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わたしはパズルのピース ㉙

「あっ、いたいた。ピース爺さーーーん!」
その時また、別のピースがピース爺さんを呼びながら
私の横を通り過ぎようとしました。

「す、すみません。
あのお爺さんはピース爺さんなんですか?」
「そうよ。ピース爺さんの相談の方?」

「あっ、いえ。そうではないんですが、
ピース爺さんは相談のお仕事をされてるんですか?」
「あなた、ピース爺さんのこと知らないの?
「え、ええ。
先ほどちょっとしたことで
知り合いになっただけなんで…」
「あら、そういうことだったのね。
ピース爺さんはいろんな経験をされていてね、
そりゃもう素晴らしいお方で
たくさんのピースたちから慕われてるの。
そんなピース爺さんに相談すると
みんな笑顔になって帰っていくって口コミで広がって
今では相談者が後を絶たなくてね。。
でもこれはお仕事ではなくボランティアで
相談にのってるの。
朝から晩まで。すごいでしょ!」

「す、すごいです。
もし相談にのってもらいたかったら
かなり待たないといけないですよね」
「今は相談の予約は受け付けてないの。
相談者が殺到してて半年先まで
予約が埋まっちゃったから」
「そんなにすごい方なんですね」
「すごいってもんじゃないわよ。
アイドル並みの人気者なのよ」

「わたし、、、
そんなにすごい方だなんて全然知らなくて
ビックリです。
たまたま知り合ってお話をさせてもらっただけで」
「あなた、すごくラッキーだったわよ。
いいお話きかせてもらえたでしょ?」
「ええ、とっても。一言では言い表せないほどの
素晴らしい時間を過ごさせてもらえました」

「あっ、自己紹介してなかったわよね。
私、ピースカっていうんだけど、
私もあなたと同じように
ピース爺さんに偶然出会ったの。
その時にピース爺さんの話に魅了されて
それからずっとピース爺さんのそばで
お手伝いをさせてもらいながら
勉強させてもらってるの」
「そうだったんですね。
わたしはピースって呼んでください。
ピースカさんもピース爺さんに
盗み聞きされたんですか?」
「えーーーーーー?あはは!なにそれ?」
「あなたはピース爺さんに盗み聞きされたの?」
「まぁ出会いはそういうことになるんですが…」
「うふふ。面白いわね、
ピース爺さんったら盗み聞きだなんて。
私とピース爺さんとの出会いはね、
1年程前かなぁ。実は大失恋した時でね、、、
もう何もかもに嫌気がさして
抜け殻のようになっていた時なの」
「えっ。。。そんな話わたしが聞いても
いいんですか?」
「もう今は大丈夫だから話せるの。
ピース爺さんつながりのご縁だから特別よ!」
「はい、ありがとうございます」
「ピース爺さんに出会ったのはね、
久しぶりに外に出た日だったわ。
なぜだかその日は行ったこともない小さな公園でね
ボーっとベンチに座ってたの。
そしたら自然と涙が溢れてきてね、、、
それなのに私・・・
涙を拭こうともせずただ流れるままでいたの。
そしたら声をかけてきたのがピース爺さんだったの」
「ピース爺さんも泣いてるピースカさんを見て
声をかけずにはいられなかったんでしょうね…」
「そう思うでしょ?普通は。
ところがね。。。。。」

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