【更新】パイロットの仕事と管理薬剤師の仕事
かなり昔、会社の管理者育成研修のために、自分が作ったスライドが出てきたので、その要素をまとめて、整理してみました。(大宮に向かう新幹線の中で時間があったので)
一般的に、薬局でも重大な過誤を防ぐためには「二重チェック」は今でも、基本中の基本だと、自分は思っています。
人の目がなければ機械を使ってでもいいから二重チェックが必要。
私が数年前まで、長いこと、「新規に管理者や責任者」になる薬剤師たちに毎年講義をして来ました。
その中でも「管理者の心構え」などの前に、「パイロットの仕事の方法」は毎年欠かさずに話をしてきました。
パイロットと言うのは、当然飛行機を飛ばすのですが、
飛行機というのは200人とかのたくさんの人を乗せて空を飛ぶわけじゃ無いですか。
それを操縦するパイロットには物凄い判断力というか決断力が必要だと思うのですよ。
その分、「機長」という人は絶大な権力を持っているそうです。
以下に、AIを用いて、「機長」の任務と責任、権限についてまとめてみました。
管理薬剤師というのは、「機長」と本来は同じなのです。
安全に薬局を運営して本来の目的を果たすためには、ただ調剤をしているだけではダメなのです。
安全に疑問があれば、それが偉い上司であれ、社長であれ、改善できるよう要求をしなければならない。提案ではなく要求です。
それを管理記録簿にも残す必要がある。
大手の調剤やドラッグが台頭するようになり、管理薬剤師が開設者に物言えぬ環境が出来上がってしまったと思うのですが、これは現場の薬剤師や患者さんだけで無く、開設者(経営者)にとっても不幸なものだと思います。
現場の必要な意見が聞こえないのは、お互いに不幸です。
管理薬剤師の「権限」=「偉い」のではありません。
航空機の「機長」のように、管理薬剤師が、調剤に対して、全ての責任を負っているから「権限」があるのです。
この権限を適切に使わないと管理薬剤師の義務が問われた時、それを果たしてとは言えないのである。
航空機の機長は、飛行機を飛ばすに当たって、フライト中の予期せぬ出来事が起きても、飛行機を墜落させてはならない。多くの命を預かっているのである。
飛行機に、万が一のトラブルが起きても、その飛行機を「安全な場所まで引き返得させることのできる最終地点」というのがあるらしく、それはその時の天候や客数、積んでいる燃料の量によっても異なるそうです。
風の強さによっても、時事刻々と変わる「その引き返すことのできる最終地点」を計算をしながら飛行機を飛ばす。
平常時に非常時のことを常に考えている。
そして、計算を続けて、帰還不能点と言う物を超えるともう何があっても戻れない。
point of no return.と言うそうです。
機長は常に燃料と風向きなど、多くのデータを用いてギリギリの判断を頭の中で行っているわけです。
自動計算だけでは無いそうです。
薬局の運営でもそうでしょう。
安全性を担保できる最低限のライン。
一線を超えてしまうともう戻れない。
経営のためだけに一番大切な安全を犠牲にしても良いのか。
point of no return.
これを超えてしまい戻れなくなったら、
墜落するのが分かっていても、進まなければならない。
後戻りできないのである。
管理薬剤師というのは、薬局管理に於いては、
絶対的な力を持つはずです。
なぜ、物言えぬ管理薬剤師となってしまったのでしょうか。
これは間違いなく、チェーン経営のせいでしょう。
そのような環境下でも、それを言い訳とせず安全を守るのは管理薬剤師の義務。
皆さんは、機長同様、責任と同様、「権力」を持っていることをお忘れなきよう。
患者を守るために、管理薬剤師としての義務と責任をもう一度考えましょう。
ちなみに、機長と副機長って、食事も別のものを摂るそうです。
安全へのバックアップのためでしょう。