見出し画像

訪れた国

Episode 18 – Ireland 1
 
 アイルランドはイギリスの西にあるので西経の範囲にあります。アイルランドはこれまで訪問した国や地域の中で唯一の西経に位置する国です。これまで訪問した国や地域は、アイルランド以外全て東経に位置しています。
日本から東へ向かって日付変更線を越えて西経へ入ったことはありませんから、帰国時のBack to the Futureは経験したことがありません。赤道を越えたこともありませんので、水着のクリスマスは知りません。北はスコットランドまでで北欧やロシアは行ったことがありません。南はインドとシンガポールまでです。アフリカではサハラ砂漠の南へは行っていません。
初めてダブリンへ行った頃、アジア人を見かけることはあまりありませんでした。日本人は150人くらいいたそうです。ところが、数年後にはEUのどこかに入国した中国人が大量に押し寄せてきて、当たり前のように中国人のホテル従業員や店員を見かけるようになり、中華料理のテイクアウトの店ができていました。
早春にダブリンの公園を訪れると見渡す限り水仙が芽吹いて春の訪れを告げます。長い冬が終わって春の始まりを感じさせるときです。少し経つと水仙の花が満開になって公園一面が黄色い絨毯を広げたようになります。また、街路樹に濃いピンクの花が咲く桜並木や年中葉っぱが紫の日本では見たことのない街路樹もあります。
ヨーロッパの大陸の国々では英語は外国語なのでお互いに会話に苦労しますが、アイルランドは英語が通じやすいので英語を喋れば困ることはほとんどありません。アイルランドの母国語はアイリッシュですが、ダブリン市内では英語が母国語同様に使われていますので、外国語が苦手な日本人には大助かりです。パブなどでときどき聞きなれない言葉を聞くことがあるのは、仲間内ではアイリッシュで話をしているからのようでした。通貨がユーロなこともわたしたちにとっては便利です。
ダブリンにあるパブは地域の食堂といった感じで、子供連れのファミリーレストランになっています。夕方にパブへ行くと家族連れで混雑しています。しかし、わたしたちがパブに行く目的はあのギネスビールを飲むためです。ワンパイント注文すると、シャムロックのマークを泡に押したジョッキが出てきました。
主にケルト人のアイルランドにはカトリックの人が多く、プロテスタントのイギリスに抑圧されてきた歴史があります。プロテスタントが多くUKに属する北アイルランドでは2007年までカトリックの人たちとの間で武力闘争が続きました。
他国に支配されていても、アイルランド人はゲーリックフットボールやハーリングなどの伝統あるアマチュアスポーツを守ってきました。アイルランドでは今も非常に人気のある独自のスポーツです。一方でイギリス発祥のラグビーも人気があります。2019年に日本で行われたワールドカップで草色のジャージを覚えている方も多いと思います。
アイルランドには忘れてはいけない歴史があります。19世紀半ばころのジャガイモ飢饉です。ヨーロッパ全域でジャガイモの疫病が発生して、アイルランドでも多くの人が亡くなり、アメリカやカナダなどへ多くの人が移住しました。飢饉の結果、アイルランドの人口が25%減ったと言われています。新世界へ移住した移住者からは多くの著名人が輩出しています。
 移住した先でも彼らはアイルランドにキリスト教を広めた聖人の命日を祝う伝統を守り続けました。今もセントパトリックデー(3月17日)として世界中で自分たちのアイデンティティであるシャムロックを身につけて町中を緑に染めるパレードを行っています。
アイルランドを想う時、ギネスビールばかりではなくジャガイモとマトンの入った伝統的なスープやコンビーフアンドキャベツなどのアイルランドの郷土料理は一度いただいてみる価値があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?