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追いかけてさくらんぼ

※こちらはWEBマガジン「She is」公募エッセイ用に書いたものです。

可愛くて小さなものを愛す。これは、幼少期からずっと変わらない根幹のようなものの一つだ。その嗜好には、自分の姿形が少なからず関係している。

私は小柄で、人も物も大抵自分より大きく、意識するしないに関わらず常に圧倒され続けてきた。どうしても余ってしまうボトムの裾や大振りのネックレスも、「お前は小さい」と無言で主張してくる。

そんなミニサイズの弱い己を肯定するために、自分の目が行き届き、手のひらにおさまるような小さいものを大事にしてきた節がある。もちろん、理屈抜きにいい!と思っている側面もあるだろうけれど。

そんなものたちの中で、私が偏愛しているのはさくらんぼだ。

辺りをぶらぶらしては関連する商品を探し、チェリー味の物を見つけたらできるだけ食すことにしている。そして厳選したものだけを、専用のInstagramにそっとアップする。昨年の6月から不定期に、密かに行っている楽しみだ。

https://www.instagram.com/cherry_urara/

なぜさくらんぼを選んだかと言えば、端的に言うとフォルムが可愛く、しかも美味しいからである。
幼稚園の頃につけていたヘアピンが既にチェリー柄で、その頃から好きだったことが伺える。ちなみにこのヘアピンは今でも残っていて、時々取り出して眺めることもある。

この「好き」を加速させたのがSNSだ。ある日、海外のブログで可愛い雑貨を日替わりで紹介しているとびきり素敵なサイトを見つけた。「ああ、こんな風に好きなものを推せたらなあ」と夢想して、自分だったら何を取り上げるかなと考えているうちに、ふと「さくらんぼがいいかも」と閃いた。

そこで、まず365日さくらんぼコレクション作りにチャレンジした。そして様々なトライアンドエラーを重ねそれを完成させた後、Instagramに移行し、今に至る。ささやかな世界の創造は、思ったよりも多くの幸せを与えてくれたし、仲間がいることも教えてくれた。

さくらんぼの魅力は、可愛く美味しい以外にもたくさんある。まず、旬が短いこと。果実が出回るのは6月~7月上旬くらいで、あっという間に終わってしまう。そのレア感、祭り感が心をくすぐるのだ。扱うお店もあまり多くないので、懐や胃にそこまで負担がかからないのもいい。

また、デザインが多様で、いろいろな面を持っているのもポイント。ファンシーだし、チェリーボーイ的な使われ方もあるし、ハイブランドでも引っ張りだこだ。

飲み物の上にちょこんと乗る姿も、2連や3連のさくらんぼも愛らしい。これは他のものにはない魅力なんじゃないかと勝手に思っている。

本気で好きなものを探そうとすると、その姿がどんどん目に飛び込んでくるようになる。まるで恋のようだ。思いもかけない場所で出会うとテンションが上がってしまう。

こんなに個人的な愛を語ってしまって逃げ出されないか心配だけど、嬉しい。
たぶん生きてる限りずっと追い続けていくと思うから待ってて、さくらんぼ。




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