別途代理人を立てる手続きなどが発生するのです。
とはいえ、じゃあ遺言書こうか、というほど身近ではないですよね。

日本財団が今年の1月5日に公表した遺言に関する調査によると(日本財団は1月5日を「遺言の日」にしているそうです…)

☑️ 既に公正証書遺言を作成している : 1.3%
☑️ 既に自筆証書遺言を作成している : 2.1%

ということで、遺言書を作成済みの人は全体のわずか3.4%です。近いうちに作成しようと思っている人は13.9%いますが、それを合わせても2割にもなりません

逆に「今後も作成しない」が42.7%、「しばらく作成するつもりはない」が35.4%と、8割近くは作成する考えもないことが分かります(下図)。

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やはり多くの方に縁のなさそうな遺言ですが、作成した人に良かったと思うことを聞いた結果が以下の通りです。

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最も多いのが「気持ちの整理になった」(44.8%)
また、「自分の財産の使い道を自分の意思で決められた」(32.8%)が2番目に多くなっています。

特に2番目は、お子様がいないなどの理由で残す相手がいない方が、どんな団体に寄付したいか、というのを遺言で指定することができるニーズもあります。

ちょっと脱線しますと、実は遺言がなく相続が発生して兄弟間で揉めたりすると、「親からもらった」という感じより「兄弟との争いから自分が勝ち取った」という感じになってしまう、というケースが実際あります。あれは切ないです…

さらに脱線すると、相続で揉めるのは残された財産が多くなくとも、というか、少ないほど揉めます。ですから、遺言は資産家のもの、という認識は改めた方がいい、と経験から思います。

なんか、頭の体操ではなく、私の経験談になってしまいました。すいません…

気を取り直して最後に、公正証書遺言の推移データをご紹介します(下図:出典 日本公証人連合会)。

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令和元年で約11.3万件の公正証書遺言があることが分かります。

参考までに日本の65歳以上人口3,617万人(2020年9月推計)を分母とすると11.3万件は3.1%となります。若い人もで書く方はいるのであくまで参考値ですが、先程の日本財団の調査とも近いイメージですね。

→遺言書。今、書くとしたら、どのようなものになるだろうか?


4月16日(金) 東京マラソンの経済効果は○○○億円!?

1978年のこの日、東京・多摩湖畔で日本初の女子フルマラソンの大会「第1回女子タートルマラソン全国大会」が開かれた「女子マラソンの日」です。

女子マラソン
最近、周りでもジョギングを始めた、マラソン大会に出た、という人が増えました。女子に限定せず、マラソンについて調べてみました。

まず、どれくらいの競技人口があるのでしょうか?
笹川スポーツ財団の「ジョギング・ランニング実施率の推移」によると、2018年のジョギング・ランニング実施率(年1回以上)は9.3%となっています(下図)。

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推移を見ても、上下はあるものの、上昇トレンドであることが分かります。
また、男性の実施率が12.9%、女性が5.8%と、男女で倍以上違いがあることも分かります。

また、年代別で見ると、20〜30歳代の実施率が15.2%と最も高くなっています(下図)。

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興味深いのは、習慣的に行なっているであろう、週1回以上のデータで、全体では30歳代が8.3%と20歳代の7.3%を上回っていることです。

さらに細かく見ると、男性30歳代が唯一、10%を超えて11.8%と最も多く、次に多いのが、9.9%で50歳代なのです。
(グラフではなく細かい表となっていますので、ご興味がある方はこちらでご確認ください)


次に、市場規模です。
矢野経済研究所のスポーツ用品に関する調査(2020年)によると、用途はランニングに限らないとは思いますが「スポーツシューズ」は最も市場規模が大きく、2020年予想で3,350億円とされています。しかも2015年から毎年成長していることがわかります(下図)。

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また、同研究所のスポーツアパレル市場に関する調査(2020年)によると、「陸上競技・ランニングウェア」は2020年見込みで113億円となっています。こちらは2018年から毎年縮小しています(下図)。

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最後に、日本体育大学による「マラソン大会が地域に及ぼす経済効果」という論文がありましたのでご紹介します。

簡単に言うと全国紙(読売新聞と朝日新聞)で「マラソン&経済効果」でキーワード検索してヒットした185件の記事を整理、分析したものです。

まず、新聞記事の年代別推移です(下図)。
2010年から急激に増えていることがわかります。

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なお、なぜか東京マラソンがヒットしていないようなのですが、東京マラソンの第1回は2007年ですから、その辺りから都市マラソンが盛んになり、2011年に大阪マラソンと神戸マラソンが、2012年に京都マラソン、熊本城マラソンが、スタートし、それに伴って記事も増えていることが分かります。

さて、経済効果ですが、最も大きかったのが2011年の大阪マラソンで、133億円でした。検索にヒットしなかった東京マラソンは2017年で165億円とされていますので、やはり大都市であれば経済効果も大きい(参加人数のデータがないのでそちらの要因の方が大きいかもしれませんが)と思われます。

3年以上記事になった4つのマラソン大会の経済効果の推移がグラフとなっていましたのでそちらもご紹介します。

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ご覧のように継続すると経済効果も大きくなっており、知名度が上がれば、大会に合わせたイベントや集客を打つなどする結果、経済効果も大きくなることが推測されます。

継続は力なり、ですね。

→マラソン大会によっては参加するのにも高い競争率で抽選で参加できないという話も聞く。参加権が得られるという高額な寄付も人気と聞く。一体なぜこれだけの人気を得ているのだろうか?マーケティングの観点から何か分析できることはあるだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

遺言は個人的な経験で思い入れが出たものになってしまい失礼しました。これを機会に考えて頂ければ。
マラソン。私もジョギングから始めますかね。ところで大会の経済効果○○億円ってどうやって算出しているのでしょうね?それも気になります。

昨年7月から続けております。溜まってきました。
以下のマガジンにまとめてありますのでよろしければ。


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