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楠浦と「発明塾」の過去発明紹介(3) ~ 「小松製作所(Komatsu)」時代

川崎重工での

オートバイの新機種開発(エンジン開発)

の次は、小松製作所で

「風力発電に関する新規事業開発」

を担当しています。経歴の、以下の部分です。

2002年から株式会社小松製作所にて、風力発電関連新規事業開発に従事、開発・設計・生産技術・営業を担当

当時、転職市場(人材紹介)などは存在せず、転職は

「負け組」

という雰囲気でした(笑

私の場合は、大学時代の先輩のお声掛けで・・・

新規事業をゼロから立ち上げられるなら!

ということで、転職しました。

どこもそうですが、大手企業の新規事業立ち上げは、当時、人が集まらない取り組みでした。

リスク(失敗したら冷や飯)有るけど、リターン(給料Upとか)はない(笑

のですから、誰もやらないに決まってますよね、、、。

そこに、

「アホ」

が一人飛び込んだ、というお話です(笑

思い出話はこれぐらいにして、発明の話に行きましょうね。
(年寄りは、話が長い! 笑)

風力発電の、何やってたんですか

という質問が来たことはありませんが(笑)、それに答えるとすると、以下の特許を紹介することになります。


実は過去、以下Blogでも少しだけ紹介してます。

「(その1)」はありますが、「(その2)」はありません(爆笑

そんなもんです。ややこしすぎて、誰も理解できなかったからです。

ですので、ここでは、簡単に書きます。

風力発電機(要するに風車)ってのは、以下のような構造になってます。

画像1

5 は羽(プロペラみたいなもの)で、その回転が 7 の発電機(回すと電機が生まれる)に伝わって、発電します。こういう機構が収まっている部分 3 を

「ナセル」(つりかご、という意味の英語)

と呼びます。

その下、2(タワー:塔)との間に、 P ってなってる部分がありますね。

これ、風車にとってとても大事な構造です。

風車は

正面から風が当たらないと、羽がうまく回らない

ですよね。これ、おもちゃの風車(かざぐるま)で遊んだ時のこと思い出してください。実際には、斜めでも回るんですが、正面が

効率

がよいです。発電ですから、効率大事ですよね。

ということで、

効率よく発電できるよう、風に向かって、羽が正面になるように、風車は常に向きを変えている!

のです(ドヤー

知ってました?(知ってますよね)

この仕組み、

「パワーショベル」

と同じ仕組みです(ドヤー 笑

以下、小松製作所(以下、コマツ)の特許からの抜粋です。

画像2

パワーショベルって、下の部分は動かなくても、上の部分(シャベルの部分)は向きを変えますよね?

この仕組みが、ざっくりいうと風車と同じです。

この、回転させる部分の機構モジュール一式を風車向けに新規開発して販売するという事業を、コマツは新規事業としてやり始めました。

ざっくりいうと同じですが、中身やスペックは別物です。

建設機械と風車では、使われ方が全然違うからです。
(この話、後で書きます)

で、私が設計したのが、以下です。

画像3

これがどういうものかということは、、、ややこしいのでやめておきますが(笑)、風車の

「ナセル」

と呼ばれる、羽がついている部分を、風向きに合わせて回転させる機構だ、と理解ください。たぶんこの説明だけで、あと数時間かかります(笑

発明の本質は、そこではありませんしー(工エエェェ(´д`)ェェエエ工

請求項を見ましょう。

請求項4が、最もわかりやすいです。

「タワー(2)上部に、ナセル(3)と、該ナセル(3)を略水平面内で旋回自在に減速機(50)を介して駆動する駆動装置(31)とを備えた風力発電設備のナセル旋回駆動装置の運転方法において、
風力発電設備周囲の風速を計測し、
風力発電を停止しているときに、前記計測した風速が所定値を超えたら、前記駆動装置(31)と前記減速機(50)との間に、または前記減速機(50)内に配設したクラッチ(40A)をオフすると共に、該クラッチ(40A)よりも前記減速機(50)側に配設したブレーキ(40B)をオフして、ナセル(3)を旋回フリーとする
ことを特徴とする風力発電設備のナセル旋回駆動装置の運転方法。」

要するに、

風が吹きすぎたら、風に流されてください

という機構です(オイ―

例えば、

「台風」

が来ます。この時、風車は

「運転を停止」

します。

「風吹いてるから、稼ぎ時じゃね?」

と思ったあなた、半分正しいですが、半分間違ってます。

強風過ぎると、風車が壊れる

からです。なので、

「風を逃がす」
「風から逃げる」

必要があります。真正面から

「風に向かっていく」

場合ではないのです。なので、ナセルが自由に回転できるようにして、強風をやり過ごします。
(あくまで、イメージです)

こういう制御ができる機構についての特許出願、が上記だったということです。
(わかりましたかね、、、)

もはやだれも興味ないと思うので(笑)これ以上詳しく書きませんが、実際には、

「完全に自由に回転」

されても困るので、ブレーキを

「滑らせながら」

制御できるようにするという、非常に面倒な開発を行いました。

何が面倒か。

ブレーキは、止めるもの

です。滑っているのは、一時的です。そういうことを前提に作られています。それを

ずーっと滑らせ続けると、どうなるか」

おわかりですねー

焼き付き

ます。で、結果として止まりますが、使えなくなります。

風車は、20年ぐらい使うことを前提に設計します。
(部品屋からすると、20年は、ほぼ永久と言ってもいいでしょう)

「焼き付かないように滑らせる」

技術は、ブレーキにはありません。

頭の固い(よい)部長さんが、

「これ以上やらんでええ」

とおっしゃったので、終わりにしましたが・・・。

今なら

「磁気」
「流体」

など、いろんな方法が使えるな―と。

発明塾のおかげです。


楠浦 拝


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