【洋服屋の自分史⑦】たかが洋服であっても、その人にとってはかけがえのないものがある。リネンパンツツ編

今回は、今年でちょうど11年目の夏を迎えたパンツの話。現物これ⬇⬇

アイリッシュリネンヘリンボーンパンツ

洋服屋の悪いクセでいつものように色違いで購入してしまいました。でもとても良かったです。

このパンツに使用されているアイリッシュリネンとは、アイルランド地方のフラックスという亜麻科の植物を使い潤紡という細番手の糸を紡いで織ってつくられた素材のことです。繊維がとても細いため独特な滑らかさがあり、多種多様な麻素材の中でも王様と言えるものです。

麻といえば「チクチク、ザラザラした手触り」「シワになる」というイメージがありますが、それは亜麻以外の麻のこと。麻袋や麻縄の素材はヘンプ(大麻)やラミー(苧麻)が使われていて、亜麻とはまったくの別物。最高級といわれる亜麻系のアイリッシュリネンは天然繊維の中で、最もしなやかで肌に優しい質感を持っています。

実際にこのパンツの肌触りは秀逸。ふんわり柔らかでとても気持ちがいいです。大げさですが、着ていると自然と幸せな気持ちになります。

購入したのは、福岡の天神にあったブルックスブラザーズの路面店。ストレートのややゆったり目のシルエットです。細かいヘリンボーン柄が味わい深く発色も独特。古き良き英国を思わせるようなトラディショナルな佇まいがたまりません。

裾は5㎝巾のダブルに仕上げています。ニットポロやプリントシャツを組み合わせた上で、足元はスエードのロファーと相性がいいでしょうか。九州の田舎者のおじさんをジェントルマンにしてくれる不思議なアイテムです。

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