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続・アイドルオタクではありません

私のでんぱ熱は長くは続きませんでした。
ねむもが二本柱の脱退も要因としてあるのでしょうが、結局のところアイドルバブルが弾けて、魔法が解けたのだと思います。魔法を解いたのは、乃木坂の次に登場したあのグループでした。

欅坂46は種々批判やガチ勢に対するAKB勢の一発回答でした。
「世界観」をコンセプトに「平手一択」で「クオリティ勝負」を仕掛ける。そしてガチ勢が内包せざるをえなかった「苦しさ」さえエンターテイメントに変えてしまった。果ては「内部崩壊」「過呼吸」さえも。
そして平手の脱落による欅坂の崩壊とともに、アイドルバブルはもろとも弾けてしまったのでした。
カウンターカルチャーに対する王道側の自爆テロ。その破壊力は凄まじく、ももクロやでんぱ組.incはおろか、安泰と思われたPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅまで吹き飛ばしてしまった。焼け野原だけを残して。

そして日向坂46の時代に移ります。
日向坂の特徴を一言で言うなら、「一周まわってやっぱりバニラアイスが一番だよ的懐古趣味」ですね。そしてAKB勢の原点回帰を促したのは、長濱ねるの存在が大きい。
みなさんご存知、長濱ねるの加入をめぐる茶番(最終オーディションを前に反対する親が連れ戻して云々)は運営側のブックなのではないかと思います。
長濱ねるはどこか80年代の王道アイドルを彷彿とさせます。欅坂46は、ももクロを筆頭とする時代の徒花的アイドルたちに相対して、敵の手法をあえて丸呑みして一網打尽に迎え撃つ、そんなプロジェクトですから、王道的な魅力を持つ長濱ねるはどうしても置けないんですね。
入れてしまえば平手と人気を二分してしまって、コンセプトがぼやけてしまう。かといって逃してしまうにはあまりに惜しいと。そんな運営側が考えだしたのが補欠合格の一人ユニットというウルトラCではなかったか。

結局、長濱ねるは自らが先導した日向坂にも入れないという、突出しているがゆえの悲劇を生むわけですが、欅坂46の自爆テロの末、日向坂一強の時代を迎えるのに決定的な役割を果たしました。

魔法を解かれてしまった数多のグループの一つである我らがでんぱ組.incは、オリジナルメンバー(厳密には絶頂期メンバー)の脱退・結婚・出産・育休を重ね、「虹のコンキスタドール」とのM&Aを繰り返し、年齢非公表のオリジナルメンバーと年齢公表の移籍組が混在するという致命的欠陥を抱えながら、細々と生き永らえています。
でんぱ組.incという稀代のトリック・スターを思うとき、二つの相反した思いが去来します。彼女たちが起こしたあの奇跡は二度と忘れない。しかし同時にあの熱狂は過ぎ去ったものであり二度とは戻らないと。
最後に、小沢健二のあの名曲を引用して、終わりにしたいと思います。

左へカーブを曲がると、光る海が見えてくる。僕は思う。この瞬間は続くと。 いつまでも。
(本当は分かってる。二度と戻らない美しい日にいると。そして静かに心は離れてゆくと。)

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