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「理想」の社会、選手村

こんばんは、くつばこのりこです。

太くまっすぐな道路の左右には、遠くまで万国旗がはためき、
道路をゆっくりと走る自動運転の車は、急ぐそぶりも見せず、
通り過ぎるすべての人は、笑顔と各々の国の「こんにちは」、
働いていると、どこかで覚えた片言の「オツカレサマッス」が聞こえる
パラリンピックの選手村は、かなり「理想」に近く見えました。

パラリンピックの選手村、
多くの選手は何らかの「障害」があります。
それはそのまま、選手の多様を表します。

移動方法。
様々な大きさの電動車いす、手動(?)車いす、高さの上下する電動車いす、爆速で走る車いす。生活用車いす、競技用車いす。スケートボード、スクーター、セグウェイのようなもの、動くベッドのようなもの。
義足も、肌色、黒、カラフル。競技用、生活用。両足、片足。ひざ下、腿から。義手の人もたくさん。

コミュニケーション。
日本語、英語、その国の言葉。ジェスチャー、手話。
印象的だったのは、日程が後になればなるほど、普通に母国語で話しかけてくる選手が増えてきて、しかもなぜか何を言っているかわかるようになってくること。(日本語で返して、それもなぜか伝わる。)

テンション。
陽気な国、静かな国、いろいろな国に話しかけている人、そっとほほえんで周りを見ている人、不機嫌な人、日に日に顔がほころんでいくおじさん。

いろいろな人がいることで、もっといろいろな人の居心地がよくなります。
一切ない性役割、自由な勤務時間、十分な休憩。

もちろん、自動運転バスとの衝突事故や、遠回りすることになるスロープなど、足りないところもたくさんありました。そのような日常の社会では埋もれてしまうような沢山の問題が問題となる場所は、そうそうありません。

パラリンピックの選手村は、「障害者」が少ない社会に近かったと思います。日常の社会では「障害」を感じる人も、選手村は、「障害」を感じずに生活ができたのではないかと思うからです。

心が動く場面がたくさんあった選手村は、毎晩ゲートを出るたびに一人でふっと顔がほころぶ、そんな場所でした。

期間中、選手村にいた人たちが見た「障害が少ない村」が
これから広がることを、願います。


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